厚生労働省労働局長登録教習機関
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クレーンを取り扱うためには、資格が必要です。
しかし資格を持っているからといって、いい加減な取り扱いをしてはいけません。
クレーンを取り扱うにあたって最も大事なことは、「安全」な作業を進めることです。
作業の効率も、品質もまずは安全が土台にあってからこそです。
実際にクレーンを取り扱うとき、十分な注意が必要です。
限界を超えた重さのものを吊らない、ジブの角度を上げ過ぎないなど、よくよく考えたら当たり前だと思うものもありますが、きちんと歯止めをかけるための規定が必要です。
自動車も法的に制限速度を定めておかないと、住宅街でも猛スピードを出す運転者もでてきます。こういったものは防がなければなりません。
今回は、このような作業時の注意事項をまとめていきます。
【クレーン等安全規則】
クレーンは重いものを吊上げて、移動させる機械です。
そういった機械ですので、最も大事なことは、性能を超えた重いものを吊ってはいけないということです。
クレーンは、定格荷重を越える荷重のものを吊上げてはいけません。
これは原則ですが、例外もあります。
一定の条件をクリアした場合に限り、定格荷重以上の重さのものを吊ることができます。
その条件とは、第2項1号から3号の内容になります。
1.事前に労働基準監督署に報告書を提出する。
2.荷重試験を行い、問題がないことを確認する。
3.作業指揮者を指名して、直接指揮させる。
定格荷重以上を吊れるとはいえ、上限はあります。
上限は、定格荷重×1.25倍、吊り荷重が200トンを超える場合は、プラス50トンまでとなります。
落成検査などで行う試験荷重と同じです。
誤解がないように付け加えると、これらの条件を満たしたからといって、常時定格荷重を越えてよいわけではありません。
どうしてもこの荷物だけ、定格荷重を越えてしまうなどの臨時1回きりの話なのです。
原則は、定格荷重を越えてはいけません。
また定格荷重を越えて吊り作業を行った場合は、記録を残し、3年間は保管しましょう。
(傾斜角の制限) 第24条 事業者は、ジブクレーンについては、クレーン明細書に 記載されているジブの傾斜角(つり上げ荷重が3トン未満の ジブクレーンにあっては、これを製造した者が指定した ジブの傾斜角)の範囲をこえて使用してはならない。 |
重さの次は、傾斜角です。
長いアームやジブの先にワイヤーを垂らすジブクレーンなどでは、アームやジブを寝かせたり、立たせたりすることができます。
このアームやジブの角度で、ワイヤーの調整を行ったり、吊り荷の位置を調整します。
アームやジブの傾斜角は大切です。
角度によって、荷物の荷重が変わってしまうからです。
手に荷物を持つことを考えましょう。
手を水平にして、肘を伸ばしたとき、荷物は非常に重く感じないでしょうか。
そのままの姿勢でいると、手がプルプルして、辛くなるのではないでしょうか。
クレーンも同じです。
角度によって、荷重が変わるのです。
またクレーンの角度を上げすぎるのも危険です。
ジブの背の部分が、本体に接触し、ひどい時にはその部分にき裂が入り、折れてしまうなんてこともあります。
アームやジブが上下する範囲は決まっているのです。
ジブクレーンの使用にあたっては、決められた傾斜角の範囲内で使用しなければなりません。
これを超えると、重さに耐え切れなかったりして、ジブが破損してしまうことがあります。
重さも角度も、無茶な使い方はしていけないということです。
(定格荷重の表示等) 第24条の2 事業者は、クレーンを用いて作業を行うときは、 クレーンの運転者及び玉掛けをする者が当該クレーンの 定格荷重を常時知ることができるよう、表示その他の 措置を講じなければならない。 |
クレーンで定格荷重以上のものを吊らないためには、吊り荷の重量を知る必要があります。
荷物の中には、小さいのに重い物、大きいのに重さはさほどでもないものがあります。残念ながら、見た目から重さを判断することはできないの現実です。
そのためには、重さを知るための装置が必要になるのです。
クレーン作業の時は、クレーン操作者や玉掛け者などが、常時重さを知ることができるようにしなければなりません。
具体的には荷重計を備えておくことが必要になります。
荷重計は、アナログのものもデジタルのものもあります。
角度によっても重さは変わります。
ひと目で、今どれくらいの重さかがわかるものが必要なのです。
クレーン作業を行う場合は、クレーン操作者以外にも、玉掛けをする人など、複数の作業者が関わります。
これらの人が連携して、安全に作業を行う必要があるのです。
この時、吊り上げるタイミング、降ろすタイミングなどが伝わっていないと、荷物周辺の作業者が対応できず、接触してしまうことがあります。
誰もが、次に何をするのか、どこに位置すればよいのかなどを把握しておくかないと、危険なのです。
全員が状況を理解するために行うこと、それが合図です。
クレーン作業を行う場合は、一定の合図を決め、合図者を決め、その人が合図して作業を進めなければなりません。
ただし1人で作業する場合は、合図は不要です。
1つの作業場で、下請けなど複数の事業者が入る場合、合図がバラバラだと、何のことだかわからなくなります。
こういった場合は、元請け(元方事業者)は、合図を統一して、全ての関係請負人に使わせなければなりません。
この規定は、安衛則第639条で定められています。
合図者については、誰が行うのかをみんなは把握しておく必要があります。
合図者を明示するために、ヘルメットに目立つ色のカバーを被せたり、ベストを着用させるなどの工夫をするのもよいでしょう。
クレーンは、使い方に制限があり、決められた使い方があります。
一歩間違えたら大きな事故になりかねないものですから、事前に作業の方針などは、決めておく必要がありますね。
まとめ。
【クレーン等安全規則】
第23条 クレーンにその定格荷重をこえる荷重をかけて使用してはならない。 |
第24条 ジブクレーンについては、ジブの傾斜角の範囲をこえて使用してはならない。 |
第24条の2 クレーンを用いて作業を行うときは、定格荷重を常時知ることができるようにしなければならない。 |
第25条 クレーンを用いて作業を行なうときは、一定の合図を定め、合図を行なう者を指名して、その者に合図を行なわせなければならない。 |