機械や有害物の取り扱い○安衛法と仲良くなる

機械や有害物の取り扱い

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消費者の手に届く商品は、怪我や病気を引き起こすようなものであってはいけません。安全や安心な物であることが、何よりも重要です。

最終的に安全な商品になるものであっても、その製作は危険で有害なプロセスを通ることもあります。 例えば、加工作業には機械を使います。
途中で、有害な化学物質を使って洗浄したりすることもあります。
安全、安心の商品を製造に係る作業者にとっては、危険が満ち溢れていることも珍しくありません。

危険な作業については、法律で厳しく規制があります。 その規制は、危険な機械や有害物質の取扱いにおいて、厳重なのです。

消費者にとって安全安心な商品は、製造する作業者にも安全であるようにというのが、法律の狙いと言えそうです。

今回は、機械や有害物の取扱について、安衛則の規定をまとめます。

【安衛則】

第3章 機械等並びに危険物及び有害物に関する規制

第1節 機械等に関する規制

(作動部分上の突起物等の防護措置)

(原動機、回転軸等による危険の防止)
第25条
法第43条 の厚生労働省令で定める防護のための措置は、
次のとおりとする。

  1)作動部分上の突起物については、埋頭型とし、
   又は覆いを設けること。

  2)動力伝導部分又は調速部分については、
   覆い又は囲いを設けること。

物の製造、加工の多くは機械化されています。
この機械とは、ノコ盤、旋盤、グラインダーなどから、ローラー、粉砕機など、種類は数限りありません。

工業用の機械には、特徴があります。 それは、多くの機械は、大きく強大な力を持っているということです。 人の体など、簡単に壊してしまいます。

ノコ盤で想像してみてください。
1分間に1000回転するノコギリの歯に指が振れたら。。。 結果は分かりますよね。

近くで作業する人が、ノコギリの歯に触れるといった危険から守る必要があるのです。

機械の働きは用途に寄って異なりますが、電気を受け、モーターが回転して、動力を伝える構造は同じです。 機械の危険を防ぐために第一のことは、回転に接触しないことです。

作動部には突起物を設けないようにして、埋頭型にするかカバーで覆います。
動力伝達部や調速部もカバーを設けます。

作動部とは、ノコ盤のノコのような場所です。動力伝達部とはモーターの回転を伝えるベルトなどです。 調速部は、モーターの何千回転を、実際の仕事ができる回転数まで落とす減速機といったものです。減速機は大小の歯車を使って、回転数を落としていきます。

いずれも何かしらが回転している場所です。
回転する場所に触れると危ないので、カバーを付ける。こうやって触れないようにするんですね。

もう1つ埋頭型というのがあります。
これは、出っ張りをなくすことです。
例えば、動力を伝えるファンベルトをつないで、長くする時、ネジなどで固定する必要があります。
しかしネジの頭が出っ張っていたら、そこに触れる危険性が高まります。
そのため、ネジの頭もベルトの面と一直線になるよう、継ぎ目の部分を少し凹ませて置くのです。

出っ張りをなくすことと、カバーを付けることが、機械の危険防止の第一なのです。

(規格を具備すべき防毒マスク)
第26条
令第13条第5項の厚生労働省令で定める防毒マスクは、
次のとおりとする。

  1)一酸化炭素用防毒マスク

  2)アンモニア用防毒マスク

  3)亜硫酸ガス用防毒マスク

令第13条第5項で定められているのは、次のものです。

「法別表第2第9号に掲げる防毒マスク
 ハロゲンガス用又は有機ガス用防毒マスクその他厚生労働省令で定めるもの以外の防毒マスク」

ハロゲンガスや有機ガス用の防毒マスク以外のものの、具体例ですね。

一酸化炭素、アンモニア、亜硝酸ガス。
これらも発生源ごとに、マスクを備え、使用しなければなりません。

防毒マスクは、確実に用途にあったものを使用しましょう。
一酸化炭素用のものは、一酸化炭素しか防げません。

もし、一酸化炭素とアンモニアが一緒に発生している現場では、防毒マスクは使えません。 その場合は、送気マスクなどを使用して、外気を吸わないようにする必要があります。 

(規格に適合した機械等の使用)
第27条
事業者は、法別表第2に掲げる機械等及び令第13条第3項
各号に掲げる機械等については、法第42条の
厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を
具備したものでなければ、使用してはならない。

危険や有害な機械については、厚生労働大臣が定めた安全装置を必要とします。 これらの安全装置がなければ、使ってはいけません。

安衛法別表2、安衛令第13第3項などが、対象になります。
一覧はこちらになります。

安衛法 別表2

安衛令 第13第3項

(通知すべき事項)
第27条の2
法第43条の2の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

  1)通知の対象である機械等であることを
   識別できる事項

  2)機械等が法第43条の2各号のいずれかに
  該当することを示す事実

安衛法第42条は、厚生労働大臣や都道府県労働局長は、機械などに必要な安全装置がついていなければ、改善命令を行います。

命令の対象は、通知対象の機械であることが分かること、型式検定などに合格していることがわかるものになります。

機械や有毒物は、取扱を誤ると危険ですが、それ以前に安全規格がきちんと備えていなければなりません。
いかに事故を減らすかは、まず危険要素を減らすことが大事ということです。

まとめ。

【安衛則】

第25条
機械の回転体や動力伝導部分などには覆い又は囲いを設けること。
第26条
防毒マスクは規格を具備しなけばならない。
第27条
機械については、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備したものでなければ、使用してはならない。
第27条の2
必要な機械には、通知の対象である機械等であることを識別できるような措置をとらなければなりません。