危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

危険物取り扱い時の注意。その3

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火災や爆発の危険がある引火物の取扱い時には、準備が必要です。
その準備は、引火させないよう火の気を遠ざけることと、気体が溜まらないようにすることです。

引火物であっても、燃え広がるにしても、一定の濃度が必要です。 濃度を薄めてやることは、火災の防止になるのです。

引火物取扱い時の環境づくりについても、安衛則では規定しています。

index_arrow 引火物取扱い時の通風、換気

【安衛則】

(通風等による爆発又は火災の防止)
第261条
事業者は、引火性の物の蒸気、可燃性ガス又は可燃性の粉じんが存在して爆発
又は火災が生ずるおそれのある場所については、当該蒸気、ガス又は粉じんによる爆発
又は火災を防止するため、通風、換気、除じん等の措置を講じなければならない。

引火物や可燃性ガスや粉じんを取り扱う場合は、火災や爆発を防ぐため、通風、換気、除じんを行います。

これは蒸気の濃度を薄めてやり、引火を防ぐのです。

火種があっても、燃えるものがなければ燃え広がりません。

風通しをよくすることは、引火物を取り扱う上で、非常に重要なのです。

index_arrow 通風、換気が不十分な場所での溶接作業の注意
(通風等が不十分な場所におけるガス溶接等の作業)
第262条
事業者は、通風又は換気が不十分な場所において、可燃性ガス及び酸素
(以下この条及び次条において「ガス等」という。)を用いて溶接、溶断
又は金属の加熱の作業を行なうときは、当該場所におけるガス等の漏えい
又は放出による爆発、火災又は火傷を防止するため、次の措置を講じなければならない。

  1)ガス等のホース及び吹管については、損傷、摩耗等によるガス等の
   漏えいのおそれがないものを使用すること。

  2)ガス等のホースと吹管及びガス等のホース相互の接続箇所については、
   ホースバンド、ホースクリップ等の締付具を用いて確実に締付けを行なうこと。

  3)ガス等のホースにガス等を供給しようとするときは、あらかじめ、
   当該ホースに、ガス等が放出しない状態にした吹管又は確実な止めせんを
   装着した後に行なうこと。

  4)使用中のガス等のホースのガス等の供給口のバルブ又はコックには、
   当該バルブ又はコツクに接続するガス等のホースを使用する者の名札を取り付ける等
   ガス等の供給についての誤操作を防ぐための表示をすること。

  5)溶断の作業を行なうときは、吹管からの過剰酸素の放出による火傷を
   防止するため十分な換気を行なうこと。

  6)作業の中断又は終了により作業箇所を離れるときは、ガス等の供給口のバルブ
   又はコックを閉止してガス等のホースを当該ガス等の供給口から取りはずし、
   又はガス等のホースを自然通風若しくは自然換気が十分な場所へ移動すること。

2 労働者は、前項の作業に従事するときは、同項各号に定めるところによらなければ、
  当該作業を行なってはならない。

ガス溶接は、酸素などのガスを噴出し高温の火で溶接するものです。 可燃性ガスを用いるので、換気などが重要です。

しかし、タンクや容器の中など、風が入らず、換気も充分でない場所で溶接しなければならないこともあります。 この時、最も注意しなければならない点は、ガス漏れです。 漏れたガスが、溶接の火で爆発というのが怖いのです。

通風や換気が充分でない場所での溶接作業では、ガス漏れによる爆発や火災を防がなければなりません。

漏れやすいポイントは、次の箇所です。
1.ホースや配管が破損、摩耗している箇所。
2.ホースの接続部。

これらのポイントは、よくよく点検します。
接続箇所は、確実に接続します。

溶接作業にあたっては、ガス等が放出しない状態にした吹管や栓をしてから、作業します。

ガスの容器を作業している人以外の人が、勝手に操作すると危ないですよね。知らないうちに、大量のガスが送り込まれていたら、溶接している人にとっては、恐怖です。
そのため、取扱う人の名札を容器やガスコックに取付けて、第三者が操作できないようにします。

酸素が過剰に出て火傷しないために、溶接作業中は十分な換気を行います。換気は送風機などを使います。

もし溶接作業の途中で、その場を離れる時は、ガスの供給を止めるために、ホースや容器を風通しの良い場所に置きます。ホースを置くのは、内部のガスを拡散するためです。

ガスが漏れないようにすること、作業場にたまらないようにすることが、重要と言えます。

index_arrow ガス等の容器の取り扱いの注意
(ガス等の容器の取扱い)
第263条
事業者は、ガス溶接等の業務(令第20条第10号 に掲げる業務をいう。以下同じ。)に
使用するガス等の容器については、次に定めるところによらなければならない。

  1)次の場所においては、設置し、使用し、貯蔵し、又は放置しないこと。

   イ 通風又は換気の不十分な場所

   ロ 火気を使用する場所及びその附近

   ハ 火薬類、危険物その他の爆発性若しくは発火性の物
     又は多量の易燃性の物を製造し、又は取り扱う場所及びその附近

  2)容器の温度を40度以下に保つこと。

  3)転倒のおそれがないように保持すること。

  4)衝撃を与えないこと。

  5)運搬するときは、キャップを施すこと。

  6)使用するときは、容器の口金に付着している油類
   及びじんあいを除去すること。

  7)バルブの開閉は、静かに行なうこと。

  8)溶解アセチレンの容器は、立てて置くこと。

  9)使用前又は使用中の容器とこれら以外の容器との区別を
   明らかにしておくこと。

ガスを保管している容器は、取り扱い方を間違えると、大爆発しかねません。 ガス漏れはもちろんのこと、保管の仕方自体も注意が必要です。

ガス容器の保管は、適切に行わなければなりません。

注意点が、各号でまとめられています。

1.通風が悪い、近くに火気がある、火薬や爆発物の近くには保管しない。
2.温度は40度以下にする。
3.転倒の恐れのない場所に置く。
4.衝撃を与えない。
5.運搬時は、キャップする。
6.バルブ開閉は静かに行なう。
7.溶接アセチレンガスは立てて置く。寝かせない。
8.使用前と使用後の容器の区別をはっきりさせておく。

どれも当たり前のように思うのではないでしょうか。
当たり前のようですが、基本的なことなので、保管に際しては、十分に注意します。

ガス溶接は、可燃物のすぐ側で火を扱います。
制御できている間はよいのですが、意図せず漏れだしたガスに引火すると非常に危険です。

ガスの保管や取扱いは、注意が必要ですね。

まとめ。

【安衛則】

第261条
引火性の物の蒸気等で、爆発又は火災が生ずるおそれのある場所では、火災対策をしなければならない。
第262条
通風又は換気が不十分な場所において、可燃性ガス及び酸素を用いて溶接等の作業を行なうときは、火災等の対策をしなけれならない。
第263条
溶接等に使用するガス等の容器は十分に取扱に注意しなければならない。