厚生労働省労働局長登録教習機関
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まずは、最初に私の失敗談なんぞを。
私の会社では、作業車や乗用車、ダンプ、ユニック車などを合わせて、20台以上保有しています。
事業所で5台以上の車を所有している場合は、道交法に基づき、安全運転管理者を選任しなければなりません。
さらに20台以上所有している場合は、安全運転管理者に加え、副安全運転管理者も選任しなければなりません。
私は、主の方の安全運転管理者をやっています。
安全運転管理者の役割は、その名の通り、社用車が安全に運転されるように管理することです。 そのために、年に1回の法定講習に参加し、車両の管理をするわけです。
少し前置きが長くなりました。車両の管理の1つに、運行日誌があります。
正直に言うと、私の会社は、私が管理者になるまで、そんなのものありませんでした。
ISOの関係でやろうとしていた気配はありますが徹底されていません。ちなみにISOも今は更新していません。
まあ、ISOはともかく、私が管理者になってから、運行管理を行なうようになりました。
やり始めたものの、少々困ったこともあります。
私の会社では、各人が作業車を1台ずつ担当しているで、こちらはきちんと記入され、提出されます。
問題は、ダンプやユニック車などの供用車。 こっちは記入がなかったり、かなりいい加減な扱いです。 行き先が書いてないのに、メーターだけ見ると100キロ以上走ってるなんて、よくあることです。
発見したら、書かせるのですが、運行記録の記入は軽視されています。
なぜ、こんなに軽視されるのか。
1つ反省すべきことに気づきました。
それは、私もこれらの記録に対して、深く関心を持っていなかったのです。
記入をチェックして、距離を計算し、印を押すだけ。
中身までチェックしてません。 そのため、不具合を見過ごしていたり、オイル交換した報告も次の記録用紙で更新してなかったり。
集めて確認する人がいい加減なら、そりゃ書く方も適当になるはずです。
反省し、きちんと中身を精査するようになりました。
変化はどうなったかは、これから次第です。
そのチェックリストは、本当にチェックしたの? |
運行管理記録は、法定義務ではありますが、同時に車の状態を確認したり、運転者に無理がないか等をチェックするものでもあります。
管理者は、それを見てあげる必要があります。
いわば、提出する人と確認する人のキャッチボールでなければなりません。
これは、私の失敗であり、反省ごとですが、こういうのって身近でありませんか?
今回のテーマはチェックリストについてですけど、世の中にはいっぱいチェックリストはあるんじゃないでしょうか?
品質管理では、細かい仕様や出来栄えをチェックシートに記入しますね。
安全管理でも、大活躍です。機械や設備も年次自主点検から、毎日の作業前点検などまで、ありとあらゆるチェックリストがあります。
チェックリストの利点は、実施した項目と是非の判定を記録することができることです。
いわゆる、チェック漏れを防ぎ、各項目に対しての良し悪しを残せます。
とても手軽ですし、チェック項目は自由に決められるので、ありとあらゆる分野で使われています。
例えば、足場に関するチェックシートなら、こんな感じです。
きちんと項目に「レ」が入ったチェックリストは、日々提出され、綴られていっているでしょう。
さて、このチェックリスト、本当にチェックし、確認されているものですか?
正直言って、ただの提出物になっていませんか?
その「レ」は、本当にチェックしたんでしょうか?
本当に問題はなしだったのでしょうか?
もちろん1つずつチェックしているものもあります。
この間、会社で消防設備の点検を受けましたが、きちんとチェックしてくれてました。
しかし社内での管理書類、ISO関連の書類は、ただ「レ」だけを書いたものになっていませんか?
安全管理で見てみると、機械の日常点検をしっかりやっての「レ」でしょうか?
足場の点検をしっかり行っての、「レ」でしょうか?
実のところ、「レ」だけを記入するチェックリストは、機能しないことがあります。
あとから全部に「レ」を入れれば済むから。
あなたも、そんなことをした、覚えはありませんか?
ただ見たことを確認するとような、意図のないチェックリストは、意味をなしません。
本当にチェックしたかどうかなんて、確認できませんよね。
なぜきちんと実行しないのか、その理由は推測ができます。
面倒くさいからです。作業に直接関係のないことは、余計な手間になるのです。
チェックリストは、何をチェックするのかを意図するものの方が、効果を発揮します。
つまり、チェックリストは計画し、設計する段階が、非常に重要です。
誰が、どこの、どんな様子を見るのか。
ネットで落ちてるものを、そのまま適用しても、適用に運用されます。
上の足場を例に上げると、ネットや本にあるチェックリストは、法律の規格にかなっているかのチェックです。 それも大事です。
このチェックリストにどんな意図を込めて、アレンジするのかが、管理者の特務です。
安全に関するチェックリストは、作業者の身の安全を守るためのものでしょう。
そこにあるのは、会社としての義務に加え、作業者の心配をする愛もあるはず。
それが、全く効果を発揮してないなら、ただの紙にしか過ぎませんね。
作業者に言わせると、ただの負担を増やすだけです。
愛はあるのに、意味をなさない。
それはまさに「愛と幻想のチェックリスト」です。
あるいは、「限りなく透明に近いチェックリスト」です。
よし、タイトルの回収ができた!
愛を形するチェックリスト |
余談ですが、「愛と幻想の~」や「限りなく透明に近い~」は、村上龍さんの小説ですね。 それぞれ「愛と幻想のファシズム」と「限りなく透明に近いブルー」です。
若い時読んで、特に「愛と幻想のファシズム」は、かなり好きでした。
私はきっと、この登場人物のゼロに近いと当時思ってました。
それは、さておきです。
チェックリストには、意図を込める必要があります。
意図とは、「どこをチェックするのか」だけでなく、「どんな状態なのか」、「改善は必要なのか」、「良し悪しの判定は何を基準にするのか」などがあります。
これは、チェックする対象をよく観察するとともに、実際に作業する人や職長の意見も聞いたほうがいいですね。
一番、身近に接する人、よく知っている人が、よくわかっているのですから。
チェックの仕方も工夫します。
「レ」はやめましょう。 これは見たか、どうかしか判別できません。
せめて「○」、「△」、「☓」にしませんか?
例えばこんな感じです。
「○」は、良しの状態。
「☓」は、ダメの状態で、修理や改善が必要。
「△」は、不具合があったけど、すぐには支障がない。定期点検時に直す場所。
などです。 増やしすぎるのは、ダメですよ。 チェックする人が、混乱します。
もう一点重要なことがあります。
それは、ただの提出物にしないということです。
どういうことかというと、チェックした、出した、管理者は見たで終わらせないとうことです。
管理者は、チェックリストをよく確認し、不具合箇所があれば、対応を指示します。
つまり、リアクションを返すことが大事なのです。
全部「○」の場合、コメントで「よくできました!」と返すだけでもいいのです。
「☓」がある箇所に対して、「修理を依頼しました。」とコメントするのでもいいです。
提出する人が、見てくれてるなと思えば、チェックもきちんと行われるのです。
まとめましょう。 チェックリストをうまく活用するのに、大事なことは2点。
1.意図を持ったチェックリストを作る。
2.管理者は、必ずリアクションを返す。
これだけでも、意味のあるものになりそうです。
こんなチェックリストを考えています。 |
最後に今私の会社で取り組んでいることなどを紹介していみます。
先に言い訳めいたことを申しますと、変更途中ですので、これから項目やレイアウトなどを変えていくと思います。
サンプルは、吊り荷重3トン未満の車載型移動式クレーン、いわゆるユニック車です。
3トン未満ですので、過負荷警報装置はチェックから外しています。
現場持ち込み時に使われるのは、全建統一様式などではないでしょうか。
下請け業者が元請業者に、この機械を使用しますという申請を出し、持ち込み時には点検をしますね。
また、作業前点検も行います。 今までは、こんなのを使っていました。
1ヶ月分まとめて、あとからチェックすることもできます。
チェックは「レ」だけではありませんので、詳しく点検ができます。ただ、多すぎて、訳が分かりません。
いつから使っていたのか分かりませんが、うちにあった点検簿はこんなのでした。
この点検簿への不満は、
1.どこをチェックするのか、いまいちわからないこと。
2.判定基準がわからないこと。
といったことでした。
これを変えてみました。
ちょっとスッキリしたでしょうか。 点検簿は、1週間分になりました。
ちょっとクレーンの絵が小さかったりするのですが、なるべく分かりやすい言葉にしてみました。
しばらくこれを使って、また修正していこうかと考えています。
チェックリストへの不満は、解消していません。 また思いついたことがあれば、書いていこうと思います。
チェックリストについては、この本を読んで、参考にしました。
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村上龍さんのおすすめの本です。
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