厚生労働省労働局長登録教習機関
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少しピークは過ぎたのですが、今年(平成27年)の夏は、暑かった。
7月末から、東京でも大阪でも連日猛暑でした。 大阪京都では、10日以上35℃を超える日が続いていました。
最高気温も、群馬県の館林市で39.5℃にまで達したとか。数字を見るだけで暑くなります。
去年は、雨が多い冷夏と比較すると、かなり様相が異なります。
大阪では猛暑日が1日もなかったというのですから、その差は歴然ですね。
暑い夏に注意しなければならないのは、熱中症です。
ニュースなどでも連日、注意を呼び掛けていましたね。
熱中症で搬送された方の数は、全国で1週間のうちに1万人を超えたりしています。
熱中症搬送、先週1万1672人 過去最多、死者25人(朝日新聞)
搬送された方だけでなく、亡くなられる方も週で25人となるのですから、尋常ではありません。
屋外の作業では、炎天下にさらされるため、熱中症の危険が増します。 しかし、屋外の作業をストップできるかというと、困難です。
暑さと闘いながらも、仕事をしなければなりません。
福島県のいわき市で、除草作業中に体調を崩し、亡くなったという事故がありました。
どうやら熱中症が原因と思われます。
今回はこの事故の原因を推測し、対策を検討してみます。
事故の概要 |
事故の概要について、新聞記事を引用します。
なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。
引用の下に、元記事へのリンクを張っております。
除草作業中の46歳男性死亡 熱中症の可能性
(平成27年8月4日)
県は4日、いわき市の県道小名浜小野線で除草作業をしていた作業員男性(46)が体調不良を訴え、搬送先の病院で死亡したと発表した。県は死因や詳しい状況を確認しているが、熱中症で死亡した可能性もあるとみている。
県によると、男性は同日朝から、道路の除草作業をしており、昼休みを挟んだ午後2時ごろ、体調不良を訴えた。男性は水を飲み日陰で休んでいたが、同3時ごろに容体が急変したという。 いわき建設事務所に同7時35分ごろ、業者から連絡が入った。現場の担当者は、男性が「休んでいれば大丈夫」などと答えたため、救急車を呼ばなかったとしている。 |
この事故の型は「高温・低温の物との接触」で、起因物は「高温・低温環境」です。
夏になると、雑草が勢いよく成長します。
道路脇でも、背丈を超える雑草が茂り、見通しが悪くさせます。 適度に刈ってやる必要があります。
河川近くの道路では、昼間に業者が草刈りをしている姿を見かけたりするのではないでしょうか。
この事故も、道路脇の除草作業中に起こりました。
作業者が体調を崩したので、休憩していたところ、容体が急変し、その後亡くなりました。
体調を崩した際、本人が救急車は不要だと言ったため、搬送はされませんでした。
それでは、原因を推測していきます。
事故原因の推測 |
8月4日のいわき市のある浜通りでは、最高気温が29℃だったようです。 6日の最高気温が34℃がピークの暑さのようです。
東京などで35℃以上の気温を記録しているのと比べると、低いように見えますが、湿度は80%以上だったようなので、十分蒸し暑い1日だったに違いありません。
除草作業は日中行います。 雑草が生い茂っているような場所は、日陰もなく、太陽の光にさらされる環境です。
そんな場所での作業なのですから、体調も崩しやすいといえます。
体調を崩した作業者は、午前中の仕事を終え、午後の作業を開始した時に、体調不良を訴えました。
現場監督も、熱中症を疑い、すぐに日陰で休憩させ、水分などを摂らせていました。
この事故でも、作業者が病院に行くまでもない、すこし休めば大丈夫と考えていました。 本人としては、ちょっと暑さにやられただけで、大したことはないだろう、病院に行くのは大げさだと、考えてしまいがちです。
ところが、本人の自覚をよそに、体内では深刻な状況になっていることもあります。
この作業者も、休憩していても回復するどころか、容態が悪化し、亡くなってしまいました。
熱中症は、体に大きなダメージを与えていることがあります。
残念ながら、自分の判断は命の危機を招くこともあるのです。
熱中症を防ぐ方法については、テレビや新聞、ネットでも数多く紹介されています。
もう1つ重要な事は、熱中症で体調不良になったときの対処が、命取りになることがあるも知っておく必要があります。
それでは、原因を推測してみます。
1 | 作業中の休憩や水分補給が十分でなかったこt。 |
2 | 熱中症で不調を訴えた時、病院で診察を受けなかったこと。 |
3 | 熱中症対策が十分でなかったこと。 |
それでは、対策を検討します。
対策の検討 |
熱中症予防のためには、主に次の事が大事です。
1.気温や湿度、WBGT値の把握を常に行う。
2.エアコン等で、適切な気温にする。
3.日陰、風通しの良い場所で、こまめに休憩する。
4.水分や塩分を補給する。
屋外作業で、エアコンをきかすのは難しいですが、休憩と水分や塩分の補給はこまめにとる必要があります。 最近は、安価なWBGT計も発売されていますし、熱中症アプリもあるので、こられを作業現場に備えるのも大事です。
どれほど、予防しても熱中症になる時は、なります。 その時大事なのは、どのように対処するかです。
風通しのよい日陰で休憩させ、体を冷やし、水分塩分の補給は大事です。 もう1つ大事なことがあります。 それが、医師の診断を受けることです。
本人が必要ないと言っていても、後々悪化するケースは少なくありません。 一度診てもらい、点滴を受けるだけで、命を落とす危険がかなり減ります。
作業中に、熱中症による体調不良者が出た場合、病院に行かせるのは、監督者の義務と言っても過言ではありません。
そんな大げさなと思うかもしれませんが、今回の事故のようなことはあるのですから、用心にこしたことはありません。
対策をまとめてみます。
1 | 体調不良時は、医師に診断してもらう。 |
2 | 熱中症予防だけでなく、かかった後の対策も決めておく。 |
8月も後半になり、暑さのピークは過ぎましたが、まだまだ残暑が厳しいです。 そのため、熱中症の危険も依然としてあります。
熱中症そのものを防ぐだけでなく、かかった後の対処もしっかり検討しておくと、いいですね。
違反している法律 |
この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。
【安衛法】
第22条 事業者は、労働者の健康障害の予防措置をとらなければならない。 |
これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。