○安衛法と仲良くなる型枠支保工

型わく支保工を安全に行うための措置2(施工編)

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型枠支保工は、何よりも堅固であること、丈夫であること、頑丈であることが求められます。

実際に組み立てる前には、適切な材料を選び、そして組立図を作成します。

組立図ができると、次は実際に現場で組立を行います。

組立の時にも、注意しなければならないことがたくさんあるのです。

今回は、それらの措置についてをまとめます。

【安衛則】

(型枠支保工についての措置等)
第242条
事業者は、型枠支保工については、次に定めるところによらなければならない。

  1)敷角の使用、コンクリートの打設、くいの打込み等支柱の
   沈下を防止するための措置を講ずること。

  2)支柱の脚部の固定、根がらみの取付け等支柱の脚部の滑動を
   防止するための措置を講ずること。

  3)支柱の継手は、突合せ継手又は差込み継手とすること。

  4)鋼材と鋼材との接続部及び交差部は、ボルト、クランプ等の
   金具を用いて緊結すること。

  5)型枠が曲面のものであるときは、控えの取付け等当該型枠の
   浮き上がりを防止するための措置を講ずること。

  5の2)H型鋼又はI型鋼(以下この号において「H型鋼等」という。)を
   大引き、敷角等の水平材として用いる場合であって、当該H型鋼等と
   支柱、ジャッキ等とが接続する箇所に集中荷重が作用することにより、
   当該H型鋼等の断面が変形するおそれがあるときは、当該接続する箇所に
   補強材を取り付けること。

  6)鋼管(パイプサポートを除く。以下この条において同じ。)を
   支柱として用いるものにあっては、当該鋼管の部分について
   次に定めるところによること。

    イ 高さ2メートル以内ごとに水平つなぎを2方向に設け、
      かつ、水平つなぎの変位を防止すること。

    ロ はり又は大引きを上端に載せるときは、当該上端に鋼製の端板を
      取り付け、これをはり又は大引きに固定すること。

  7)パイプサポートを支柱として用いるものにあっては、
   当該パイプサポートの部分について次に定めるところによること。

    イ パイプサポートを3以上継いで用いないこと。

    ロ パイプサポートを継いで用いるときは、4以上のボルト
      又は専用の金具を用いて継ぐこと。

    ハ 高さが3.5メートルを超えるときは、前号イに定める措置を
      講ずること。

  8)鋼管枠を支柱として用いるものにあっては、当該鋼管枠の部分に
   ついて次に定めるところによること。

    イ 鋼管枠と鋼管枠との間に交差筋かいを設けること。

    ロ 最上層及び5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の
      側面並びに枠面の方向及び交差筋かいの方向における
      5枠以内ごとの箇所に、水平つなぎを設け、かつ、
      水平つなぎの変位を防止すること。

    ハ 最上層及び5層以内ごとの箇所において、型枠支保工の
      枠面の方向における両端及び5枠以内ごとの箇所に、
      交差筋かいの方向に布枠を設けること。

    ニ 第6号ロに定める措置を講ずること。

  9)組立て鋼柱を支柱として用いるものにあっては、当該組立て鋼柱の
    部分について次に定めるところによること。

    イ 第6号ロに定める措置を講ずること。

    ロ 高さが4メートルを超えるときは、高さ4メートル以内ごとに
      水平つなぎを二方向に設け、かつ、水平つなぎの変位を防止すること。

  9の2)H型鋼を支柱として用いるものにあっては、当該H型鋼の部分に
     ついて第6号ロに定める措置を講ずること。

  10)木材を支柱として用いるものにあっては、当該木材の部分について
    次に定めるところによること。

    イ 第6号イに定める措置を講ずること。

    ロ 木材を継いで用いるときは、2個以上の添え物を用いて継ぐこと。

    ハ はり又は大引きを上端に載せるときは、添え物を用いて、
      当該上端をはり又は大引きに固定すること。

  11)はりで構成するものにあっては、次に定めるところによること。

    イ はりの両端を支持物に固定することにより、はりの
      滑動及び脱落を防止すること。

    ロ はりとはりとの間につなぎを設けることにより、
      はりの横倒れを防止すること。

(段状の型わく支保工)
第243条
事業者は、敷板、敷角等をはさんで段状に組み立てる型わく支保工については、
前条各号に定めるところによるほか、次に定めるところによらなければならない。

  1)型わくの形状によりやむを得ない場合を除き、敷板、
   敷角等を2段以上はさまないこと。

  2)敷板、敷角等を継いで用いるときは、当該敷板、
    敷角等を緊結すること。

  3)支柱は、敷板、敷角等に固定すること。

(コンクリートの打設の作業)
第244条
事業者は、コンクリートの打設の作業を行なうときは、次に
定めるところによらなければならない。

  1)その日の作業を開始する前に、当該作業に係る型わく支保工に
   ついて点検し、異状を認めたときは、補修すること。

  2)作業中に型わく支保工に異状が認められた際における作業中止の
   ための措置をあらかじめ講じておくこと。

(型わく支保工の組立て等の作業)
第245条
事業者は、型わく支保工の組立て又は解体の作業を行なうときは、
次の措置を講じなければならない。

  1)当該作業を行なう区域には、関係労働者以外の労働者の
   立ち入りを禁止すること。

  2)強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が
   予想されるときは、当該作業に労働者を従事させないこと。

  3)材料、器具又は工具を上げ、又はおろすときは、つり綱、
   つり袋等を労働者に使用させること。

(型枠支保工の組立て等作業主任者の選任)
第246条
事業者は、令第6条第14号 の作業については、
型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、
型枠支保工の組立て等作業主任者を選任しなければならない。
(型枠支保工の組立て等作業主任者の職務)
第247条
事業者は、型枠支保工の組立て等作業主任者に、
次の事項を行わせなければならない。

  1)作業の方法を決定し、作業を直接指揮すること。

  2)材料の欠点の有無並びに器具及び工具を点検し、
   不良品を取り除くこと。

  3)作業中、要求性墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

組み立て方にも、様々な決まり事があり、必要な措置をとらなければなりません。

まず足元は、敷角などを敷き、沈下しないようにします。
敷角とは、支柱の足の下に置く、板や角材のことです。
柱の荷重を一点集中から分散させ、沈下を防ぎます。

また足元は、根がらみ、つまり柱同士をつなぐ横棒を取付け、横にグラグラ動かないようにしなければなりません。

型枠支保工は、まずは足元から固めるのです。

背の高い構造物になると、1本の支柱では足りず、継ぎ足すことがあります。
この場合は、差し込み継手や突合せ継手とします。
これは端の面同士を合わせるので、力が逃げません。
重ね継手は、上からの荷重に耐えられないので、やってはいけません。

鋼材同士をつなぐときも、ボルトや専用金具で、がっちりと接続します。
接続部は、折れたりと、力が抜けやすいので、しっかりと固めなければならないのです。

コンクリートの形によっては、平面だけでなく曲面の型枠を作ることがあります。
平面よりも力が分散してしまい、しっかりと固めづらくなります。
型枠が動いたり、浮き上がったりしないように、支えなどの控えを取り、しっかりと固めましょう。

型枠支保工では、H鋼などの鉄骨を使用することもあります。
かなり頑丈ではありますが、コンクリートは時として、鉄骨すらも曲げてしまいます。
そのため、力がかかる場所には、補強材等をつけて、変形防止としなければなりません。

鉄骨以外にも、鋼管を柱などの部材に使用する場合があります。
鋼管は細長いものなので、支柱などにすると、鉄骨よりも、曲がりやすいです。
そのため、2メートル以内に水平のつなぎを取付、補強する必要があります。

特に鋼管をはりや大引、つまり一番上の横棒などにつける時は、これにしっかり固定しておきます。

鋼管のように筒状のパイプには、型枠支保工などで使用しやすいような製品もあります。
パイプサポートなどが、それに当たります。

パイプサポートは、伸縮式の鋼管で、両端には板があり、この板同士をあわせ、接続することができるのです。
パイプサポートは、長さを自由に変えられるので、型枠づくりには、非常に役に立ちます。
しかし、注意も必要なのです。

まず端部を合わせて接続し、継ぐことができますが、3本以上は継いではいけません。
3本以上継ぐと、長くなりすぎて、横からの力に耐えられなくなるのです。

また接続には、専用の金具か、4本以上のボルト・ナットでしっかり固定します。
接続が弱いと、弱点になるので、接続は重要なのです。

鋼管枠というものを支柱に使用する場合もあります。
鋼管枠とは、2本の鋼管の間に、横さんがあるものです。
鳥居に似た形と思ってください。

この鋼管枠の特徴は、面でコンパネを支えることができるのです。

面で支えるのですから、力を受ける面積も大きくなります。
その分補強も重要になります。

補強として、鋼管枠と鋼管枠との間には、筋交い、つまり斜めにつなぐ部材を取り付けます。

また縦に重ねていく場合、最上層と5層以内には、水平つなぎや布枠を付けます。
水平つなぎは、筋交いと直角に、布枠は筋交いと平行に付けます。
これらで縦横方向に固定します。

鋼管枠は、筋交いと水平つなぎなどで、面で受ける圧力を補強するのです。

H鋼などの鉄骨を支柱にすると、鋼管枠よりも強固になります。
大きな構造物などでは、鉄骨を使用するほうが、よいでしょう。
しかし鉄骨もそのまま立てておいても、コンクリートの内圧に負けないかというとそうではありません。
補強してあげなければなりません。

4メートル以内ごとに、水平つなぎを付けなければなりません。
水平つなぎは、1方向だけではく、2方向に付けましょう。
例えば、東西と南北に向けて付けます。

木材を支柱にする場合、接続はボルト・ナットなどで継げません。
突合せ継手としても横にずれることが考えられるので、両サイドに添え物をして、横ずれを防止します。

鋼管と同じように、はりや大引などとの接続は、しっかりと固定しましょう。

以上は、支柱についてでした。
支柱は、垂直方向、つまり上下の支えになります。
垂直方向、つまり横の支えは、はりと言います。

はりも当然堅固にしなければなりません。

はりの両端、支柱などとの接続部は、しっかりと堅固に接続する必要があります。
またはりとはりの間には、つなぎを設けます。

このつなぎは、横振れを防止するためのものなのです。

型枠支保工のこれらの注意は、組立図でも記載するともに、組み立て時にしっかり確認します。
上下左右ともに、堅固な構造にすることが求められるのです。

型枠支保工は、通常は縦に真っ直ぐ立ち上がります。
しかし、時には、段状に組み立てる場合も出てきます。

段状になると、堅固にしても、その部分で力が抜けてしまい、崩れる原因となります。
そのための注意が必要なのです。

まず原則として、段状になっても敷板や敷角を2段以上はさんではいけません。
2段以上だとずれて、崩れる原因になるのです。

また敷板などを継ぐ場合は、ずれないように確実に緊結します。
敷板、敷角は必ず支柱に固定しなければなりません。

段状になると力が抜ける原因になるので、堅固な足元とするのです。

さて、型枠支保工が完成したら、いよいよコンクリート打設になります。

コンクリートを打設する前に、必ず点検しましょう。
しっかり確認しておらず、弱い場所などがあるのに、コンクリートを打つと、型枠が崩れてしまいます。

型枠支保工が壊れてしまうと、大きな構造物な分、作業者や周りへの被害も大きくなるので、打設前の点検は大切です。

もし点検で、異常があれば、放置せず、すぐさま対応しましょう。
弱い場所があれば、補強し、材料が変形しているならば、取り替えましょう。

コンクリートを打ち始めたら、途中で止めることはできません。

必ず、打設前のチェックを行います。

仮に作業中に、異常事態が発生した場合には、作業中止などします。

こういった自体に備えて、あらかじめ、異常事態の対応法などは決めておきましょう。

さて、組立作業時の注意があります。
これは構造ではなく、作業方法です。

まず、関係者以外の立入りは禁止しましょう。
作業場に部外者がいると危険ですよね。

大雨や強風などの悪天候時は作業を中止しなければなりません。
鋼材など大きな材料を扱うのですから、危険な状況では作業してはいけません。

材料を高所に上げたり、地上よりも低い場所に降ろす場合、放り投げたりすると危険ですよね。
かといって、その都度運ぶのも大変です。

鉄骨などの重量物であれば、クレーンを使いますが、工具や細々とした材料であれば、クレーンを使うほどではありません。

このような材料や工具の受け渡しには、つり網やつり袋などを用います。
要は、袋などにまとめて上下移動させろとういことなのです。

型枠支保工は、多くの部材を用い、複雑な構造です。
時には数メートルの高さに組み上げることもあります。

組立図はあるとはいえ、個々の作業者が、てんでバラバラに作業するのは懸命ではありませんし、時には危険になります。

そのため、型枠支保工を組み立てたり、解体する場合には、作業主任者を選任し、作業指揮に当たらせる必要があります。

作業主任者は、型枠支保工の組立て等作業主任者の技能講習を修了したものから選任します。

もし大規模になり、複数の作業主任者を選任する場合は、それぞれの役割を決めて、指揮に当たらせます。

作業主任者の職務は、全体を把握し、安全に作業させることです。

そのために、作業内容を決めて、直接指揮します。
材料や工具のチェックを行い、不適な材料を除くのも、大切な役割です。
そして、作業者に対しては、保護帽や安全帯(要求性墜落制止用器具)などの保護具の着用を監視します。
もし保護帽を被らずに作業を行っている作業者がいれば、即座に着用させ、指導するのです。

作業者も、必ず保護帽を着用しなければなりません。 大切なことは、安全に、確実に仕事を進めることなのです。

型枠支保工は、とにかく堅固なものでなければなりません。
大量のコンクリートを支えるのです。
ちょっとやそっとの力では、ダメなのです。

強大で、堅固なものを作るのですから、各部材や構造はしっかりしたものでなければなりません。

コンクリート構造物は、今はあらゆるものを形作ります。

その構造物を支えるのは、型枠支保工なのです。

この世のほとんどのものを、形作っていると言うと、言い過ぎですが、それに近いくらい重大なものです。

強大なものは、事故になると大きな災害ともなります。

堅固な作りとするのは、構造物をきちんと作るだけではなく、その場の作業者全員を守る盾ともなるのです。

型枠支保工は、作業主任者、作業者ともに安全に形作るものでなければならないのです。

まとめ。

【安衛則】

第242条
型枠支保工については、必要な措置をとらなければならない。
第243条
敷板、敷角等をはさんで段状に組み立てる型わく支保工については、必要な措置をとらなければならない。
第244条
コンクリートの打設の作業を行なうときは、点検などの措置をとらなければならない。
第245条
型わく支保工の組立て又は解体の作業を行なうときは、立入禁止などの措置をとらねければならない。
第246条
型枠支保工の組立、解体作業については、型枠支保工の組立て等作業主任者を選任しなければならない。
第247条
型枠支保工の組立て等作業主任者に、必要な職務を行わせなければならない。