厚生労働省労働局長登録教習機関
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足場を構成する部材には、いくつかの種類があります。
主流は鋼管で組む鋼管足場です。
しかし場所や条件によっては、非常に少ないでしょうけど、丸太足場もあります。
鋼管足場も、単なるパイプもあれば、枠型の専用部材など、いくつか種類があります。
材料によって、足場の組み立て方も変わってきます。
ただし、重要なのは、壊れない丈夫な足場を作ることを目的にしているということです。
途上国では、部材が十分でなかったり、安全対策も不十分のため、竹を縄で結んで、組んだだけの足場で作業していたりします。
日本では、法的に不可な足場です。
仮にそのような貧弱だと足場だと、作業者の命は常に危険にさらされていることになるのです。
堅固な足場を作ることは、文字通り作業者の足場になるのです。
丸太足場や鋼管足場の規定については、引き続き安衛則にまとめられています。
【安衛則】
丸太足場を使用する場合は、基準に適合しなければなりません。
その基準とは、次のとおりです。
1.建地の間隔は、2.5メートル以下として、第1の布は3メートル以内とする。
建地とは、縦方向に伸びる支柱です。布とは、建地と建地をつなげる水平方向の部材です。
2.脚部は動かないよう埋めたり、根がらみを設ける。沈み込まないように、皿板などを置く。
3.接続部は堅固に固定する。
重ね継手は、1メートル以上重ね、2箇所で縛る。
突合せ継手は、2本以上の建地とするか、1.8メートル以上の添え木を付けて、4箇所で縛る。
4.各部材の接続部は、丈夫な鉄線などで縛る。
5.筋交いを補強する。
6.壁つなぎや控えをつける。
間隔は、垂直方向で5.5メートル以内ごと、水平方向で7.5メートル以内ごととする。
素材は鋼管や丸太などの強固なものにする。
引張材と圧縮材を用いる場合は、間隔を1メートル以内とする。
これらを満たすことが原則ですが、状況や仕事によっては、困難な時はあります。
その場合の例外規定もあります。
建地の間隔や第1の布の位置は、2本組やなべつりなどの補強があれば、例外とできます。
また建物の窓枠取付などの作業時で、一時的に壁つなぎなどを取り外す場合は、別途倒壊防止の設備を設けなければなりません。
丸太足場は、素材が木材ですので、強度などをしっかり確保しなければなりませんね。
今は、丸太足場よりも圧倒的に鋼管足場が主流です。
ほとんどが鋼管足場であると言ってもいいでしょう。
鋼管足場は、鉄で出来ていますが、丸太足場と同様に基準を満たさなければなりません。
次条も関係してくるのですが、鋼管足場の基準は次のとおりです。
1.足場の脚部は動いたりしないように根がらみを付けます。
また沈まないように敷板や敷角の上に建てます。
2.移動式の足場は、固定できるようにブレーキや歯止めを付けます。
移動式の足場は、ローリングタワーなどとも言われます。
3.接続箇所は、付属の金具などで確実に固定する。
4.横揺れを起こさないように、筋交いをつける。
5.壁つなぎや控えをつける。
間隔は、単管足場かわく組足場かで異なります。
単管足場の場合は、垂直方向に5メートル以内ごと、水平方向に5.5メートル以内ごと。
わく組足場の場合は、垂直方向に9メートル以内ごと、水平方向に8メートル以内ごと。
わく組足場のほうが、長い距離をとれるということですね。
その他、一時的に設備の一部を取り外すなどの場合は、丸太足場と同様に、補強などが必要になります。
次の条文も、鋼管足場の構造についてです。
( 令別表第8第1号に掲げる部材等を用いる 鋼管足場) 1)建地の間隔は、けた行方向を1.85メートル以下、 2)地上第1の布は、2メートル以下の位置に設けること。 3)建地の最高部から測って31メートルを超える部分の建地は、 4)建地間の積載荷重は、400キログラムを限度とすること。 5)最上層及び5層以内ごとに水平材を設けること。 6)はりわく及び持送りわくは、水平筋かいその他によって 7)高さ20メートルを超えるとき及び重量物の積載を伴う 2 前項第1号又は第4号の規定は、作業の必要上これらの規定により 3 第1項第2号の規定は、作業の必要上同号の規定により難い部分が |
この条文では、鋼管足場構造の基準になります。
鋼管足場には、パイプをつないで組み立てる単管足場と、わく形の建地を用いて組み立てる枠組足場があります。
それぞれで、基準が異なりますので、まとめていきます。
単管足場は、次の基準を守らなければなりません。
1.建地の間隔は、けた行方向を1.85メートル以下、はり間方向は1.5メートル以下とする。
けた行方向とは、作業床と平行で、はり間方向とは作業床と直角になる方向です。
建物に接する場合であれば、けた行方向は建物と平行、はり間方向は、建物に直角と言えますね。
2.地上第1の布は、2メートル以下の位置に設ける。
3.建地の最高部から測って31メートルを超える部分の建地は、2本組とする。
4.建地間の最大積載荷重は、400キロまでとすること。
平成27年7月法改正部分について、追記があります。
3の31メートル以上の場合は、2本組とありましたが、設計荷重を計算して、一定以下の荷重の場合は、1本でも構わないとなりました。
少し緩和されたという感じですね。
次に、わく組足場の基準です。
1.最上層及び5層以内ごとに水平材を設ける。
2.はりわく及び持送りわくは、水平筋かいその他によって横振れを防止する。
3.高さ20メートルを超えるとき及び重量物の積載を伴う作業を行うときは、
使用する主わくは、高さ2メートル以下で、主わく間の間隔1.85メートル以下とする。
単管足場かわく組足場かで、異なるので注意しましょう。
(鋼管規格に適合する鋼管以外の鋼管足場) 第572条 事業者は、鋼管規格に適合する鋼管以外の鋼管を用いて構成される 鋼管足場については、第570条第1項に定めるところによるほか、 各支点間を単純ばりとして計算した最大曲げモーメントの値が、 鋼管の断面係数に、鋼管の材料の降伏強さの値 (降伏強さの値が明らかでないものについては、引張強さの値の 2分の1の値)の1.5分の1及び次の表の上欄に掲げる鋼管の肉厚と 外径との比に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる係数を乗じて 得た値(継手のある場合には、この値の4分の3)以下の ものでなければ使用してはならない。
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鋼管足場で使用する部材は、基準を満たすものが市販されています。
これらについては、特に強度がどうだとか考えずに使えます。
しかし、常に足場用の鋼管を使うわけではありません。
手持ちの鋼管を用いて足場を作ることもあります。
その場合強度基準が重要になります。
適合以外の鋼管を用いる場合、鉄管の肉厚などを測り、基準に適合するかを確認してから、使用します。
(鋼管の強度の識別) 第573条 事業者は、外径及び肉厚が同一であり、又は近似している鋼管で、 強度が異なるものを同一事業場で使用するときは、鋼管の 混用による労働者の危険を防止するため、鋼管に色 又は記号を付する等の方法により、鋼管の強度を 識別することができる措置を講じなければならない。 2 前項の措置は、色を付する方法のみによるもので |
鋼管の強度を確認して使用する場合、使えるものもあれば、使えないものとが混在していると、作業者は判断に迷ってしまいます。
そのため、鋼管の識別ができるように記号や色を付けるなどします。
ただし、色分けだけという安易な方法ではいけません。
きちんと管理することが大切なのです。
丸太足場や鋼管足場などの材料の違いはありますが、原則として強固な構造にすることが求められます。
そのためには、建地間隔や壁つなぎなど、事細かに組み立てていかなければなりません。
作業主任者は、これらの基準を満たすような足場設計を行い、確実に作業されることを確認しなければなりません。
いい加減な作り方では、作業者を危険に晒します。
強固な構造にして、チェックをする体制が大切ですね。
まとめ。
【安衛則】
第569条 丸太足場については、材料や構造が適合したものでなければ、使用してはならない。 |
第570条 鋼管足場については、材料や構造が適合したものでなければ、使用してはならない。 |
第571条 鋼管規格に適合する単管足場、わく組足場などは、材料や構造が適合したものでなければ、使用してはならない。 |
第572条 鋼管規格に適合する鋼管以外の鋼管を用いて構成される鋼管足場については、十分な強度を持ったものでなければ、使用してはならない。 |
第573条 鋼管の混用による労働者の危険を防止するため、鋼管に色や記号を付する等の方法により、強度を 識別することができる措置を講じなければならない。 |