厚生労働省労働局長登録教習機関
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クレーンの使い方には制限があります。
重い荷物を吊上げ、動かすということが主な仕事ですが、何かと応用も効きそうですけども、実際はやってはいけないことも少なくありません。
その1つが、人を吊り上げること。
クレーンはあくまでも荷物を吊り上げるものです。人を吊り上げるものではありません。
そんなことする人いないと思うかもしれませんが、何があるかわからないのが世の中です。
時として思いもよらぬことが起こってしまうのです。
ほんのちょっとの気持ちかもしれませんが、禁止事項は明確にしておかないと、止めることができないのです。
【クレーン等安全規則】
(搭乗の制限) 第26条 事業者は、クレーンにより、労働者を運搬し、 又は労働者をつり上げて作業させてはならない。 |
クレーンで、人と吊ってはいけません。
作業者が疲れたから運んでくれと言われても、吊ってはいけません。
しかし例外もあります。
例外は次の条文です。
クレーで人を吊り上げる例外規定です。
作業上どうしても必要、やむを得ない場合、クレーンの吊具に専用の搭乗設備を設けて、一定の条件を満たせば、人を吊り上げることができます。
一定の条件とは、人が墜落しないための措置です。
具体的には2項に定められていることを満たさなければなりません。
1.人が乗る搭乗設備は、金具が外れたり、回転したりしないようにしっかり固定します。
2.搭乗する人は安全帯(要求性墜落制止用器具)などの命綱を使用します。
3.降ろす時は、手動ではなく動力で降ろします。
決して乗っている人が落ちないようにしなければなりません。
クレーンの操作者は、荷物を運ぶ以上に、慎重に操作しなければならないのは言うまでもありませんね。
(立入禁止) 第28条 事業者は、ケーブルクレーンを用いて作業を行なう ときは、巻上げ用ワイヤロープ若しくは 横行用ワイヤロープが通っているシーブ又は その取付け部の破損により、当該ワイヤロープがはね、 又は当該シーブ若しくはその取付具が飛来することに よる労働者の危険を防止するため、 当該ワイヤロープの内角側で、当該危険を生ずる おそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。 |
クレーンは重いものを空中に吊上げて、移動させます。
その時怖いのが、荷物が落下することです。
そしてその時、落下する荷物の下に人がいたら、大変なことになりますね。
万が一を考えると、吊り荷の下に人がいることは、避けなければなりません。
クレーン作業中に危険な場所は、立入禁止としなければなりません。
立入禁止になる場所は、器具が壊れた場合を想定して、ワイヤーが跳ねる箇所、壊れた部品が飛んでくる場所などです。
またワイヤーロープの内角側は入ってはいけません。
内角側とは、ワイヤーの中間点の支えがある場所と反対側のことです。
支えが外れた時、ロープが襲ってくる恐れがあり、危険なのです。
吊り作業中は、近づかないことが大事ですね。
クレーン作業時は立入禁止とする場所がありますが、特に吊り荷の下には、人が入らないようにしなければなりません。
吊り荷の下は、原則といて立入禁止としておくのが安全です。
特に、次の場所は絶対禁止です。
1.ハッカーで荷を引っ掛けているもの。
2.クランプを1個だけ使って、吊り上げているもの。
3.ワイヤーやチェーン、ナイロンスリングで1箇所だけ巻かれているもの。
4.複数の荷物を一度に吊り上げているもの。
5.磁力や陰圧で、くっつけているだけのもの。
6.動力以外で荷物を下げるもの。
しっかり固定されていない、落ちるかもしれない場合は、禁止です。
ハッカーとは、返しのないフック、爪のことです。
H鋼やI形鋼などで引っ掛けたりします。
引っ掛けているだけなので、荷が滑ってしまうこともあるのです。
クランプも鋼材や板などを吊る時に使います。こちらは板を挟み、がっしりと掴むことができます。2個以上であればしっかり固定されますが、1個だけだと風に煽られ振れた時に落ちるかもしれないのです。
その他は、何となく分かりますね。
これらの条件から外れている場合は、荷の下に入ることは禁止されていませんが、原則として立ち入らないようにしましょう。
荷が絶対落ちないということはないです。
荷物が振れないように、ロープをくくり、地上から支えたり、降ろす時の補助をすることがあります。
こういった場合も、荷からはできるだけ離れて行うことが安全ですね。
クレーン作業時には、禁止しなければならないことがあります。
一定の条件を満たせば、例外的にOKなものの、原則は禁止であることを覚えておかなければなりません。
禁止されているのは、危険だからなのですから、そのことは忘れてはいけません。
まとめ。
【クレーン等安全規則】
第26条 クレーンにより、労働者を運搬し、又は労働者をつり上げて作業させてはならない。 |
第27条 作業の性質上やむを得ない場合又は安全な作業の遂行上必要な場合は、クレーンのつり具に専用のとう乗設備を設けて当該とう乗設備に労働者を乗せることができる。 |
第28条 ケーブルクレーンを用いて作業を行なうときは、危険を生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。 |
第29条 クレーンに係る作業を行う場合であって、荷の下に労働者を立ち入らせてはならない。 |