厚生労働省労働局長登録教習機関
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リフトは荷物を上げ下げするためのエレベーターです。
大きく重い荷物を、階上に持って上がったり、降ろしたりするのは、非常に大変です。
一度に運べる量も、頑張っても数キロから10キロ程度と、限られていますしね。
リフトだと一度に数百キロくらいは運べます。
2階や3階のある倉庫では、荷物を上げ下げするリフトやエレベーターは必須の機械といえます。
とても便利ですが、一方ではその強い力が害を及ぼすことがあります。
今回は、工場などではありませんが、荷物用のリフトによって引き起こされた事故を紹介します。
この事故を事例として、原因を推測し、対策を検討してみたいと思います。
荷物用リフトに挟まれ男性死亡 真室川
(平成27年2月9日)
9日午前8時半ごろ、真室川町大沢、農業兼除雪作業員が、自宅から約120メートル西側の車庫兼農作業小屋で、床と荷物用リフトの間に挟まれた状態で見つかった。被災者は心肺停止状態で、その後、死亡が確認された。
新庄署によると、リフトは電動で小屋の1階と2階を昇り降りするタイプ。被災者は正座し、前かがみの体勢で床とリフトの間に挟まれていた。リフトには重さ約60キロのまきが積んであった。2階のまき置き場から1階に下ろし、自宅へ運び出す途中だったとみられる。リフトを持ち上げるため、レスキュー隊が出動した。 被災者は1人暮らし。同日朝、親戚宅の除雪作業に来なかったことから親戚の女性が近隣住民と捜し、発見。地区長を通じて119番通報した。知人の話によると、6日夕方以降、連絡が取れていなかった。 |
この事故の型は「はさまれ」で、起因物は「荷物用リフト」です。
被災者は、2階からマキを下ろしているところ、床とリフトの間にはさまれてしまいました。
その後救出されたものの、残念ながら亡くなられてしました。
どうして、このようなことが起こったのでしょうか?
考えられることは、下降中に、被災者が下に潜り込んでしまったことです。
潜り込んでしまった理由など、詳細は分かりません。
おそらくリフトの下に何かが落ち、取ろうとしたのではないでしょうか。
もしそれが原因であれば、被災者は、当然降りてくるまでに、抜け出せると思ったはずです。
油断が招いた事故という可能性があります。
もう1つ考えられるのは、リフトを支えるワイヤが切れて、落下してしまったことです。
どちらが原因かは、分かりません。
それでは、原因を推測してみます。
1.リフト下降中に下に潜り込んだこと。
2.リフト稼働中に近づくなど、危険意識が低かったこと。
3.ワイヤが切れ、落下してきたこと。
1と2、3は原因がことなります。
いずれにせよ、リフト稼働中に近づきすぎていたことが、事故に巻き込まれることになりました。
どのような機械であっても、稼働中は、安全な距離をとることが大切です。
リフトの下降速度を見誤ったのか、油断していたのか、危険意識が薄かったのではと思われます。
またワイヤが切れていたことが原因であれば、定期的な点検を怠っていたことが考えられます。
対策を検討してみます。
1.リフトの下に物が転がり込んだとしても、下降中には取りに行かない。
2.リフトの稼働中は、十分な安全距離をとる。
3.ワイヤなどの設備を定期的に点検する。
例えボールペンであっても、落ちてしまったら反射的に手を出してしまうのは自然なことです。
しかし、時と場合によっては、その気持ちをぐっと抑える必要があります。
リフトが降りてくる場所は、ぐっと抑えるべき場所と言えます。
ちょっとの時間なら大丈夫と思っても、そのちょっとの時間が危険を生み出すのです。
リフトなどの上げ下げでは、機械が停止するまでは、安全な距離を保たなければなりません。
近くにいて、体だけでなく、服の一部が巻き込まれるだけでも、事故になるのです。
また、ワイヤが原因であれば、点検により、状態を正常に保つことが大切です。
このリフトは、個人所有のようなので、会社のように義務的に点検を行うというのはなかったかもしれません。
場合によっては、10年以上点検されていなかったかもしれません。
会社所有でも個人所有でも、機械は劣化していきます。
点検は大切なのです。
リフトの下にはさまれるということは、思いもよらない事故でしょう。
しかし、ちょっとした油断が、大きな被害を生み出してしまうのです。
日常的に使用する機械は、慣れていきます。
慣れて多少の危険は気になりません。
慣れは仕方ないのですが、その慣れにいかに対応していくかが、事故防止に大切です。