○ショートストーリー”猫井川ニャンのHH白書”

牛黒、グラインダーの破片を撃ち放つ

entry-418

こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。

index_arrow 第53話「牛黒、グラインダーの破片を撃ち放つ 」
牛黒は、大雑把な性格のためミスが多かったりします。また時には、大口を叩きすぎて、後で焦るなんてこともあります。 周りにいる人にとっては、なんともハラハラする人ではあります。

しかし、その根は善人であり、自分を大きく見せようとすることはあれども、人をおとしめることはありません。
一緒にいる職場の人も、彼のミスで少々の被害を被るものの、彼のことを悪くは思っていないのでした。

その牛黒が、先日仕事先で激怒しました。 別の業者の作業者が、悪ふざけをしており、見てられなかったのでした。

事情を知る人は、彼が悪くないことは理解していましたが、揉め事を起こしたため、その現場から外されてしまいました。
その結果、牛黒は猫井川と、現場を交換することになったのでした。

そのため、牛黒は鼠川とともに作業をすることになったのでした。

「鼠川さんと仕事するのは、久し振りですね。」

「そうか。昔はよく一緒の現場にいたけどな。
 わしが引退してからは、ずっと違うからな。」

「そうっすね。この前ちょっとだけ同じ現場だったくらいか。まあ、今日からしばらくよろしくです。」

「もう流石に、ビシビシと注意させんでくれな。」

「俺ももうベテランっすから、大丈夫ですよ。任せといてください。」

「お前がそう言えば言うほど、不安だわ。」

そんな話をしながら、作業場の準備に取り掛かると、リーダーの犬尾沢から作業の説明がありました。

「牛黒さんは、グラインダーで塩ビ管を切っていってもらっていいですか。ちょっと量が多いんですけど、径は小さいやつなので。できたら排水に使っていきますので、よろしくです。」

「おう、任しとけ。マイグラインダーで、ささっと切ってやるぞ。」

「おねがいします。あ、でも、ちゃんとゴーグルとマスクは着けてくださいよ。」

犬尾沢は、牛黒に作業内容を伝えると、自分の作業に向かって行きました。

牛黒は車から、小型のディスクグラインダーを取り出してきました。

牛黒グラインダーは、真っ黒に汚れ、大した手入れもされていないようでした。ただ、「豪刀 牛黒丸」というシールだけがやたらと新しく目立ちます。

コンセントにケーブルをつなぎ、スイッチを入れるとギュイーンと勢いよく回転しました。

「さて、俺様のグラインダーさばきを見せてやるか。」

そんな子どもみたいなことを言いながら、塩ビ管にあてがいます。

あてがったところで牛黒は、はたときづきました。
どこを切ったらいいのでしょう?

よくよく考えたら切る寸法を墨出ししていません。
幸いにも、そんなことを切る前に気づいたのでした。

せっかく取り出したグラインダーも一旦置き、墨出しにとりかかりました。

墨出しも終わり、切る場所もはっきりしました。
あとは「豪刀 牛黒丸」を振るうだけです。

改めて、塩ビ管の上に描かれた線の上に、ディスクをあてがい、スイッチを入れました。
ギュイーンと大きな音を立て、グラインダーは作動します。 ディスクは高速で回転し、塩ビ管の表面を削っていきます。

塩ビ管にディスクの歯の半分くらいが入った時でした。

コキンとなんだか小気味いい音がしました。
続けて、ゴッゴッゴッと妙な振動を手に感じます。

何だろうと思い、グラインダーを見てみると、なんとディスクの一部が欠けていたのでした。
そして欠けを中心に、ヒビ割れしていたのでした。

これでは、もう使えません。
新しいディスクに取り替えなくてはなりません。
牛黒は新しいディスクに取り替えるために、車に向かいました。

車に着くと、なぜか窓ガラスが割れているのに気付きました。

なぜだろう?と不思議に思い、よくよく観察していみると、銃弾で打たれたような穴があったのでした。

「銃撃戦でもあったのか?それとも、何かがとんできたのか・・・。はっ!」

牛黒は気付きました。
ディスクの破片だ!

ディスクの破片が飛び、車の窓ガラスを貫通してしまったのでした。
そう考え車の中を見てみると、助手席に破片が落ちているのを発見しました。
大きさはほんの数ミリ。これが弾丸のように飛び、窓ガラスを割ってしまったのでした。

割れた窓を前にして、困っていると、鼠川が近づいてきました。

「牛黒、どうした?」

「いや、実はグラインダーのディスクが割れて、破片が車の窓を割っちゃったんですよ。」

「それはすごいな。お前、使う前にグラインダーの点検はしたか?」

「いや、いつもしてないですよ。」

「前にディスク変えたのはいつだ?」

「さあ、半年くらいまえですかね?」

「お前なー、自分の道具はしっかり点検しろ!」

そうやって、また久しぶりに鼠川の雷を受けた、牛黒なのでした。

index_arrow ヒヤリ・ハットの補足と解説

牛黒は、人はいいのですが、仕事は大雑把だったり、荒かったりします。 それでも、補って余りあるものがあるのでしょう。だからみんなから評価されているのかもしれませんね。

ただ、そんな仕事の仕方なので、昔は鼠川などに怒られていたようです。 それが昔の話かというと、今もあんまり変わっていないのかもしれません。

最後にまたしても鼠川の雷が落ちてしまったようですね。

今回のヒヤリ・ハットは、ディスクグラインダー、電動工具についてです。

電動工具は、使用前に点検しなければなりません。 グラインダーなどは、試運転をして動作を確認する必要があります。

またメンテナンスも重要です。
ディスクグラインダーのディスクは消耗品なので、摩耗すると取り替えてやります。
しばらく使わない期間が続くようならば、新しい物にしてやる必要もあります。
劣化した材料を使用していると、牛黒がやってしまったように、欠けたり割れたりする恐れがあるのです。

牛黒が撃ち放ったディスクの欠片は、車の窓を貫通してしまいました。
もしこれが人に向いていたらどうでしょうか?
大きな怪我になっていた恐れがありますね。

電動工具を使用する前には、しっかり点検してあげます。
それは自分だけでなく、周りの人を守ることだということを理解しておく必要がありますね。

それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。

ヒヤリハット ディスクグラインダーを使っていたら、ディスクが割れて飛んでいった。
対策 1.グラインダーなどの電動工具は使用前に試運転し、点検する。
2.ディスクは摩耗した時だけでなく、定期的に替える。

電動工具は、便利ですが、使い方を誤ると事故を引き起こします。
「豪刀」でなくともよいので、大切に使ってあげるのが大事ですね。

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