フォークリフト○事故事例アーカイブ

フォークリフトに「激突され」る事故

 

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私の会社では、フォークリフトを3台使用しています。

2台は積載荷重が1トン未満ですが、1台は積載荷重が2トンです。

全てのフォークリフト運転するには、技能講習が必要になります。

安全衛生教育と有資格作業1 「特別教育」

安全衛生教育と有資格作業2 「就業制限のある業務」

そして、毎年特定自主検査を受けなければなりません。

フォークリフトを安全に使用するための措置

フォークリフトは、工場や倉庫、輸送業に限らず、非常に多くの場所で活躍しています。 しかしながら、結構費用や手間のかかる機械でもあります。
何台も使用する場合であれば、作業者の資格費用や維持費もバカにならないのが実状です。

私の会社も、これから1月に1台ずつ特定自主検査を受けます。

フォークリフトが、これほどまでに資格者を必要とし、毎年検査を受けなければならないのは、それなりに意味があります。

フォークリフトによる事故は悲惨なことになるのが、理由としてあげられます。
平成26年度では、フォークリフト以外も含んだ「動力運搬機械」を起因物、つまり事故の原因とする、死亡者数は全業種で242人になります。
全死亡者数は、1,057人なので、約22%を占めます。起因物別では最も多い割合です。

厚生労働省事故統計

242人の死者数の内の約40%はトラックなどになり、フォークリフトが関係する事故がどれほどあるのかは、分かりません。
古いデータからの傾向から見ると、20%程度は占めているようですが、これは憶測に過ぎません。

フォークリフトと若い命というという記事を書いたのですが、私の周りでも死亡事故がありました。被災したの16歳の少年で、家の手伝いでフォークリフトを運転していた時に、転倒し下敷きになったのでした。

活用する場所が多く、身近な機械です。
そのため引き起こされる事故も、遠くの出来事ではありません。

今回は、厚生労働省労働事故事例を参考に、フォークリフトが人に衝突する事故、つまり「激突され」を紹介します。

労働事故事例

index_arrow 「激突され」ケース1 フォークリフトが旋回したとき、歩行中の作業者がひかれる
この災害は、トラックに荷積みするプラットホームにおいて、歩行中の作業者が旋回中のフォークリフトの後輪にひかれて転倒したものである。

この事業場は、荷物の輸送及び構内での仕分け作業を行っており、仕分け作業は被災者が勤務する下請業者が主に行っている。

災害発生当日、被災者は、午前中は全国から運ばれた荷物を地区内に配送するための仕分けを、午後は集荷されて全国へ運ぶ荷物の仕分けを行った。 午後5時から、夕方からの作業を行う作業者の作業開始前ミーティングが行われた後、夕方の作業が開始された。

フォークリフトの運転者Aは、プラットホーム上を西端の荷上げ場から荷物を行く先別の仕分け場所に運ぶ作業をおこなっていた。

ところが、仕分け担当者に置き場所の違いを指摘されたため、置き違えた荷物を取りに行って、パレット上に荷物を積んで旋回したとき、丁度、事務所に向かうためをその右脇を歩行していた作業者Bの左足にフォークリフトの後輪が乗り上げた。 Bは転倒し脳挫傷により死亡したものである。

歩行通路は、仕分け機のシューターの端部から約1m離れた位置に0.7mの幅で設けられているものの、この位置には、仕分けされた荷を保管するロールボックスが置かれていたため歩行ができない状況となっていた。

作業指揮者は、災害発生時はプラットホームから離れた場所でパレットの整理を行っていた。

事故事例ファイルNO.100854

この事故の型は「激突され」で、起因物は「フォークリフト」です。

荷物の仕分けでフォークリフトをしていた時に事故が起こりました。 荷物を積みんでから、動き出した時、ちょうど通りがかった作業者に接触。 作業者は、転倒して頭部を打った事故です。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

直接的なきっかけは、フォークリフトを運転していた作業者が、荷物の置き場所を間違えたため、正しい位置に動かそうとしたことですが、これはたまたま事故が起こった状況に過ぎません。

この事故は何時起こってもおかしくない背景があったことに気づきます。

工場や倉庫など、作業者と荷役運搬機械が行き交う場所では、通路が分けられているのが一般的です。
一般道でも、車道と歩道は分けられていますよね。フォークリフトは普通自動車並みのスピードは出さないものの、危険度で言うと一般車と同じくらいなのです。

しかしこの工場では、通路にロールボックスが積まれ、歩行できませんでした。
そのため作業者は、本来立ち入らないフォークリフトの運行ルートを歩いていたのです。

さらに、荷役運搬機械の運用は、作業指揮者を選任して、指揮させることになっています。
この事故現場では、指揮者は専任されていたものの、他の作業を行っていて現場には不在でした。

実状として、作業指揮者が常にフォークリフト等の指揮をとることなど、ないでしょう。
しかし事故が起こった場合、指揮者の存在は確認されます。

またこの会社では、安全意識が低かったというのも理由として考えられそうです。
通路に荷物が置かれている、フォークリフトの運転者は左右の確認が不十分だった、被害にあった作業者はフォークリフトに不用意に近づいていたことなど、危険に対する認識が低かったと言えます。

それでは、原因を推測してみます。

通路に荷物が置かれ、歩行者がフォークリフトの近くを通らなければならなかったこと。
作業指揮者が不在だったこと。
安全意識が低かったこと。
荷物の置き場所など、作業方法をあらかじめ伝えていなかったこと。

たまたまフォークリフトによる事故が起こったものの、その芽はずっと存在していたと言えます。

index_arrow 対策の検討

工場や倉庫などでは、通路と作業場、機械の運行ルートを明確に分け、守ることが大切です。
なぜ、区分するのかというと、この事故のような事故を防いだり、作業機械などに巻き込まれることを防ぐためです。

大体において、床にラインが引かれているはず。
このラインから荷物がはみ出るかどうかは、社内のモラルになります。
整理整頓などの4Sや5Sが行うことは、作業効率を上げるだけでなく、事故防止にもなります。

またフォークリフトを運転する人は、常に周りの確認をしなければなりません。
他の作業者も移動時には、通路から出ないことはもちろんのこと、機械に近づきすぎるのも避けなければなりません。
大丈夫だろうと、油断していると大きな事故に巻きこまれます。

また、荷役運搬機械の使用は、作業指揮者を必要とする業務です。
ずっと張り付いてられないという事情はわかるのですが、法的には必要とされています。
もし事故が起こった時には、その責任は免れません。

また事故を起こしたのは、下請け業者ですので、下請けを含めた安全体制を整えることが、元請業者としての責務になります。

対策をまとめてみます。

事業場の4Sを徹底し、通路に物を置かない。
作業指揮者は作業を指揮し、周囲を監視する。
作業者の安全教育を行い、ルールを徹底する。
下請けを含めた安全体制を整える。

フォークリフトは小回りが効くのが特徴です。
また荷物を積んでいると、周囲の視界も十分に確保できません。
だからこそ、運転者、作業指揮者、周辺の作業者全員が、注意する必要があるのです。

たまたまフォークリフトが起こした事故ですが、その事故の背景は、事故の芽があるのです。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第151条の3
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、あらかじめ作業場所を調査し、作業計画を作成し、作業すること。
第151条の4
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、作業の指揮者を定めて、指揮させなければならない。
第151条の7
車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、接触するおそれのある場合は、誘導者を指名し、誘導させる。
第151条の8
車両系荷役運搬機械等について誘導者を置くときは、一定の合図を定めなければならない。

これらの条文の解説は、こちら。
安全に荷役運搬機械を使用するための措置

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