厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
「牛黒さん、注意してくださいよ。」
猫井川たちが仕事を終えて、事務所に戻ってくると、中から羊井メェの声が聞こえてきました。 何事かと思って、中に入ると、羊井が牛黒ベコに怒っているところでした。 どうやら今日の現場で、何かあったようです。 「分かってる。分かってる。そうガミガミ言うな。」 牛黒が、やれやれといった感じで答えます。 「もう何回もじゃないですか。ちゃんとやることはやりましょうよ。」 あまり反省が感じられない様子に、羊井はさらに言葉をつなげます。 牛黒は、羊井よりも年上です。 「おいおい、どうした? 外まで声が聞こえているぞ。」 そんな2人に、エスパニョール鼠川が口を挟みました。 「いや、鼠川さん。ちょっと聞いてくださいよ。 羊井のチームは、今日は建物基礎のコンクリート打設をしたのでした。 「じゃあ、コンクリートを打っていきますんで、牛黒さんはバイブレーターをお願いします。」 羊井はコンクリートポンプ車を誘導しながら、牛黒に言います。 「おう、任せとけ。と、バイブレーターはどこかな?」 「まだ車じゃないですか?準備お願いします。」 「じゃあ、準備するか。」 牛黒は、仕事は早くしっかりやるのですが、やり方は荒く、生傷の絶えない男です。 バイブレーターの電源は、発電機を使います。 「ありゃ、ドラムはどこだ?見つからんな。 牛黒はそう言うと、20メートルの延長ケーブルを取り出すと、発電機のコンセントにプラグを挿し、もう一方に、バイブレータのコンセントを挿し、伸ばしていきました。 ズルズルズルと、ケーブルは引きずられ、伸びていきます。 「あれ、ケーブルがちょっと短いか。 そう言うと、バイブレーターをその場に置き、車に延長ケーブルを取りに行ったのでした。 延長ケーブルを取ってくると、バイブレーターを持ち上げます。 「何だ、ちょっと濡れてしまったか。 バイブレーターについた水を軍手で拭うと、延長ケーブルのプラグを差し替え、また伸ばしていきます。 この時、延長ケーブル同士の接続部は、水たまりの近くに位置していたのでした。 「おーい、もう準備大丈夫だぞ!」 牛黒は型枠の側で、羊井に手を振ります。 「では、行きまーす。」 羊井はそれを確認すると、型枠の中にコンクリートを流し込み始めました。 ドボドボとコンクリートが入っていきます。 牛黒は、バイブレーターをコンクリートに差し込むと、スイッチを入れました。 ブブブと動き始めたところ、牛黒の手には痛みが走りました。 「いて!?何だ?」 痛みに驚いてスイッチを切ったのですが、痛みの原因が分かりません。 「まあ、いいか。」 牛黒は気にせず、またスイッチを入れました。 ビリッ! 今度はさっきよりもはっきりとした痛みが走りました。 「あいて!!」 強い痛みに思わずバイブレーターを落としてしまいました。 「どうしたんですか?」 そんな様子に驚いた羊井も、牛黒に尋ねます。 「いや、分かんねえんだけど、ビリっと来た。」 「ビリっと来た?感電ですか? そういうと、延長ケーブルをたどって見てみると、延長ケーブルの接続部が水たまりにハマっているのでした。 「ああああ、発電機切れ!プラグが水に浸かってる!」 そういうと、発電機近くにいた人に指示しました。 「牛黒さん、何でドラム使わなかったんですか? 「ああ、そうか。悪い悪い。車の中にドラム見つからなくてよ。」 「さっき、自分で出して、あっち置いたんじゃないですか! 「いや、ちょっとビリっと来ただけだから、大丈夫だって。」 「大丈夫じゃないですよ。ほんと、そういうのしっかりやりましょうよ。」 ・・・という感じだったんですよ。 羊井が話し終えると、半ば呆れ気味に鼠川が言いました。 「お前は相変わらずだな。羊井が言うように、注意が足りんぞ。」 「自分では注意しているつもりなんですけどね。」 「はぁ、してるつもりではなくて、必ずするの。 鼠川は、今度は羊井にも苦言を言います。 「でも、鼠川さん。言いたくもなりますよ。 それを聞いた鼠川は、 「そりゃ、牛黒が悪い。」 と、しばらく説教をするのでした。 牛黒は、豪快で明るい人なのですが、一緒に仕事するのは少し大変かもと思う鼠革なのでした。 |
今回は、猫井川とは違うチームの話です。
犬尾沢チームが土木などを中心とした仕事をしていますが、羊井チームは建築工事を中心に行っています。
今回主人公になった牛黒は、羊井チームのベテランです。
以前、頭をぶつけたという話で名前は出てきていましたが、今回のお話でもしっかりやらかしてくれていたようです。
牛黒のエピソードは、掘れば色々出てきそうです。
その分、羊井の気苦労は絶えないでしょうけど。
さて、今回のヒヤリハットは感電です。
感電は、体に電気が走る事故です。
強い電気が体を通ると、心臓を停止させ、死んでしまうこともあります。
そのような強い衝撃を与えるものですが、今や電気製品はなくてはならないものですね。
電気製品は、日常生活だけでなく、仕事においても欠かせません。
屋内の仕事だけでなく、屋外の仕事でも使います。
電気製品を使う限り、感電の危険は身近だと言えます。
普通に使っている分には、感電を気にすることはありません。
手に触れる部分には電気を通さないようになっています。
ところが条件によっては、普段使用しているものでも、感電することもあるのです。
今回のケースでは、延長ケーブルの接続部が水たまりに浸かっていたことが原因でした。
また軍手もバイブレーターを拾い上げた時に、水たまりに触れて濡れていたのでした。
水は通電をよくするのは知っていますね。
多少の水では、あまり気にする必要はありませんが、条件が整うと、感電してしまうのです。
それでは、ヒヤリハットをまとめてみます。
ヒヤリハット | バイブレーターのスイッチを入れたら、電気が走った。 |
対策 | 1.延長ケーブルを水たまりに接触させない。 2.コネクタが防水型の延長ケーブルを使用する。 3.ゴム手袋などを着用し、電気を通さない。 |
体に重大な影響をあたえるほどではなくとも、ビリっと来る感電は身近です。
電気が走る痛みは、耐えられるものではありません。
電気製品の感電は、事前の注意で防げます。
ケーブルの被覆が破れていないか、充電部が露出していないかなど、事前点検が必要です。
もちろん、水たまりの中で使わないなども大切です。
牛黒は、色々と気にしなさすぎだったかもしれませんね。