○安衛法と仲良くなる製造機械・工作機械

粉砕機や混合機の危険防止。

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製造とは、原材料に必要な加工を行い、製品にすることです。

製品にするためには、原材料を切ったり、曲げたり、穴を開けたりなど手を加えて、材料にして、これを元に製品に仕上げていくのです。

パンは、収穫したままの小麦では使えません。
小麦の皮をむき、乾燥させ、すりつぶし小麦粉にして初めて、パンの材料になるのです。

原材料の加工には、小麦を小麦粉にするように、粉にして使うものも少なくありません。

工場で使う機械ですから、家庭用のミキサーやブレンダーなどとは比べ物にならないほど、大きく強力です。

材料を粉々にするのならともかく、もしその中に人が巻き込まれたら。
とても恐ろしいことになります。

材料を粉にする機械を、粉砕機と呼びますが、その粉砕機や、材料を混ぜ合わせる混合機の規定についてまとめます。

【安衛則】

第6節 粉砕機及び混合機

(転落等の危険の防止)
第142条
事業者は、粉砕機又は混合機(第130条の5第1項の機械を除く。)の
開口部から転落することにより労働者に危険が生ずるおそれの
あるときは、蓋、囲い、高さが90センチメートル以上の柵等を
設けなければならない。
ただし、蓋、囲い、柵等を設けることが作業の性質上困難な
場合において、要求性墜落制止用器具を使用させる等転落の危険を防止するための
措置を講じたときは、この限りでない。

2 事業者は、前項の開口部から可動部分に接触することに
  より労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、蓋、囲い等を
  設けなければならない。

3 労働者は、第1項ただし書の場合において、要求性墜落制止用器具等の使用を
  命じられたときは、これを使用しなければならない。

粉砕機は、材料を粉々にし、すりつぶす刃を持っています。
混合機は、容器内に回転する刃を持ち、材料を混ぜ合わせます。

家庭用のミキサーが大きくなったものをイメージするとわかりやすいと思います。
ミキサーは回転する刃を持ち、これが高速回転することで、材料を細かくしたり、混ぜ合わせたりします。

家庭用のミキサーは蓋をしないと動かないようになっていますね。
これは容器の中の材料が、羽の回転で弾き飛ばされても、外に飛び散らないようにするためのものです。

そして、蓋にはもう1つの役目があります。
それは、運転中に中に手など体の一部を入れて、怪我をしないようにするためです。

ブロック肉を、ミンチにしてしまう機械です。
手を入れるわけにはいきませんね。

粉砕機や混合機も同様なのです。
これらの機械は大型なので、材料の投入口や開口部に、人が落ちないようにする必要があります。

粉砕機や混合機の開口部からの落下を防ぐために、蓋や覆い、高さ90センチ以上の柵を設けなければなりません。
どうしても、蓋や柵を設けられない構造の時は、開口部に近づく作業者に安全帯(要求性墜落制止用器具)を着用させ、使用させなければなりません。

開口部の中は、刃が高速回転する恐るべき空間です。

ここに人が入らないことが何よりも重要な事なのです。

(内容物を取り出す場合の運転停止)
第143条
事業者は、粉砕機又は混合機(第130条の5第1項の機械
及び内容物の取出しが自動的に行われる構造のものを除く。)
から内容物を取り出すときは、当該機械の運転を
停止しなければならない。
ただし、当該機械の運転を停止して内容物を取り出すことが
作業の性質上困難な場合において、労働者に用具を
使用させたときは、この限りでない。

2 労働者は、前項ただし書の場合において、用具の
  使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

機械の内部で、加工し終えた材料を取り出すときの注意です。

中で刃が回転してるのに、取り出そうと手でも入れようものなら、それは悲惨なことになります。

中身を取り出す時は、刃は止まっていなければなりません。

粉砕機や混合機の中身を取り出す時は、機械を停止させなければなりません。
機械の停止ができない場合は、適切な用具を使用しなければなりません。

機械を停止させた上で、中身を取り出すのが一番安全です。

仮に機械が動いている状態で取り出さなければならない時も、直接手を入れるなどはしてはいけません。
取り出すための道具や用具を使います。

動いている最中に、体の一部も中に入れてはならないのです。

機械の中には、加工が完了したら、自動的に取り出すものもありますが、この場合は、停止したり用具を使用する必要はありません。

粉砕機や混合機は、材料加工にとっては必要ですが、人が巻き込まれるのは、なんとしても防がなければなりません。

機械の事故を見ていると、長年使っていると、メンテナンスなどの効率を考え、安全装置を外してしまい、そのため巻き込まれたということが少なくありません。

粉砕機等の事故でも、蓋をあえて取り外しているというケースもあるようです。
さらに、容器の中でダマや固まりができていたりすると、材料の位置を変えようとして、開口部から手を入れてしまい、事故になるということも、少なからず起こっています。

中に落ちてしまう、巻き込まれてしまうと、まず助かりません。
しかし、慣れは、その危険意識を、麻痺させてしまいます。

仕事の効率を上げるのは、大事です。
しかし、効率だけを求めた結果、事故を起こしてしまうと、全てがストップします。
これこそ大ブレーキ、最も非効率的になることでしょう。

安全は、非効率的に見えるかもしれませんが、そんなことはありません。
効率化も、品質向上も、安全あってこそのことなのです。

まとめ。

【安衛則】

第142条
粉砕機又は混合機の開口部から転落防止の為、蓋、囲い、柵等を設けなければならない。
第143条
粉砕機又は混合機はから内容物を取り出すときは、当該機械の運転を停止しなければならない。