厚生労働省労働局長登録教習機関
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年末から年明け、春先まで寒い日が続きます。
そして寒さが原因で、起こりやすくなる事故というのもあるのです。
どんな事故かというと「転倒」、つまり転んでしまう事故のことです。
転ぶのも事故に含まれるのかと思われるかもしれませんが、打ち所が悪ければ骨折したり、捻挫したりと思わぬ怪我になってしまうのです。
実は年間を通して、一番多い事故というのは転倒事故なのです。
転倒する原因には、いくつかあります。
物につまづく、路面に滑るなどがありますね。
寒さによって転倒事故になるというと、その原因は路面の凍結です。
宮城県の労働局が冬の転倒事故防止の啓発資料を出しているのですが、それによると冬季の転倒事故の被災者は、同期間中の死傷者全体の約18%と非常に高い割合を占めているそうです。
転倒事故が多いのは、雪が多い北海道や東北、北陸だけの話ではありません。
雪が降ることが少ない地域では、むしろ慣れない足取りのため、転びやすいのです。
転倒事故は、尻餅をついて痛かったというのがほとんどでしょうが、時には長期休養を必要とする事故も起こるのです。
宮城県労働局の資料では、いくつか事故事例を紹介しています。
・仕事終了後、駐車場に向かう途中地面が凍っていて転倒し、骨折。
・トラックに荷を積みこむ際、雪で足を滑らせ転倒し、骨折。
・自転車で朝刊を配達中、シャーベット状の路面にハンドルをとられ転倒し、骨折。
・ゴミを捨てるため外に出たところ、雪で滑って転倒し、右手首関節捻挫。
このような事例は、枚挙にいとまがないと思われます。
通勤や通学、仕事上で、凍った路面を歩かなければならないことはあります。
ある程度除雪はしたものの、雪が凍ってなかなか解けない場所もありますし、日陰はいつまでたっても氷や雪が解けませんよね。
滑りやすい場所をなくすことは、無理ですよね。
じゃあ、どうしたらよいでしょうか?
ポイントは2つ。
1つは、滑りやすい場所を把握しておくこと。
もう1つは、滑らない歩き方をすること。
この2つを意識するだけで、ずいぶん転倒事故を防げるのではないかと思います。
これらのポイントについて、札幌発で「転ばないコツを教えます」というサイトがあるのです。
このサイトを紹介しつつ、少しポイントを整理してみます。
詳しく転倒防止について、紹介されているので、ぜひ一度ご覧ください。
このサイトのアドレスがいいですね。ツルツル.jpだそうです。
さて2つのポイントの内、まず1つ目です。
○滑りやすい場所を把握しておくこと。
・車の出入口
・タイルや商店の出入口
・バスやタクシーの乗り場
・横断歩道
・地下鉄の出入口
・ロードヒーティングの切れ間
意外な場所が、滑りやすいポイントになるそうです。
どうやら人や車などの通りが多いところは、雪が踏み固められ、硬く圧縮した氷になり、すべりやすくなるのだそうです。
また商店などのタイルの床は、靴の裏に雪が残っていると滑りやすくなるので、店に入る前には、しっかり雪を落とすことが必要ですね。
ロードヒーティングというのは、雪国以外では馴染みはないかもしれませんが、道の下に温水を流すパイプなどを張り巡らす等の方法で、道を温め、雪が積もらないようにするものです。
道路上であれば、水を流して雪を溶かすことが多いのですが、歩道だと水を流すわけにはいきませんので、道路を温めるのです。
ロードヒーティングは歩行者にとってはありがたいですが、どこもかしこも設置できるわけではありません。
人通りが多いところなどに限られてしまいます。
そうなると、ロードヒーティングがある道、ない道が出てきて、当然どこかで切れ目が生じるわけです。
今まで雪のない道を快適に歩いていたのに、急に雪が積もっている場所を歩くと、歩行感覚が狂い、滑ってしまいます。
また切れ目は溶けた雪がシャーベット状になっていることも多く、滑りやすさも増しています。
ロードヒーティングの切れ目も注意です。
これらの例は街中ですが、仕事場でも同様に滑りやすいポイントがあるので注意です。
特に日陰は気温が上がりにくく、いつまでも雪が残ります。
雪かきをしても、わずかに残った雪が氷になり、滑りやすくなります。
建設業では、除雪車が来ない場所での仕事も珍しくなく、雪かきから仕事を始めることが多いです。
滑って転ぶのはもちろんですが、斜面などでは滑り落ちる危険性もあるので、足場はしっかりと確保しておかなければなりませんね。
さてもう1つのポイントです。
○滑らない歩き方をすること。
まず何より大切なのは、焦らずゆっくり歩くことです。
・小さな歩幅で歩くこと。
・路面に足の裏全体をつける。
・地面に垂直に踏み出し、体の重心をやや前にする。
しっかりと地面を掴むように歩くのがコツのようです。
大きな歩幅だと、地面にはカカトから着地します。
設置面積が少なく、斜めに着地すると、ツルッといってしまうみたいです。
小さな歩幅で、足の裏全体をつけて歩く。
当然スピードはそんなに出ません。そろそろと歩く感じです。
地面に垂直に踏み出すというのも、着地の瞬間に足の裏全体をつけるということですね。
走ってしまうと、転ぶリスクは高くなるのです。
歩き方のコツ以外では、滑りにくい靴もあるので、それを使うのもいいですね。
滑りにくい靴には、靴裏にスパイクがあるものや溝が深いもの、すべり止め剤入のゴムを使ったものなどがあるそうです。
またすべり止めアタッチメントを靴につけるという方法もあるようです。
雪国では冬の間、車のタイヤはスタッドレスを履きますが、同じようなものですね。
人は熊などと違い、寒くなったから活動は停止するということはできません。
むしろ冬場のほうが忙しいという業種もあります。建設業などの年明けから年度末にかけてが工期となり、忙しさのピークになります。
忙しさには関係なく、ツルツル滑る中、通勤するというのも日常です。
雪道では転びやすいというのは、誰もが経験し、危険性も分かっているでしょう。
しかし転ぶリスクというものは、軽視されがちです。
理由としては、大怪我になりにくいからです。
転倒事故は最も多い事故です。
この事故の統計は、4日以上の休業を伴う事故という意味です。
4日以上休業を伴う事故として、転倒が最も多いのです。
骨折や捻挫、切り傷、打ち所が悪いと死亡するということもあります。
冬季は転倒リスクが高くなります。
少し注意を払うだけでも、転倒リスクは軽減できるので、ぜひ歩き方などを注意して、なるべく転倒しない冬の生活を送りたいものですね。