厚生労働省労働局長登録教習機関
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引火しやすい物質を取り扱うときは、火気を遠ざける、漏れを起こさないなどの環境作りが大事です。
しかし注意しなければならない環境つくりは、それだけではありません。
引火の原因になるものは、直火以外にもあります。
また引火してしまった場合に、燃え広がらないようにしなければなりません。
安衛則には、ガス漏れなど以外に、火災や爆発の危険防止に関する規定もあります。
異種物質の接触による発火防止 |
【安衛則】
(異種の物の接触による発火等の防止) 第264条 事業者は、異種の物が接触することにより発火し、又は爆発するおそれのあるときは、 これらの物を接近して貯蔵し、又は同一の運搬機に積載してはならない。 ただし、接触防止のための措置を講じたときは、この限りでない。 |
発火と引火は違います。
引火は、火を近づけることで燃えることです。
一方、発火は火元がなくても、燃えることです。自然発火という使い方をしますね。
火元がなくて発火するのは、化学反応が主な原因です。
化学反応により熱を生じ、発火点まで温度が上がるのです。 化学反応は、一般的に物質と物質が接触して起こりますよね。 この条文では、これを異種の物と表現しています。
化学反応を促進する異種の物が接触することが発火の原因になり、火災の原因になるのです。
異種の物の接触により、発火や爆発するおそれがある場合、一緒に運んではいけません。
例えば、アルミニウムやマグネシウムは水と反応します。
アルミニウム粉と水を一緒にトラックの荷台に載せて運ぶのはやめましょうということです。
ただし、容器に入れて確実に接触しないようにしていたら、一緒に運んでも構いません。
可燃物を大量に扱う場所での作業時の注意 |
(火災のおそれのある作業の場所等) 第265条 事業者は、起毛、反毛等の作業又は綿、羊毛、ぼろ、木毛、わら、紙くず その他可燃性の物を多量に取り扱う作業を行なう場所、設備等については、 火災防止のため適当な位置又は構造としなければならない。 |
ガス以外にも燃えやすいものはありますね。
例えば紙、綿などはよく燃えます。 いわゆる可燃物というものです。
起毛、綿、わら、紙などの可燃物を大量に扱う場所では、火災防止しなければなりません。
火を遠ざけるのはもちろんのこと、建物も不燃性の材料を使用する必要があります。
自然発火防止 |
(自然発火の防止) 第266条 事業者は、自然発火の危険がある物を積み重ねるときは、 危険な温度に上昇しない措置を講じなければならない。 |
自然発火とは、火元がなくても燃えてしまうことです。
自然発火は化学反応によって起こります。
カリウム等は空気や水に触れると発火します。 そのため、石油の中に保管しなければなりません。
自然発火の危険がある物を積み重ねるなどして保管する場合は、発火させない、または温度が上昇しないようにしなければなりません。
保管する物質ごとに、適切な保管方法をとらなければなりません。 化学反応を引き起こすものからは、遠ざけておく必要があるのです。
油が染みたボロ布などの保管 |
(油等の浸染したボロ等の処理) 第267条 事業者は、油又は印刷用インキ類によって浸染したボロ、紙くず等については、 不燃性の有がい容器に収める等火災防止のための措置を講じなければならない。 |
機械などを扱うと油汚れを拭き取ることが多くなります。
油を拭き取った布やウエス、ティッシュ等はどのように処理しているでしょうか。 そのままゴミ箱に捨てたりしてませんか?
もし油汚れの布などを一箇所に集まっていて、これに引火してしまうと、油だけによく燃えますね。
油や印刷用インキを掃除した布や紙くずは、不燃性の容器に収めておかなければなりません。
燃えやすいものを保管する場合は、火災防止の措置が必要なのです。 火災や爆発は、火があるところだけに起こるわけではありません。 化学反応によっても、起こります。
可燃物、反応しやすい物質の保管は、必ず火災が起こらないようにする必要があります。
燃えやすいものは、しっかり管理。 火災や爆発を起こさないためには、この原則が大事ということですね。
まとめ。
【安衛則】
第264条 異種の物が接触することにより発火し、又は爆発するものは、接近させて貯蔵や運搬をしてはならない。 |
第265条 起毛、反毛等の作業又は綿可燃性の物を多量に取り扱う作業を行なう場所、火災防止の構造としなければならない。 |
第266条 自然発火の危険がある物を積み重ねるときは、危険な温度に上昇しない措置を講じなければならない。 |
第267条 油又は印刷用インキ類が染み込んだ布や紙くず等については、不燃性の容器に収めるなどしなければならない。 |