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危険物の種類には、気温がマイナスでも気化し、火種があれば容易に燃え上がる物質があります。危険物取扱では、乙4類といった分類に含まれるものですね。
これらで、最も代表的なものがガソリンです。自動車に欠かせないガソリンは、マイナス30度で気化し、蒸気になっています。つまり車のタンクの中では、液体だけでなく、蒸気になったガソリンが満ちているということになります。
実はガソリンや石油などの油は、液体そのものは燃えません。 燃えるのは気化して、空気と混ざった蒸気なのです。
だから、常温では気化しない重油は、火を近づけても燃えなかったりします。
ガソリンの怖さは、常温では蒸気になり、ちょっとした火種ですぐ燃え広がってしまうことです。 火がある限り、液体のガソリンも蒸発し続け、燃え続けます。
このように、火を近づけるとたやすく燃え上がるものを引火物といいます。
この引火物の取り扱いについて、安衛則で規定されています。
ホースなどで引火物を移送するときの注意 |
【安衛則】
我が国では、可燃性ガスや石油などを輸入します。 これらのものは、タンクなど密閉物に入れておかないと、蒸発してしまいます。
タンクからタンクへ移送する時も、まさかバケツに入れて運ぶなんてことはできません。 運ぶ時も密閉しなければなりません。 多くの場合は、配管やホースなどで移送します。
ガソリンスタンドのタンクににガソリンを入れるというものが、身近な引火性物質の移送といえますね。
引火性の物質や可燃性ガスの液体などを、ホースなどを用いて移送する時、ホースの接続部は確実に締め付けなければなりません。
締め付けが不十分だと、そこから蒸気が漏れてしまいますね。
もし漏れだしたところに、タバコの火でもあろうものなら、引火して一気に燃え上がってしまいます。
そのため、タンク間を移送させる時も漏れないようにします。
ガソリンが残っている容器に灯油を入れる場合の注意 |
ガソリンを保管していたタンクなども使うたびに、中身は減り、いつかは空になります。 空になったタンクに、ガソリンとは別の物質、例えば灯油や軽油をいれてしまうときの注意です。
ガソリンは気化しやすいです。 中身が空になったように見えても、気体になったガソリンは残っています。覗いてみると、きっとガソリンの臭いがするはずです。
この中に別の物質を入れると、化学反応を起こしたり、ガソリンが引火を誘発して燃えてしまったりします。
ガソリンを入れていたタンクなどの容器に、灯油や軽油などを入れる場合は、中身を洗浄し、不活性ガスを満たしてガソリンの蒸気を完全に追い出してやらなければなりません。
不活性ガスというと、二酸化炭素や窒素などになります。
完全に容器からガソリンを追い出してやってから、別の液体を入れなければなりません。
エチレンオキシド等のオイル以外の引火物の取り扱い |
ガソリンなどのオイル以外にも、化学物質には低温で気化し、引火しやすい物質があります。 その代表が、エチレンオキシドやアセトアルデヒドというものです。
工場の製造過程では、これらの物質を取り扱うこともあります。
これらの物質は、人体に有害なだけではなく、ガソリン同様の危険を持っています。
引火や化学反応を起こさせないようにしてやります。
タンクなどの容器に入れるときには、常に内部を不活性ガスなどで満たして置かなければなりません。
空気中には酸素があります。この酸素に反応して、燃えやすくなりますが、不活性ガスが満たされているのであれば、反応は抑えられます。
燃える原因となる媒体を取り除いてやるのです。
引火物の取り扱いは、火の気から遠ざけることと、そして密閉して漏れ出さないようにすることです。 保管に際しても、不活性ガスで置換するなどが必要です。
そう考えると、ガソリンスタンドでタバコを吸うのは、危険というのが分かりますね。
ましてや、セルフスタンドで、タバコを吸いながらガソリンを入れるなど、自殺行為この上なしといえます。
引火物は、ただ火事になるだけではなく、爆発するんだということを覚えておく必要があります。
まとめ。
【安衛則】
第258条 引火性の物又は可燃性ガスで液状のものを、ホースを用いて化学設備に注入する時は、接続を隠してからでないと行ってはならない。 |
第259条 ガソリンが残存している化学設備等に灯油又は軽油を注入すときは、内部について、洗浄し、ガスで置換しなければならない。 |
第260条 エチレンオキシド、アセトアルデヒド又は酸化プロピレンを化学設備等に注入する作業を行うときは、不活性ガス等で置換しなければならない。 |