厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
足場の材料や構造が決まったら、実際に組み立てていきます。
高所作業のための足場設備ですが、高所に作業床を設ける足場組立や解体も、高所作業になります。
足場組立や解体時の事故も、少なくありません。
事故として多いものは、高所作業の特性、墜落・転落です。
墜落事故防止のために作業床を設け、足場組立ます。
足場を組み立てるために、足場を組み立てることは少ないのでしょうが、作業時の墜落防止対策は必要になります。
今回は、足場組立や解体作業時の規定と、組み立てた後の点検の規定です。
規定は、引き続き安衛則にまとめられています。
【安衛則】
安衛令第4条15号の仕事とは、次のものです。
「つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。以下同じ。)、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業」
5メートル以上の足場組み立てや解体時の事故を防ぐためには、安全で危険を少ない仕事をしなければなりません。
条文では、5メートル以上とありますが、それ以下の高さの場合も、同様の措置が必要になりますので、注意しましょう。
措置については、次のとおりです。
・作業者に、作業内容等を周知する。
・関係者以外の立入りを禁止する。
・悪天候時は作業中止。
・作業時は、幅20センチ以上の足場板を設け、安全帯(要求性墜落制止用器具)を着用。
・材料などの上げ下ろしは、つり綱、つり袋を使用する。
作業者は、必ず安全帯を着用して、作業に当たります。
高所の作業なので、仕事のやり方が大切なのですね。
(足場の組立て等作業主任者の選任) 第565条 事業者は、令第6条第15号 の作業については、 足場の組立て等作業主任者技能講習を 修了した者のうちから、 足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。 |
5メートル以上の足場を組立、解体を行う場合は、作業主任者を選任しなければなりません。
作業主任者は、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了したものから選びます。
作業主任者の職務は次のとおりです。
1.材料の点検。不良品は除く。
2.器具、工具、保護具の点検。不良品は除く。
3.作業方法や、作業者の配置、役割を決める。作業状況の確認。
4.保護具の使用状況を確認。
作業時の材料から作業方法、安全確認を指揮することが重要です。
作業主任者は、作業方法を決めたら、別の場所に行ってもいいというものではありません。
現場にいて、直接指揮や指導を行う必要があります。
足場を組み立てたら、解体までそのままというわけではありません。
常に安全に使用できるようにするためには、常時点検を行うわなければなりません。
点検を行うタイミングは、2つです。
まずは、その日の作業前。これは日課となります。
そして、臨時で行う点検です。
臨時は、大雨や大雪、強風、地震などの悪天候の後の点検です。
もし点検で、異常や不具合があれば、放置せず、すぐさま修理や補修を行いましょう。
不具合を不具合のまま放置しておくと、それが原因で事故になりかねません。
気がついたら、即対応が重要です。
点検は、だいたいチェックシートを用いられると思います。
チェックシートには、見るべきポイントがあるのでしょうが、それはこの条文がベースになっています。
どんなところを見るのか。
それは次の通りです。
1.床材の損傷、取付け及び掛渡しの状態
2.建地、布、腕木等の緊結部、接続部及び取付部のゆるみの状態
3.緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食の状態
4.手すりや中さんなどの取りはずし、脱落の有無
5.幅木等の取付状態及び取りはずしの有無
6.脚部の沈下及び滑動の状態
7.筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の取りはずし、脱落の有無
9.突りようとつり索との取付部の状態及びつり装置の歯止めの機能
条文からの引用ですが、このようなものです。
主には足元から床材、手すりなどの設備が、外れていたり、緩んでいたり、壊れていないかチェックですね。
目で見てわからない場合は、手で触って、2度3度揺すって確認するのも大切です。
チェックシートなどの記録簿は、少なくとも足場が解体するまでは保存しましょう。
工事であれば、検査があるので、その時にも必要になりますよね。
(つり足場の点検) 第568条 事業者は、つり足場における作業を行うときは、その日の作業を 開始する前に、前条第2項第1号から第5号まで、第7号及び第9号に 掲げる事項について、点検し、異常を認めたときは、 直ちに補修しなければならない。 |
地面から組み立てる足場だけでなく、吊り足場も作業前に点検を行わなければなりません。
そして、点検で異常が見つかれば、ただちに修理、補修を行います。
点検項目は、次のとおりです。
1.床材の損傷、取付け及び掛渡しの状態
2.建地、布、腕木等の緊結部、接続部及び取付部のゆるみの状態
3.緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食の状態
4.手すりや中さんなどの取りはずし、脱落の有無
5.幅木等の取付状態及び取りはずしの有無
7.筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の取りはずし、脱落の有無
上記条文の6と8が除かれていますね。
足場の組立や解体時は、作業主任者を要する、いわば危険作業になります。
組立や解体作業時には、墜落の危険があるため、それを防止する対策が重要です。
また、組み立て後、解体するまで、安全に高所作業を行うためには、足場が常に正常に機能する必要があります。
作業によっては、一時的に手すりを外してということも少なくありません。
すぐに復旧すればよいのですが、忙しさで、外したままにしたり、取り付けたけど、ボルトがゆるでいるということもあります。
足場設備の不具合は、命を危険に晒します。
毎日点検を行い、異常を直す。
これは、全ての作業者の安全のために、非常に大事なことなのです。
足場の点検には、きちんとチェックシートに記入し、保存しましょう。
点検もやったのかやっていないのか、分からないと、作業者も不安になります。
安全に設備を保持すること。これが大事ですね。
まとめ。
【安衛則】
第564条 足場の組立解体の作業を行なうときは、適切な措置をとって行わなけれればならない。 |
第565条 高さが5メートル以上ん足場組立解体作業については、足場の組立て等作業主任者を選任しなければならない。 |
第566条 足場の組立て等作業主任者に、作業指揮や材料の確認、保護具着用の監視などをおこなわせなければならない。 |
第567条 足場作業を行うときは作業を開始する前に、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。 |
第568条 事業者は、つり足場における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、点検し、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。 |
初めまして。こちらのサイトにて勉強させて頂いております。
足場の使用前点検について質問です。
足場組立作業時(中)は組立作業中の表示や立ち入り禁止の措置等で足場の使用前点検はしなくてよいのでしょうか?
足場組立した箇所で翌日から次の足場を建てていますが、前日組み立てた足場の作業床を使用して次の足場を組み立てているのですが・・・
使用前点検については足場組立中は必要ないのでしょうか?
コメントありがとうございます。
足場の使用前点検ですが、組み立て終えて、使用している範囲は点検が必要です。
一部組み立て終えて、組み立て終えた足場を使って、次の範囲の足場を組み立てている場合、
組み立て終えている範囲の使用前点検を行います。
組立中で立入禁止となっている範囲については、使用前点検は不要ですが、
作業中に安全に作業できるかの確認と点検は行ったほうがよいですね。
なお、組み立て終えている範囲については、作業前点検とは別に入念な点検も必要です。
この点検は注文者(多くの場合は元請業者)も実施しなければなりませんので、
忘れずに行ってください。