厚生労働省労働局長登録教習機関
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人の移動は、水平方向だけとは限りません。
垂直方向、縦移動も実は非常に多いのです。
都会などで、ビル内にオフィスがある場合は、エレベーターを使いますよね。
このエレベーターは、縦移動と言えますね。
しかしエレベーター以外の移動方法もあります。
人力での移動です。
その方法としては、階段やハシゴです。
階段は歩いて登り降りしますが、ハシゴはほぼ垂直を手と足を使って、文字通り上り降りします。
当然ですが、疲れますので、長距離移動には向きません。
今回は、そんな縦移動のための通路、ハシゴ道です。
ハシゴ道も安衛則で規定されています。
【安衛則】
ハシゴ道には、色々と基準があります。その基準に適合したものでなければなりません。
人の体重を支えるんですから、まずは丈夫でなければなりません。
踏さんとはハシゴに足を掛ける横棒のことです。
この幅がマチマチだと、上り降りしづらいだけでなく、足を踏み外す恐れがあります。
踏さんは、等間隔であることは、必須です。
ハシゴは壁に接して掛けますが、ベッタリつけてしまうと、足を踏み入れるスペースもなくなります。
少なくとも土踏まずくらいの位置で、踏さんを踏まないと、滑ってしまいますね。
足を踏み込むスペース確保のためにも、踏さんと壁との間には適当な間隔を保ちます。
上り降りしている時に、ハシゴがグルっと回転してしまうと、危ないですよね。
そのような転位を防止のため、ハシゴの上下をしっかり固定しましょう。
ハシゴの掛け方ですが、上端は床から60センチ以上突き出します。
これは、突き出しが短いと安定が悪いこともありますが、ハシゴから床に移動する時、手すりの役割とする目的もあるのです。
登り踏さんでも踊り場を設けましたが、ハシゴでも踊り場に相当する踏だなを設けます。
高さが10メートル以上のものは、5メートル以内ごとに踏だなを設けます。
はしごは上り降りで、疲労するので、こまめに休憩が必要になるのですね。
ハシゴは垂直に立てるイメージがありますが、90度など全くの垂直だと登りづらいですし、登っている途中で後ろに倒れてしまう恐れがあります。
少しでも寝て傾斜がある方が、安定して登ることができます。
そのためハシゴ道の勾配は、80度以内としなければなりません。
さて、これらは一般的なハシゴ道での規定ですが、5号から7号、つまり60センチ突き出す、踏だな、勾配については例外があります。
それは潜函作業の時には、除外されるということです。
潜函は、高圧作業です。別途の安全対策が必要です。
(坑内に設けた通路等) 第557条 事業者は、坑内に設けた通路又ははしご道で、巻上げ装置と 労働者との接触による危険がある場所には、当該場所に 板仕切その他の隔壁を設けなければならない。 |
たて坑などで、ハシゴ道で人が行き来する場合の注意です。
たて坑は何本も掘れるわけでないので、必然的に同じ坑内で、人も物資の行き来があります。
つまり人が登るすぐ側で、資材がウインチなどで降ろされたりということもあるのです。
そうなると危険なのは接触ですね。
ハシゴ道なのですから、資材が迫ってきても避けようがありません。
ただぶつかり、その衝撃で墜落するしかありません。
このような事故を防ぐために、ハシゴ道と資材運搬用の巻上げ装置が近接している場合は、仕切りを設けなければなりません。
人と物とが接触しないようにするのが大切なのです。
(安全靴等の使用) 第558条 事業者は、作業中の労働者に、通路等の構造又は当該作業の 状態に応じて、安全靴その他の適当な履物を定め、 当該履物を使用させなければならない。 2 前項の労働者は、同項の規定により定められた履物の |
さて、通路についての規定はこれで終わりです。
最後は、通路そのものではなく、通行者についての注意です。
作業場で行き交うのですから、どんなに清掃していても、障害物があったりします。
歩いていて、通路や物にぶつけて転ぶ、怪我をすることも珍しくないでしょう。
通行者も積極的に身を守ることが求められます。
通行者は足元を保護するために、安全靴など通路に応じた履物を着用しなければなりません。
安全靴はつま先に鉄板などで補強しているものが多いですが、踏抜きを防止したり、滑らない靴底のものもありますので、用途に応じましょう。
通路は、作業場に行くまでの必要な設備です。
仕事の行き来であり、仕事そのものではないから、安全対策は二の次ということはないのです。
移動時間も、仕事時間です。
移動通路も、職場なのです。
すべての人が安全に行き来できる通路が、安全な仕事の道とも言えますね。
まとめ。
【安衛則】
第556条 はしご道については、丈夫な構造や勾配、踊り場などの適切な措置をとらなければならない。 |
第557条 坑内に設けた通路又ははしご道で、巻上げ装置との接触による危険がある場所には、板仕切その他の隔壁を設けなければならない。 |
第558条 作業中の労働者に、通路等の構造又は作業の状態に応じて、安全靴等の履かせなければならない。 |
ハシゴを設置する場合の、適用される安衛則は第528条(脚立)なのか第556条(はしご道)なのか教えてください。
梯子の設置角度は、75度以内なのか80度以内なのかよく分かりません。
コメントありがとうございます。
はしごの設置は556条です。
はしご道(常設で固定)で設置する場合は、80°以内ですが、
移動式のはしごの場合は75°程度で調整します。