厚生労働省労働局長登録教習機関
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落ちるというのは、事故の中でも大きな割合を占めます。
最も多い事故のパターンは、墜落・転落です。
これは高い場所から、人が落ちることです。
5メートルや10メートルもの高さから落ちると、体は無事では済みませんね。
落ちる危険は、人間が落ちるだけではありません。
上から物が落ちてくるという危険もあります。
ナットのような小さなものでも、落下で加速し、体に当たった時の衝撃は小さくありません。
ヘルメットをしていない頭に当たると、かなりの痛みになるでしょう。
落ちてくるものが、小さなナットではなく、数トンにもなる大きなものだったら、人の体はどうなるでしょう。
いうまでもありませんね。
クレーン作業や解体作業では、上から物が落ちてくる危険が常にあります。
これらの危険に対して、十分な措置が求められます。
飛来・落下の危険に対して、安衛則では規定されています。
高所からの物体投下の危険防止 |
【安衛則】
(高所からの物体投下による危険の防止) 第536条 事業者は、3メートル以上の高所から物体を投下するときは、 適当な投下設備を設け、監視人を置く等労働者の危険を 防止するための措置を講じなければならない。 2 労働者は、前項の規定による措置が講じられていないときは、 |
高所で作業している場合、上から荷物や工具などを地上に下ろす必要があります。 荷物の上げ下ろしには、吊り袋や吊り網などを使うことがほとんどです。
しかしある程度まとまったものや、廃材などを下す場合は、吊り袋などではなく、落としてしまうほうが早いです。 その場合は、専用の投下装置や設備を設けてやります。
投下装置を設ける基準になるのは、地上から高さ3メートル以上の場所からの投下です。
3メートル以上の高さから、物を落とす場合は、専用の投下装置を設けなければなりません。
投下装置の例としては、滑り台のようなものがあります。
もし投下装置が設けられない場合は、投下する場所に人が入らないようにします。
立入禁止や監視人を置いて、投下位置には誰も入らないようにしてあげます。
落下の危険場所の立入禁止 |
(物体の落下による危険の防止) 第537条 事業者は、作業のため物体が落下することにより、 労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、防網の設備を設け、 立入区域を設定する等当該危険を防止するための措置を 講じなければならない。 |
投下装置などがあれば、ここに物が落ちてくるなと分かり、注意ができます。
しかし、足場の下で作業しているなど、どこに物が落ちてくるのか分からなかったり、危険個所が広範囲に及んだりするところもあります。
そのような場所では、しっかり落下危険の対策が必要になります。
落下物の危険がある場所では、立入禁止や防網などで落下の危険を防ぎます。
一番効果的なのは、立入禁止でしょうが、作業場によっては、禁止することが困難だったりします。
その場合は、落ちてきても途中でキャッチできるようなネットを張ってやります。これを防網といいます。
上から物を落とさないのが基本ですが、もし落ちたとしても、それを防ぐ措置が必要です。
飛来物のある場所での保護具着用 |
(物体の飛来による危険の防止) 第538条 事業者は、作業のため物体が飛来することにより労働者に 危険を及ぼすおそれのあるときは、飛来防止の設備を設け、 労働者に保護具を使用させる等当該危険を防止するための 措置を講じなければならない。 |
飛来と落下はひとくくりになっていますが、ちょっとニュアンスが違います。
落下は上から落ちてくることを意味します。
一方、飛来は上からだけとは限りません。横から飛んでくるというものもあります。
飛来・落下は自分に向かって物が当たってくるという危険といことです。
落下の危険に対しては、立入禁止や防網などの措置が必要でした。
飛来に対しても同じです。
物が飛来する危険のある場所では、防網や壁などの措置や、作業者には保護具を着用させなければなりません。
保護具の代表はヘルメットですが、場合によっては体にもガードを着けてやります。
飛来物が飛んで来る方向が分かっているならば、そこにネットや壁を設けてやるのが効果的です。
落下物のある場所での保護具着用 |
(保護帽の着用) 第539条 事業者は、船台の附近、高層建築場等の場所で、その上方において 他の労働者が作業を行なっているところにおいて作業を行なうときは、 物体の飛来又は落下による労働者の危険を防止するため、 当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない。 2 前項の作業に従事する労働者は、同項の保護帽を着用しなければならない。 |
飛来物の危険防止措置にもありましたが、落下物から頭部を守るためには、ヘルメットが必要です。
ナットのようなものでも、頭に当たるとかなり痛いです。
建築現場などでは、ナットよりも大きなものが落ちてきたりします。
それらの落下物から、頭を守るためにヘルメットは大事です。
飛来落下の危険のある場所では、ヘルメットをかぶらせなければなりません。
建設業の現場では、高所作業や落下物の有無に関わらず、ヘルメットは必要です。
どの現場でも、確実に着用する必要があります。
ちなみに、飛来落下用のヘルメットと、墜落防止用のヘルメットには違いがあります。
墜落防止用には、内部に発泡スチロールのようなものが張り付いています。
兼用の物も多いですが、飛来落下用のヘルメットは、高所では使えないので注意しましょう。
解体作業や高所作業は、落下物にあふれています。
地上で作業することもあるので、飛来落下物の危険を防ぐ対策は、非常に重要ですね。
条文の要約 |
【安衛則】
第536条 3メートル以上の高所から物体を投下するときは、投下設備や監視人などの措置をとらなければならない。 |
第537条 物体が落下して危険がある場合は、防網や立入禁止などの措置をとらなければならない。 |
第538条 物体が飛来する危険がある場合は、飛来防止設備や保護具などの措置をとらなければならない。 |
第539条 船台の附近、高層建築場等の場所で、物体の飛来又は落下の危険がある場合は、保護帽を着用させなければならない。 |