厚生労働省労働局長登録教習機関
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発電所から送電する電気は、数万から数千ボルトの高い電圧です。
しかし高い電圧のまま使用すると、機械の電気回路がショートしてしまいます。
それに、高圧であればあるほど、感電時の被害も大きので、危険極まりありません。
もしそのような電圧のままで扱うものが溢れていたら、ラピュタに出てきた竜の巣の中にいるようなものです。
実際に機械に電気をつなげる時には、もっと低い電圧にしなければなりません。
低くするためには、電柱などに取り付けられている変圧器で、電圧を落とし、家庭や事業所に送り込みます。
そして工作機械などであれば100ボルトから200ボルト、家庭であればもっと低い電圧で取り扱うのです。
交流で600ボルト以下、直流で750ボルト以下の電圧は、低圧と分類されます。
低圧は、高圧や特別高圧よりも、人体に与えるダメージや危険性は低くなります。
しかし、低圧といえども、感電死するには十分な電流になるのです。
低圧の電流は、身近に溢れています。
すぐ側のコンセントにも、この電流は来ているのです。
身近な分、取り扱い方を誤ると事故になります。
家庭の電気工事では、低圧のものを扱うことが多くなりますので、特にそのような工事に携わる人は、よく理解しておく必要がありますね。
【安衛則】
低圧といえども、電気が通った状態で取り扱うには慎重にならなければなりません。
ケーブルは、絶縁性の被覆カバーがあるため、触っても大丈夫ですが、危険なのは機械と接続している金属部です。
電気ケーブルでいうところの、コンセントに差し込む二股のプラグです。
ここはよく電気を通します。
コンセントであれば、プラグは差し込まれているので、そう簡単に触れません。
もし半分抜け化ている状態のプラグに触ると危険ですね。
工業製品などでは、接続部が露出していたり、容易にカバーが外せるというものも少なくないのです。
低圧であろうがなかろうが、電気が通電、充電している場所を触るときには停電することが原則です。
しかし、時として電気通ったままの、活線状態で取り扱う時もあるのです。
低圧の充電電路などの点検や修理など、活線状態で取り扱う場合は、絶縁用保護具を身につけて作業します。
絶縁用保護具とは、作業者の身につけるものです。具体的にはゴム製の手袋や腕全体を覆うカバー、前掛けなどがあります。
必ずこれらの保護具を身につけて作業しましょう。
保護具を身につけない場合は、高圧の取り扱いと同様に、活線作業用器具を使用します。
低圧の電路などそのものを取り扱わないにしても、電路の支持物など近接する場所で作業を行うこともあります。
直接触るわけではないので、感電の可能性は少し下がりますが、依然危険が残ったままになります。
低圧の電気充電部付近での作業時は、充電部に絶縁用防具を取り付けるか、作業者が絶縁用保護具を身に付けるなどします。
体のどこも全く触れる心配がない場合は、絶縁用防具は不要です。
また絶縁用防具を取り付ける時は、どうしても充電部分に近づくので、保護具を身につけた上で、取り付けます。
低圧は、文字だけ見ると危険は低そうに見えますが、十分に危険です。
「42ボルトは、『しに』ボルト」という言葉があるそうです。
後の条文で、これら一連の条文にある対策は、50ボルト以下では必要ないというものが出てきますが、42ボルトでも、人は感電死する恐れがあります。
ましてや100ボルトや200ボルトは、より危険度が高いのは分かりますね。
本当は、ピカチュウの100万ボルトなどは、食らったら一瞬でライフゼロになるほど、恐るべきスキルなのです。
低圧は、電気工事士が最もよく取り扱う区分です。
従事者が多く、慣れてしまうことも多いでしょうが、その危険性は十分に理解しなければなりませんね。
まとめ。
【安衛則】
第346条 低圧の充電電路の点検、修理等を行う場合は、絶縁用保護具を着用させる、または活線作業用器具を使用させなければならない。 |
第347条 低圧の充電電路に近接する場所で電路又は その支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なう場合において、絶縁用防具を装着しなければならない。 |