厚生労働省労働局長登録教習機関
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クレーンを操作というものは、ただ動かせばよい、というものではありません。
何トンもの鉄の塊が、操作レバー1つで前後左右するわけです。 ちょっとした操作ミスが、自分や周りの人の命になりかねません。
悪天候時には作業そのものが中止になりますが、作業時にも絶対やってはいけない禁止事項もあります。
またクレーンは使う前から、注意が必要とする機械です。
巨大なものですから、家電製品のように完成品をお店から持ち帰るわけにはいきませんよね。中には家よりも大きいものもあるので、トラックやトレーラーに載せらようはずがありません。
当然、部品ごとに運び、組み立てます。
巨大な機械の組み立ては、ちょっとしたビルを建物を建てるほどのプロジェクトです。 1つ1つの部品が数百キロから、数トンにもなります。 そんなものを扱うのですから、注意が必要ですよね。
今回は、クレーン作業時の禁止事項と、クレーンの組立作業時の注意事項を規定した条文をまとめてみます。
クレーン作業時の禁止事項 |
【クレーン等安全規則】
(運転位置からの離脱の禁止) 第32条 事業者は、クレーンの運転者を、荷をつったままで、 運転位置から離れさせてはならない。 2 前項の運転者は、荷をつったままで、運転位置を |
クレーン操作は大体において、ジブやワイヤー、吊り荷がしっかり見える位置から動かします。 福島第一原発などでは、近づけないため遠隔操作しなければなりませんが、多くの場合は目視できるところからが多いでしょう。
操作場所がどのような場所であれ、重要な事はクレーンオペレーター、つまり運転者が直接操作することには変わりありません。
操作中に特に重要な禁止事項があります。
クレーンオペレーターは、荷を吊った状態で、席を離れてはいけません。
吊り荷が宙に浮いた状態、ワイヤーに荷重がかかっている状態で、ちょっとトイレもダメなのです。 もしトイレに行きたいのであれば、吊り荷を下ろしてからにしましょう。
なぜ、吊ったままで席を離れてはダメなのか。
それは風で荷物が振られた時や、吊り荷がずれるなど、不測の事態が起こった時、対応ができなくなるからです。
また、荷物が吊上げられているということは、落下の危険を持っているということです。
危険な状態を危険なままで放置することは、何においても避けなければなりません。
クレーン作業で最も危険な瞬間というのは、言うまでもなく、荷が吊り上げている状態です。
この状態を最小にすることが、事故を防止するために大切なのです。
クレーン組立作業時の注意 |
クレーンは動力部分、鉄骨、ワイヤーなど、1つ1つが巨大で重い部品から成り立ちます。
クレーンを買っても、組み立てなければ使えません。
クレーンの組立は、何人もの技術者が、移動式クレーンを使って、数日から数週間かけて組み立てていきます。それだけ大きなプロジェクトになります。
クレーンの組立作業時には、安全のために様々な措置をとらなければなりません。
どのような措置かというと、次のとおりです。
1.作業指揮者を選任して、指揮させること。
2.危険場所を立入禁止にして、表示すること。
3.大雨や強風などの悪天候時は、作業を中止すること。
クレーン組立のプロジェクトのために、リーダーを定め、危険がないように作業を進め泣けばならないということです。
このプロジェクトにおいて、指揮者の役割は重要です。 具体的に、指揮者は次のことを行わなければなりません。
1.作業方法や作業者の配置を決定し、作業を指揮する。
2.材料や工具などの点検を行う。
3.作業者の保護具着用を監視する。
全体に目を光らせ、作業を状況を把握し、事故を防ぐことが何よりも大切だということがわかります。
ところで、これらの内容はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。
そうです、作業主任者の業務に共通します。
作業主任者については、こちらをご参照ください。
現場労災の防止者 「作業主任者」 | |
作業主任者の業務 その1 | |
作業主任者の業務 その2 |
クレーン組立は資格を必要とするものではありませんが、熟練の技術者を必要とする作業であることには、間違いありません。
クレーンに関する作業時は、組立時も荷吊り時も、しっかり人が目で見て操作しなければなりません。 作業の安全を誰かに任せてはいけません。
操作する人、指揮する人が責任を持ちます。
あらゆるクレーン作業時の責任を明確にすることを重要なことであると言えますね。
条文の要約 |
【クレーン等安全規則】
第32条 クレーンの運転者を、荷をつったままで、運転位置から離れさせてはならない。 |
第33条 クレーンの組立て又は解体の作業を行なうときは、 必要な措置をとらなければならない。 |