厚生労働省労働局長登録教習機関
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労務や安全等の情報を扱った、労働新聞社に安全スタッフという雑誌があります。
これは月2回発行されているのですが、NO.2231(平成27年4月1日)号に、興味深い記事があったので、紹介ししたいと思います。
その記事は、特集記事のようになんページにもわたって紙面をさいたものではなく、コラムなのですが、その中に新入社員の事故について書かれていました。
簡単にまとめると次のような感じです。
4月になって新入社員が入り、仕事を始めます。
新入社員が被災する事故について、実は最初の1週間に多発する傾向があります。
そしてこの傾向は、全くの未経験者だけでなく、長年業界に携わってきたベテランでも、新しい職場に移ってから、1週間以内に事故にあう傾向にあります。
慣れない作業、環境という理由が大きいのですが、作業方法を教えるのと同時に安全意識も教える必要がある。
何となく分かるような気もしますが、最初の1週間に事故が多発というのは、驚きです。
実際に次のようなデータがあるそうです。
入場からの日数 | 事故発生率 |
2日目 | 約11% |
1~7日目 | 約61% |
建災防「現場入場経過日数別・災害の種類別死亡災害発生状況(平成22年)」
7日めまでの事故発生率が約61%というのは、かなり多いのではないでしょうか。
原因としては、やはり「慣れていない」ということが一番だと思われます。
作業に慣れていない。
現場に慣れていない。
こういったものがあります。
その他にも、
人間関係に慣れていない。
ということも、慣れない内に入ります。
作業には慣れているはずの、ベテランでも初めての現場に入った直後に事故にあいやすい事を考えると、環境というものも影響をあたえるようです。
では、慣れていないと、どうして事故になるのでしょうか?
まず、作業が未熟であることがあるでしょう。
日曜大工に慣れていない人が、トンカチやのこぎりを扱うのを考えてみると分かるかもしれません。
側で見てる方としては、怖くてしかたないですよね。
しかも仕事に慣れていないので、どう未熟なのかすら、本人にはわからないのです。
やり方がわからないのであれば、先輩に聞けばいいと思います。
しかし、これが2つ目の原因なのです。
新たな環境に飛び込んだばかりの新人は、その場の人間関係にも慣れていません。
そのため、質問もしづらいということもあります。
聞けないから、自分で考えてやってみる。
結果として、危険なやり方を進めていることもあるでしょう。
3つ目の原因は、ベテランが当たり前と思っていることを知らないということです。
ヘルメットを着けること、高所では安全帯を使用すること、機械の使用時には安全装置を確認することなど、長年仕事に携わっている人にとっては、当たり前となっていることがあります。
自分自身でも、当たり前すぎて、それが特別なことだとも思いにくいことです。
ところが、これが誰にとっても当たり前ではないのです。
今までやったことがない人には、そんな当たり前はありません。
ヘルメットはともかく、安全帯て何?というところからです。
自分たちが当たり前と思っていることは、決して相手の当たり前ではない。このキャップを意識しておく必要があります。
4つ目の原因は、緊張ではないでしょうか。
新入社員にかぎらず、初めての環境は、誰しも緊張するものです。
初めて仕事する人もたくさんいるのでしたら、何年仕事に携わっていても緊張感はあるでしょう。
少し固くなることが、思わぬ怪我を招くこともあるのです。
5つ目の原因としては、環境への不慣れです。
特に建設業などでは、短期に現場が変わります。入ったばかりの現場では、どこが危険なのかも十分に把握できていません。
そんな状況なので、危険箇所に足を踏み入れて事故ということもあるのです。
他にも原因があるかと思いますが、以上のような事が、慣れないことによる事故の原因ではないでしょうか。
まとめると、次のようなことです。
新入社員、新規入場した現場では、最初の1週間に事故が多発。
その原因としては、慣れていないことが大きい。
どういったことに慣れていないのかというと、作業、人間関係、常識、環境、現場などです。
最初の1週間に起こる事故への対処としては、現場でしっかり監督することが重要です。
そして、しっかりと教育することも大事です。
入社時の、雇入れ時教育は義務付けられているので、この時に危険作業についてや、心構えなどを教えておく必要があります。
また新しく作業場に入るときには、新規入場者教育で、どこに危険があるのかをしっかり伝えておく必要があります。
多くの会社では、教育方法としてOJT、つまり仕事をさせながら教育する方法が取られていることと思います。
OJTの時には、仕事のやり方だけでなく、仕事の時の注意点や危険作業、安全対策などについても、十分に教えましょう。
安全対策を疎かにして教育すると、いつまで経っても危険な仕事のやり方を続けてしまうということになりかねません。
最初の1週間の事故多発の原因は、新人だけにあるのではありません。
事業者、そして現場の先輩たち全員が、守らなくてはならないのです。