厚生労働省労働局長登録教習機関
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プレス機に限らず、機械は長く使うと、摩耗したり、故障したりします。
それこそ、昨日まで普通に使えていたのに、急に壊れるなんてことも少なくありません。
工場で使う機械は、1台で数百万から数千万するような高価な機械です。
少し調子が悪いからといって、簡単に取り替えるということはできません。
10年、20年と長く長く大切に使っていく必要があります。
長く使うためには、壊れた部分を修理するのはもちろんのこと、常日頃のメンテナンスも大事です。
可動部にはオイルを差す、油汚れは取り除くなどから、動きにおかしなところはないかをチェックすることが、大事です。
機械の調子が悪くなると、様々な影響が出てきますよね。
まずは、製造できないこと。これはものすごく困ってしまいます。
次に品質が悪くなること。製品ができたはいいが、質が悪く出荷できないとなるのも困りものです。
そして、安全面にも影響が出ます。
不意に暴走したりすると、側で作業を行っている人に危害が及びます。
正常な状態を保つことは、品質と安全には最重要な事なのです。
機械の中でも、プレス機は特に定期点検などが義務付けられています。
扱いとしては、クレーンやボイラー等と同様であると言えますね。
【安衛則】
プレス機は、1年以内に1回、定期自主検査を行わなければなりません。
ただし1年以上使わないことが分かっている場合は、検査は免除されます。
検査内容は、動力装置やブレーキなどの制御装置などの他、安全装置も対象となります。
人間でいうところの、年1回の検診のようなものです。
日常の点検だけでは、目が届かない細かな点も、年次の検査で確認するのです。
定期自主検査を行うのは、プレス機だけではありません。
シャーについても行います。
シャーも1年以内1回ごとに、定期自主検査を行います。
検査内容は、プレス機と似通ったものが多いです。
こちらも、普段の点検では目の届かないところまで、チェックを行います。
(定期自主検査の記録) 第135条の2 事業者は、前2条の自主検査を行ったときは、 次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。 1)検査年月日 2)検査方法 3)検査箇所 4)検査の結果 5)検査を実施した者の氏名 6)検査の結果に基づいて補修等の措置を |
定期自主検査はただ行っただけではいけません。
必ず記録を残します。
定期自主検査は記録し、3年間は保管しなければなりません。
もし事故があった場合、定期自主検査を行っていたかは、調査対象になります。
口でやってましたと言っても、証拠になりません。
実施していたとしても、記録がなければ、やっていないことになるのです。
検査を行うのはもちろんのこと、記録の保管も必ず行いましょう。
プレス機もシャーも、定期自主検査を行う必要がありますが、検査の仕方については、大きく異なります。
シャーは、自主検査なので、自社の整備担当が検査し、記録しても大丈夫です。
多くの場合は、メーカーやメンテナンス業者が行うと思いますが、法的には問題ありません。
しかしプレス機は、自社の整備担当が行うのではダメなのです。
プレス機の定期自主検査は、特定自主検査としなければなりません。
特定自主検査とは、有資格者が行う検査ということです。
資格をとるためには、一定の学科等を修め、経験年数が必要となります。
大きな工場等であれば、そのような人材を抱えることができるかもしれませんが、多くの場合は難しいでしょう。
そのため、専門のメンテナンス業者やメーカーで長年業務に携わる人が、特定自主検査を担当します。
つまり特定自主検査とは、プロが厳しくチェックする検査なのです。
特定自主検査の対象となる機械には、フォークリフトや移動式クレーンなどいくつかあります。
プレス機もこのような機械と同様、厳しく検査される機械なのです。
それだけ、取り扱いに慎重さを要求される機械だとも言えます。
特定自主検査を終えたプレス機には、検査証が貼り付けられます。
この検査証がなければ、原則使用できないのです。
注意点として、プレス機は特定自主検査の対象ですが、シャーは対象ではありません。
シャーは、あくまでも定期自主検査の対象となります。
混同しそうですが、区別はあるので、注意が必要です。
労働安全コンサルタント試験では、この辺りは出題されますので、要チェックです。
プレス機は、取り扱い時には作業主任者を必要とし、定期検査も特定自主検査となるほど、厳密に管理される機械です。
それだけ事故になった時の被害が大きく、危険が多い機械だと言えます。
危険の大きな機械なのですから、点検を怠るわけにはいきません。
特定自主検査は、毎年のように出費されるものです。
しかし品質を保ち、安全に長く使い続けるためのものです。
確実に、検査を行っていく必要がありますね。
まとめ。
【安衛則】
第134条の3 動力プレスについては、1年以内ごとに1回、自主検査を行わなければならない。 |
第135条 動力により駆動されるシャーについては、1年以内ごとに1回、自主検査を行わなければならない。 |
第135条の2 自主検査を行ったときは、次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。 |
第135条の3 動力プレスの自主検査は特定自主検査とする。 |