厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
電気を取り扱う場合は、感電を防ぎます。
特に活線、電気が流れている電線や機械と電線の接続部に触れる場合は、より一層の注意が必要です。
原則としては、停電させて、電気が通っていない状態で作業を行います。
しかし停電させてしまうと、影響がある場合は、活線状態で作業せざる得ないこともあります。
そのような場合、感電の危険性はグッと増してしまいます。
感電の防止策として、電気を通さない防具を、電気が通っている場所に取り付けたり、保護具を身につけたりします。
それら防具や保護具は、身を守るための最後の砦になるわけです。
そのため、これらのものについても、安衛則で規定が設けられているのです。
【安衛則】
絶縁用防具、保護具、活線作業用器具、作業装置は目的に応じた、適切な材質や寸法のものを使用しなければなりません。
1項の各号には、他の条文に応じたものとありますが、これらは要するに、高圧、特別高圧、低圧などそれぞれに応じたものを使用しなければならないということです。
絶縁用保護具などでは、ゴム製のものが多いです。
しかし低圧用と高圧用で、全く同じものが使えるかというと、そうではありません。
高圧用には、より分厚く、電気を遮断するものを使用する必要があります。
また特別高圧では、絶縁用防具、保護具は全く役に立ちません。
活線作業用器具や装置でなければ、作業を行うことができません。
カーボンや竹など、電気を通さない素材を用いた道具を使います。
また低圧区分でも、弱電、強電といった区別があります。
電圧に応じた絶縁用防具や保護具を使いましょう。
100ボルトまでしか耐えられない保護具で、600ボルトの活線を扱ってはいけないのです。
防具、保護具、器具などは、全て身を守るためのものなので、適切なものを使用しなければなりませんね。
クレーン作業や掘削作業、くい打ちなど、上部に腕を伸ばす時の注意です。
周りに何もない平地であれば、問題ありませんが、作業場によっては鉄塔や電柱、電線のすぐ近くということもあります。
そんな場所で、何の気なしにアームやブームを持ち上げていくと、電線に接触し、運転者が感電してしまう恐れがあります。
電線や充電部が露出している機器の側で、クレーンやくい打ち作業など行う場合は、感電防止のための対策を取らなければなりません。
対策としては、次の方法があります。
1.電線を迂回させるように、移設する。
2.充電部に振れないように、囲いや覆いを取り付ける。
3.充電部に直接振れないように、絶縁用保護具を取り付ける。
4.いずれの方法も困難な場合は、監視人に監視させる。
これらの対策がありますが、非常に大切な注意があります。
それは、勝手にやってはいけないということです。
これらの対策は、必ず電力会社と相談しましょう。
多くの場合は、電力会社が作業を行ってくれます。
対策の内、最も安全なのは、危険箇所を無くすことです。
それには移設するのが一番ですが、大掛かりなので、簡単にはできません。
移設できない場合は、触れないように対策すること。
囲いや覆い、絶縁用防具を取り付けることですね。
工事現場付近の電線では、黄色と黒のトラ柄のカバーが取り付けられているのを見たことはないでしょうか?あれが、保護具ですね。
これらの方法がとれない場合は、監視人に監視させます。
監視人は、電線に近づきすぎたり、接触しそうな時は、ストップさせます。
しかし目視なので、精度が高いとはいえませんね。
これらの対策の補助としては、電線の下に別のロープを張ることが併用されます。
いわば接触限界ラインを設けることです。
クレーンのアームなどは、接触しなくとも、近づきすぎると誘電してしまうことがあります。
誘電を防ぐためには、一定の距離を保つ必要があります。
ロープを張って、限界ラインを明示し、一定距離以内に近づかせないのも有効な手段ですね。
活線状態の電線などを取り扱う時は、電圧に関係なく、十分な対策が必要です。
対策とは、すなわち感電から身を守る方法のことです。
身を守る方法としては、防具や保護具、作業方法の検討ですが、これらを十分に用いなければなりません。
電気は、目に見えません。
取り扱うには、それ相応の準備が必要なのですね。
まとめ。
【安衛則】
第348条 絶縁用保護具等については、それぞれの使用の目的に適応する種別、材質及び寸法のものを 使用しなければならない。 |
第349条 架空電線又は電気機械器具の充電電路に近接する場所で、工作物の建設、解体、点検、修理、塗装等の作業や、くい打機、移動式クレーン等を使用する作業を行なう場合においては、電路を移設、囲い、監視人を配置するなどの措置をとらなければならない。 |