墜落・転落○事故事例アーカイブ

NHK大河、真田丸撮影地で事故 スタッフが小屋から転落(長野県茅野市)

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NHK大河ドラマは、毎年のように見ていましたが、「花燃ゆ」は途中で諦めました。去年の「軍師官兵衛」は面白かったのにな。。

戦国と幕末を繰り返すのではなく、他の時代の人を取り上げればいいのにと思うのですが。
例えば、高師直とかはいかがでしょう?

それはさておき、NHKの大河ドラマは、NHKにとっても看板番組ですから、関わるスタッフ数や予算など、かなり力が入っているはず。

大河ドラマのような時代劇を屋外で撮影するときに、注意しなければならないものは、現代のものが映り込まないことではないでしょうか。戦国時代にビルや電柱が映っていたら、興醒めしてしまいますよね。そのため、カメラに映らないように隠す必要があります。

隠しものをする時、場合によっては広範囲で高所まで多いを掛ける必要もでてきます。来年の大河ドラマ「真田丸」の舞台は、戦国時代です。屋外撮影では、映ってはならないものがたくさんあり、スタッフはそれらを隠す作業を行っていました。

事故は、その作業の時に起こりました。
今回は、この事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

NHK大河、真田丸撮影地で事故 スタッフが小屋から転落 (平成27年9月6日)

6日午前10時半ごろ、長野県茅野市玉川にある牧草地で、来年のNHK大河ドラマ「真田丸」の撮影準備をしていた会社員が堆肥小屋の屋根から約3・5メートル落下し、右手首の骨を折るなどの重傷を負った。

茅野署やNHKによると、被災者は関連会社が委託した会社の協力会社の社員で、風景などの造園を担当。現場では7日から撮影が予定されており、被災者は小屋を隠すための作業中に、スレート製の屋根が抜け落ちて落下したとみられる。

屋根には当時計4人がいたが、他にけが人はいなかった。

共同通信

この事故の型は「墜落・転落」で、起因物は「構造物」です。

ドラマの撮影にあたり、時代にそぐわないものは風景から排除します。事故当時の撮影では、堆肥小屋を隠す必要があったようです。

堆肥小屋の屋根の高さは約3.5メートルです。だいたい男性の身長の2倍の高さです。屋根はスレート葺きだったようです。

事故は屋根の上に乗り、覆いをかける作業中に、起こりました。スレートを踏み抜いてしまい、床まで落ちてしまったのでした。

墜落により手首骨折となりましたが、命には別状がなかったようです。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

事故の直接的な原因は、堆肥小屋の屋根で作業を行っていたときに、スレートを踏み抜いてしまったことです。
スレート屋根は、雨風を防ぐには十分ですが、案外もろいものです。大人の男性の体重を支えるほどの強度はなく、上に乗ると割れてしまいます。

比較的強度があるのは、梁の上に乗っかっているところですが、屋根全体からするとほんの一部ですし、外からどこに梁があるのかは判断がつきません。

おそらく撮影予定があったため、準備も急ぎ行われていたのではないでしょうか。高所を作業する準備もなく、屋根に登って作業されていたのではと想像されます。

急ぎの場合であっても、高所作業を行うには、それなりの準備が必要です。足場を組むまではなくとも、墜落防止の対策は何かあったほうがよかったのではと思われます。

特に、スレート屋根の上に乗る場合は、踏み板が必要になります。これらの準備が不足したのではと思われます。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

スレート屋根に踏み板を使わなかったこと。
高所作業の準備を行わず、作業を行ったこと。
KY等で危険箇所を確認していなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

撮影現場に到着してから、背景に映ってはいけないものを発見し、対処することは多いでしょう。今回の事故の時のように、建物の屋根に登るなどもあるでしょう。

何があるかわからないのであれば、安全帯などの墜落防止の道具を備えておくのも大事です。スレート屋根など足場が不安定なところを歩く場合は、20センチ以上の踏み板は必要です。もろく割れやすい場所を、直接歩くのは危険です。

撮影現場での美術スタッフは、建設業と似ているのかもしれません。それであれば車に墜落防止用品などを備えておくことは大事ではないでしょうか。他の道具の都合上、あまり荷物を増やせないというのもあるでしょうが、命を守るものですから、大切だと思います。

また建設業でも現場についたら、KYなどを行います。撮影現場でも同様に危険箇所について、少し話し合うことは事故防止になるのではと思われます。

対策をまとめてみます。

スレート屋根に乗るときは、踏み板を敷く。
いつでも使えるように、保護具などを備えておく。
作業前にはKYで、危険箇所や作業を確認する。

昔であれば、撮影時の無茶も一つの伝説になったでしょう。しかし現在は、そういう無茶を許さない風潮があります。映画やドラマの時に事故も大きく報道されてしまいます。
撮影スタッフの安全もしっかり確保しておくと、誰も何の憂いもない作品ができてくるでしょう。

来年は真田幸村か。大河では、何度も何度も登場している人に思うので、正直目新しさを感じません。 最後までずっと見続けられる作品になればいいなと思います。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

【安衛則】

第524条
スレート等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、幅が30センチメートル以上の歩み板を設ける等の措置を講じなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

最も多い事故。墜落・転落事故の防止。 その2

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