厚生労働省労働局長登録教習機関
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物流は、国内であればトラックや貨物電車によるものが多いですが、海外との荷物のやり取りとなると飛行機や船を使います。
特に船による輸送は、一度に大量に荷物を載せ運んでいます。
船いっぱいにコンテナを積んで、国と国の物流を支えています。
コンテナを荷揚げ、荷降ろしするは港になります。
港では、荷物を運ぶというのが重要な仕事になります。
コンテナは巨大な直方体で、重いものです。
そのためフォークリフト等で運ぶのは、サイズ的にも重さ的にも困難です。
そのため、このコンテナを運ぶために特化した、荷役運搬機械があります。
それがストラドルキャリヤーです。
ストラドルキャリヤー |
ストラドルキャリヤーは街中や工事現場などで見かけることは、ありません。
活躍する場は港です。
その形は、大きな門型になっており、トレーラーの荷台をまたぐことできます。
そしてトレーラーの荷台より、車体の中にコンテナを抱え込みます。
コンテナを抱え込んだまま、運びます。
運転席は、車体の上の方にあり、地上から数メートルの高さに位置します。
かなり特殊な形状をした機械ですが、コンテナを運ぶということにかけては、これほど有能なものはありません。
ストラドルキャリヤーを運転するのは、免許や技能講習、特別教育などの資格は必要ありません。
しかし、「ストラドルキャリヤー運転業務従事者安全衛生教育」というものがありますので、この教育は受講する必要があります。
安全に正確に運転するには、高い技能が必要になるストラドルキャリヤーですが、荷役運搬機械ですので、法的な規定もあります。
ストラドルキャリヤーについては、安衛則に規定されています。
【安衛則】
第4款 ストラドルキャリヤー
(前照灯及び後照灯) |
(使用の制限) 第151条の37 事業者は、ストラドルキャリヤーについては、最大荷重その他の 能力を超えて使用してはならない。 |
(定期自主検査の記録) 第151条の40 事業者は、前2条の自主検査を行ったときは、次の事項を記録し、 これを3年間保存しなければならない。 1)検査年月日 2)検査方法 3)検査箇所 4)検査の結果 5)検査を実施した者の氏名 6)検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、 |
(点検) 第151条の41 事業者は、ストラドルキャリヤーを用いて作業を行うときは、 その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を 行わなければならない。 1)制動装置及び操縦装置の機能 2)荷役装置及び油圧装置の機能 3)車輪の異常の有無 4)前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能 |
(補修等) 第151条の42 事業者は、第151条の38若しくは第151条の39の自主検査又は 前条の点検を行った場合において、異常を認めたときは、 直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。 |
これらの規定以外にも、作業計画や指揮者の配置など、荷役運搬機械全体の規定も適用されるので、そちらも忘れずに守りましょう。
まず、装備としては、非常に特殊な形状をしているので、安全装置等を法律で規定するのが困難なので、安衛則で定めていることは、前照灯と尾灯を備えることのみです。
では、安全装置や安全性能がないかというと、そんなことはありません。
法律で定められていないものの、構造や強度など様々な条件が、メーカーや業界の自主的な安全規格を持って、細かに定められています。
使い方については、コンテナを抱え上げ、運ぶことに特化しているので、大きく用途が外れることはないでしょう。 しかし、車体はサイズも能力も一様ではありません。大きく長いコンテナを運ぶものもあれば、比較的小さなものを運ぶためのものもあります。
能力を超えたサイズや重いものを運んではなりません。
使用しているストラドルキャリヤーに適したコンテナを運ぶのが原則です。
ストラドルキャリヤーも機械なので、常に正常に動くように自主的に点検する必要があります。
自主点検は、1年以内に1回行う年次点検と1ヶ月以内に1回行う月次点検があります。
フォークリフトの年次点検は、特定自主検査という有資格者による検査ですが、ストラドルキャリヤーは特定自主検査ではありません。
自社で行うこともできますが、詳細な点検を行うので、整備会社に依頼することが多いのではないでしょうか。
月次点検は、年次点検ほど詳細ではありませんが、全体的に問題はないかなどを、少し時間をかけて点検を行います。
点検を行ったら、必ず記録に残し、3年間は保管しましょう。
点検記録は、後々まで状態の履歴になりますので、3年といわず残しておくと、修理などに役立ちます。
さて、定期点検以外にも、その日の作業前には、不具合がないか点検します。
これを作業前点検といいますが、突然壊れてしまう部分もありますので、短時間でいいので、点検する習慣にするといいですね。
点検で不具合があれば、すぐに修理します。
業務に支障がないから、後で修理しようと放置すると、忘れてしまうこともあり、どんどん悪化し、最終的に事故になることもあります。
大きな故障でなくとも、なるべく早めに修理するようにしたいですね。
ストラドルキャリヤーの法的な規定は、他の荷役運搬機械と同様のものが多く、特別な内容はありません。
その理由として、港で使用する特殊車両ということで、非常に限定的であるため、一般化しづらいからかもしれません。
しかし、ストラドルキャリヤー特有の事故もありえます。
コンテナを掴むフックが壊れていれば、荷物は掴めませんし、落下します。
海の側なので、風が強い中での作業になります。強い風でも安定して荷物を運ぶ必要があります。
また運転席は、非常に高所にあるため、乗り降りの際には、墜落に気をつけなければなりません。
運転者は、高度な運転技術の他、360度注意を向ける広い視野が求められるのです。
ストラドルキャリヤーの運転は、とても技術的な仕事です。
安定した物流には、港での仕事が要と言っていいでしょう。
ストラドルキャリヤーなどの荷役運搬機械も、その要の大切な要素なのです。
安定した物流には、安全で事故のない仕事が必要です。
条文自体は、多くありませんが、特に名称を出して条文を定めなければならないほど、慎重に扱わなければならない機械なのです。
まとめ。
【安衛則】
第151条の36 ストラドルキャリヤーは、前照灯及び後照灯を備えなければならない。 |
第151条の37 ストラドルキャリヤーについては、最大荷重その他の能力を超えて使用してはならない。 |
第151条の38 ストラドルキャリヤーについては、1年を超えない期間ごとに1回、定期に、自主検査を行わなければならない。 |
第151条の39 ストラドルキャリヤーについては、1月を超えない期間ごとに1回、定期に、自主検査を行わなければならない。 |
第151条の40 自主検査を行ったときは、記録し、これを3年間保存しなければならない。 |
第151条の41 ストラドルキャリヤーを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、点検を行わなければならない。 |
第151条の42 自主検査又は前条の点検を行った場合において、異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。 |