○安衛法と仲良くなるクレーン作業

クレーンの安全 その5。 クレーンとの離隔。

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クレーンの設置にあたっては、落成検査等を受けなければなりません。
検査に先立って、実際に使う場所に設置することになりますが、この時に注意しなければならないことがあります。

それは、設置する場所についてです。

クレーンはどこに設置してもよいわけではありません。
必要な場所に置くのですが、条件を満たさなければなりません。

落成検査では、設置場所についての確認もあるので、導入段階では条件をクリアしています。
しかし、検査が通った後も、条件を維持し続けなければなりません。

条件とは、主にクレーン周りの整理整頓についてになりますが、力の強い機械であるため、重要になるのです。

今回は、クレーンと周囲の環境についての規則です。

【クレーン等安全規則】

(走行クレーンと建設物等との間隔)
第13章
事業者は、建設物の内部に設置する走行クレーン
(クレーンガーダを有しないもの及びクレーンガーダに
歩道を有しないものを除く。)と当該建設物
又はその内部の設備との間隔については、
次に定めるところによらなければならない。
ただし、第2号の規定については、当該走行クレーンに
天がい(クレーンガーダの歩道の上に設けられたもので、
当該歩道からの高さが1.5メートル以上のものに限る。)を
取り付けるときは、この限りでない。

  1)当該走行クレーンの最高部(集電装置の部分を
   除く。)と火打材、はり、けた等建設物の部分
   又は配管、他のクレーンその他の設備で、
   当該走行クレーンの上方にあるものとの間隔は、
   0.4メートル以上とすること。

  2)クレーンガーダの歩道と火打材、はり、けた等
   建設物の部分又は配管、他のクレーンその他の
   設備で、当該歩道の上方にあるものとの間隔は、
   1.8メートル以上とすること。

天井クレーンなどを設置している工場や倉庫などは、多いのではないでしょうか。

天井クレーンとは、天井付近にレールがあり、建物内を前後左右と動き、荷物を運びます。
この場合、クレーンはクレーンガーダーという、横梁の上を移動することになります。

クレーンが移動する時に、建物に接触していたら、クレーンや建物を壊すので、安心して使うことができませんね。

建物内にクレーンを設置する場合は、建物と一定以上の離隔をとらなければなりません。

最も壁や天井に近づいた状態であっても、接触しないようにする必要があるのです。

クレーンの上部は、建物の天井やはり、その他の設備から、少なくとも0.4メートル、つまり40センチ以上離れていなければなりません。

クレーンガーダの歩道がある場合は、建物天井などから、1.8メートル以上離れていなければなりません。ただし高さが1.5メートル以上の場所に、天がいという接触しないような屋根を置く場合は、この1.8メートル以上という条件は免除されます。

どちらも天井などや上部設備に接触しないようにする、離隔です。

十分に離隔をとった位置に、クレーンを設置するようにしなければなりません。

(建設物等との間の歩道)
第14章
事業者は、走行クレーン又は旋回クレーンと建設物
又は設備との間に歩道を設けるときは、その幅を
0.6メートル以上としなければならない。
ただし、当該歩道のうち建設物の柱に接する部分に
ついては、0.4メートル以上とすることができる。

クレーンが動いている時に、接触すると、大怪我になりかねません。

クレーンが建物や他の機械などに接近して、設置している場合、その間を通らないとすれば問題ないのですが、場所によっては、クレーンと建物の間が通路になっていたりすることもあります。

狭い場所をクレーンの脅威を感じながら歩くのは、怖いものです。
何よりも、歩行者と接触することは防止しなければなりません。

クレーンが建築物や設備などの間に歩道を設ける場合は、道幅を0.6メートル以上としなければなりません。
柱などがある場合は、その道幅は0.4メートル以上とすることができます。

本体が全く動かないクレーンであれば、壁にぶつかった程度で済みますが、動くクレーンであれば、被害の大きさは桁違いになります。

何トンもの重量があたってくるのですから、吹っ飛んでしまいます。

レールの上を移動するクレーンに対してもですが、アーム動かす時に、本体も旋回するクレーンに対しても、接触しない程度の道幅を確保しなければなりません。

(運転室等と歩道との間隔)
第15条
事業者は、クレーンの運転室若しくは運転台の端と
当該運転室若しくは運転台に通ずる歩道の端との間隔
又はクレーンガーダの歩道の端と当該歩道に通ずる
歩道の端との間隔については、0.3メートル以下と
しなければならない。ただし、労働者が墜落することによる
危険を生ずるおそれのないときは、この限りでない。

クレーン操作にあたっては、遠隔で行うこともありますが、多くの場合繊細な動きが必要なので、クレーンに付属する運転台で行います。

運転台は、地表付近にあるものもあれば、クレーン本体の先端、ジブの付け根に置かれていることもあります。

ビル建築などで使われるタワークレーンは、ビルの高さに加えクレーンの高さがある場所に運転台があります。
時として、地表からの高さ数百メートル。運転台への出入りは、高所作業とも言えます。

クレーン運転席に移動するときには、墜落の危険が伴うのです。

クレーン運転台に通じる歩道とクレーンガーダの歩道は、端と端の間が0,3メートル以下でなければなりません。

隙間をなるべく狭くして、歩道の間から墜落することを防ぐことが目的です。

ただし墜落防止のための措置、例えば柵があるなどの場合は、この隙間の規定は免除されます。

クレーンは使用する時に注意が必要ですが、周辺に対しても注意が必要なのです。

重量物を取り扱う機械なので、クレーン自身もずっしりと大きく重い構造をしています。

人や建物との接触は防がなければなりません。

また性質上、高い所に運転席を設けなければならないこともあります。
高所でつきまとうのは、墜落の危険。

クレーンを使用するにあたっては、周辺の環境整備が重要なのです。

まとめ。
【クレーン等安全規則】

第13章
事業者は、建設物の内部に設置する走行クレーンと当該建設物又はその内部の設備との間隔については、一定以上の離隔をとらなければならない。
第14章
走行クレーン又は旋回クレーンと建設物又は設備との間に歩道を設けるときは、その幅を 0.6メートル以上としなければならない。
第15条
クレーンの運転室若しくは運転台の端等と歩道の端との間隔については、0.3メートル以下としなければならない。