厚生労働省労働局長登録教習機関
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運送業や流通業では、倉庫に運び込んだ荷物を、一時的に保管します。
倉庫の中では、荷物の出し入れがしやすいように、積み上げたりします。
倉庫内で積み上げられる荷物は、「はい」と言います。
はいの積み上げは、うまく積んでいかないと、崩れてしまいます。
そのため、2メートル以上のはいの積み上げや崩す作業にあたっては、作業主任者を必要とします。
つまりそのような安全体制を必要とするくらい、危険を伴う作業なのです。
先日、北海道で積み上げた飼料が崩れるという事故が起こりました。
残念ながら、飼料の下敷きになった1人の方が亡くなってしまいました。
今回は、この事故をとりあげ、原因の推測と対策を検討してみます。
飼料袋の下敷きで男性死亡 北海道・中標津
(平成27年3月9日)
9日午前8時10分ごろ、北海道中標津町の運輸会社倉庫で、男性会社員が飼料袋の下敷きになっているのが見つかり、病院で死亡が確認された。
中標津署によると、被災者は同僚2人と作業中だった。1個約500キログラムの飼料袋が6個崩れたといい、積み方に問題がなかったか調べている。 |
この事故の型は「飛来・落下」で、起因物は「飼料袋」です。
1個で約500キロもの重さの飼料袋が6個も崩れてきた事故でした。
全てが被災者の上に落ちてきたわけではないでしょうが、合計3トンもの重さの飼料袋が落下してきたようです。1つ1つの袋も大きいので、かなり広範囲に崩れたものと思われます。
飼料袋は、当然のことながら人力では持ち上げることはできません。
倉庫内の天井クレーンか、フォークリフトなどで積んでいたはずです。
積み荷、はいの高さが2メートル以上になる場合は、作業主任者を直接指揮しなければなりません。
事故が起こった作業中は、2名で作業をしていたとのことなので、いずれかの方が作業主任者をされてしたかもしれません。
作業主任者の職務には、作業手順などを直接指揮をすることが含まれます。
当然、崩れないような積み方を指揮することも含まれます。
残念ながら、崩れた飼料袋はバランスが悪かったようです。
はいの積み方には、ただ上に上に積んでいけばよいわけではありません。
2メートルを超える場合は、崩れ落ちるのを防ぐために、段々にしていきます。
積み方等は、調査が行われているようですが、適切に積まれていなかった可能性は高そうです。
またフォークリストを使用していたならば、適切な作業計画や指揮体制も必要になります。
天井クレーンの場合も、有資格者が行わなければなりません。
ただ倉庫内に荷物を積み上げるというものでも、あれこれ体制が必要なのです。
それでは、原因を推測します。
1.積み荷がくずれてしまったこと。
2.作業主任者による適切な体制がとられていなかったこと。
3.作業手順、作業方法が適切でなかったこと。
積み荷が崩れてしまったということは、積み方が適切でなかった可能性が高そうです。
飼料袋は柔らかいものなので、形が容易に変わります。
そのため、少しバランスが崩れたような積み方でも、何となく積めてしまったりします。
ただ一定以上に傾くなど、バランスが崩れると、一気に崩れてしまうわけです。
対策を検討してみます。
1.崩れないように適切に荷物を積む。
2.作業主任者を配置し、安全に作業を進める体制をとる。
3.作業方法、手順などを適切に定め、行わせる。
はい作業は、流通業では欠かせません。
一方で、作業主任者を必要とする危険作業でもあります。
日常的に行う作業であれば、少人数で行い、作業主任者をわざわざ配置ということも少ないかもしれません。
しかし、危険があることは理解しておく必要があります。
運送業、流通業での荷役作業での事故は絶えません。
運送中の交通事故も注意が必要ですが、拠点となる倉庫での事故も注意が必要ですね。