○安衛法と仲良くなる荷役運搬機械

コンベヤーを安全に使うための措置

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荷役運搬機械で、今まで紹介したものは、車両タイプのものでした。
フォークリフトは、車体前方のフォークに荷物を載せて運びます。
貨物自動車は、運転席の後ろに荷台を備え、そこに荷物を載せて運びます。

いずれもタイヤやクローラーなど走行部があり、機械自身が動いて、荷物を運ぶ機械でした。

荷物の運び方には、車両タイプ以外に、もう一種類あります。

それは、機械自体は動かず、輪状にした幅広のベルトを台車の上で回転させ、その上に運搬物を載せて移動させる装置、つまりコンベヤーです。

台車部がベルトのものは、ベルトコンベヤーとも言われます。
一方ベルトの代わりにローラー、つまり筒が連なっているタイプは、ローラーコンベヤーと言われます。
荷物を運ぶ部分が異なりますが、基本的な構造は同じです。

このように他の荷役運搬機械と様子は異なりますが、コンベヤーも荷役運搬機械になります。

工場や倉庫などで製品を流したり、建設現場では、土砂や石を運んだりします。
とても身近なところでは、回転寿司などがあります。

製造業などでは、コンベヤーが荷物を運ぶことによって、流れ作業を実現しました。
逐一前の工程の荷物を取りに行かなくとも、自動的に運んできてくれるので、仕事が効率化します。

とても便利なコンベヤーですが、一歩使い方を間違えれば、怪我したりすることもあります。

安衛則では、コンベヤーについての規定をまとめています。

【安衛則】

第2節 コンベヤー

(逸走等の防止)
第151条の77
  事業者は、コンベヤー(フローコンベヤー、スクリューコンベヤー、
流体コンベヤー及び空気スライドを除く。以下同じ。)については、
停電、電圧降下等による荷又は搬器の逸走及び逆走を防止するための装置
(第151条の82において「逸走等防止装置」という。)を備えたもので
なければ使用してはならない。
ただし、専ら水平の状態で使用するときその他労働者に危険を
及ぼすおそれのないときは、この限りでない。

(非常停止装置)
第151条の78
  事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が
巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、
非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置
(第151条の82において「非常停止装置」という。)を
備えなければならない。
(荷の落下防止)
第151条の79
  事業者は、コンベヤーから荷が落下することにより労働者に
危険を及ぼすおそれがあるときは、当該コンベヤーに覆い
又は囲いを設ける等荷の落下を防止するための措置を
講じなければならない。
(トロリーコンベヤー)
第151条の80
  事業者は、トロリーコンベヤーについては、トロリーと
チェーン及びハンガーとが容易に外れないよう相互に確実に
接続されているものでなければ使用してはならない。
(搭乗の制限)
第151条の81
  事業者は、運転中のコンベヤーに労働者を乗せてはならない。
ただし、労働者を運搬する構造のコンベヤーについて、墜落、
接触等による労働者の危険を防止するための措置を講じた場合は、
この限りでない。

2 労働者は、前項ただし書の場合を除き、運転中の
  コンベヤーに乗ってはならない。

(点検)
第151条の82
  事業者は、コンベヤーを用いて作業を行うときは、
その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を
行わなければならない。

  1)原動機及びプーリーの機能

  2)逸走等防止装置の機能

  3)非常停止装置の機能

  4)原動機、回転軸、歯車、プーリー等の覆い、
   囲い等の異常の有無

(補修等)
第151条の83
  事業者は、前条の点検を行って場合において、異常を認めたときは、
直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。

コンベヤーは、特定の場所に固定して使用します。
そのため、勝手に動いてしまっては困りますし、何より危ないのです。
意図せず機械が動き出すことを、逸走と言いますが、コンベヤーを設置したら、逸走させないようにしなければなりません。
そのためには、しっかり固定するなどの逸走防止対策を行います。
特に傾斜がある場所などで使用する場合は、しっかり固定しなければなりませんね。

ただし水平な場所で使用し、どこへも動いていくことはないのであれば、除外してもよいのですが、いずれにせよ足元はボルトナットで固定するなどしましょう。

もしコンベヤーのベルトや回転部に手や足が挟まってしまうと、そのまま巻き込まれてしまい大事故になりますね。
そうなった場合に備え、すぐに運転をストップさせるための装置、つまり非常停止装置を備えなければなりません。
通常、非常停止装置は、赤いボタンを押すようにできています。

はさまれた人自ら押せない場合は、周りの人が非常停止させます。
そのため、分かりやすい位置に配置されていることが多いです。
建物にある火災ベルのように押したくなるかもしれませんが、非常時以外は使わないようにしましょう。

ベルトコンベヤーやローラーコンベヤーは、荷物を載せて運びます。
運んでいる最中に、荷が落下すると、近くで作業している人に危険を及ぼす可能性があります。
カーブしたり、傾斜がついている場所など、落下のおそれのある場所では、囲いなどを付けて、落下防止する必要があります。

コンベヤーのタイプには、ベルトコンベヤーのように荷台の上に荷物を載せるタイプ以外のものもあります。
走行部が天井にあり、そこからチェーンやハンガーが垂れ下がっており、そこに荷物を引っ掛けて運ぶタイプです。
これをトロリーコンベヤーといいます。

吊り下げて運ぶので、落下しないことが大切です。
トロリーコンベヤーでは走行するトロリー部と、そこから垂れ下がるチェーンやハンガーが容易に外れないように繋がっていなければなりません。

コンベヤーは荷物を運ぶものではありますが、場合によっては人も運びます。
エスカレーターや動く歩道なんてそうですね。

しかし荷物を運ぶものに、人が乗り、運ばれるとなると、バランスを崩すと落下してしまいます。
人が乗るときには、相応の設備が必要になります。

コンベヤーに人が乗り運ぶ場合は、墜落や障害物に接触しないような設備を設けます。
エスカレーターや動く歩道などでは、左右に手すりがありますね。
このような設備が必要になるのです。

特にエスカレーターのように登り降りするものは、墜落防止対策は重要になります。

コンベヤーは、定期点検などは定められていませんが、作業前には不具合がないか点検しましょう。
回転部が故障していたり、足元のボルトが緩んでないかなどを点検します。

もし点検で不具合が見つかれば、必ず修理しましょう。
後で直せばいいやと、放置しておくと、どんどん機を逃します。
速やかにというのが大切ですね。

コンベヤーは、製造や荷物の仕分けなど、定点的な運搬業務には欠かせません。
車両系ではないので、免許が必要というものではありませんし、近くで作業することもできます。

しかし常に動き続けているものですから、油断していると体の一部や服の一部を巻き込み、機械の中に引きずり込んでしまう可能性もあります。

流れ作業であっても、注意は流してはいけないのです。

まとめ。

【安衛則】

第151条の77
  コンベヤーは、 荷又は搬器の逸走及び逆走を防止するための装置を備えたものでなければ使用してはならない。
第151条の78
  コンベヤーについては、労働者の身体の一部が 巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、 非常の場合に直ちに運転を停止することができる装置を備えなければならない。
第151条の79
  コンベヤーから荷が落下することにより労働者に危険を及ぼすおそれがあるときは、コンベヤーに覆い又は囲いを設ける等荷の落下を防止するための措置を講じなければならない。
第151条の80
  トロリーコンベヤーについては、トロリーとチェーン及びハンガーとが容易に外れないよう相互に確実に接続されているものでなければ使用してはならない。
第151条の81
  運転中のコンベヤーに労働者を乗せてはならない。
第151条の82
  コンベヤーを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、点検を行わなければならない。
第151条の83
  点検を行って場合において、異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければならない。

 

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