厚生労働省労働局長登録教習機関
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危険物には、いくつも種類があります。
毒物や化学物質などは、人体に有害です。その中で比較的身近なものとしては、高熱物というものがあるのではないでしょうか。
高熱物とは、温度が数百℃から数千℃にもなるものです。料理では火で調理しますし、お湯も毎日のように使いますよね。仕事でも火を使うことも多いでしょう。
これらのものは体に触れれば火傷になります。物に接触すれば火災になりますし、中には爆発するものもあります。
工場や工事現場で、高温物を取り扱う仕事は、こういった危険と隣り合わせの仕事なのです。
高温物を取り扱う仕事では、十分に注意が必要です。この注意の仕方は、安衛則で定められているのです。
【安衛則】
第4章 爆発、火災等の防止
第1節 溶融高熱物等による爆発、火災等の防止 (高熱物を取り扱う設備の構造) |
火炉というのは、火を入れる炉のことですけども、これじゃそのままですね。 要するに、中で燃え盛る火を包み込む容器といったものです。
炉以外にも、高熱物はありますね。鉄を加工するためには熱が必要です、食品の加熱調理機械も高熱を持ちます。工場でも、建設現場でも行われる溶接も高熱作業です。
高熱物を取り扱う設備では、火災を防止するための構造としなければなりません。
具体的には、燃えやすいものを置かない、不燃性の材料を使うことがあります。火災が起こった場合も、いち早く消すために、消火器などの設備を備えることも重要です。
高熱物を取り扱う場合は、まず燃え広がらない、次に火災を初期で消すという対策が必要です。
鉄などの金属は、常温では個体です。金属にどんどん熱を加えていき、数百℃や数千℃にまで達すると、溶けてしまい、液体金属になります。この状態のものを溶融高熱物といいます。木などを近づけると、一瞬で燃え上がるほどの高温です。
ターミネーター2で、最後にシュワちゃんが沈んでいったところが、溶融高熱物といえるでしょう。
非常に高温ですから、この溶融高熱物に水が接触すると、一瞬で蒸発します。 高温に接した水は蒸発する際に、爆発的に膨張します。屋外にある炉に水が注がれようものなら、屋根や壁を吹き飛ばすほどの勢いになります。これが水蒸気爆発というものです。
水蒸気爆発の怖さは、福島第一原発事故が物語っているでしょう。東日本大震災の後、福島第一原発の2号機等が爆発しました。これは、高熱の核燃料が、水を一気に熱したことによって起こった、水蒸気爆発といえます。頑丈な原子力発電所の建物を吹き飛ばすほどの威力。水蒸気爆発は、強大な爆発力を持っているのです。
溶融高熱物を取り扱う場所では、水の侵入による水蒸気爆発を防止しなければなりません。
地下水などが入り込むおそれがある場合は、完全に遮断しなければなりませんし、すみやかに排出できるようにします。また雨水の侵入も完全に防ぐ必要があります。
溶けた金属と水とは、完全に離します。金属を冷やそうと、水をかけようものなら、大事故になるのです。
(建築物の構造) 第250条 事業者は、水蒸気爆発を防止するため、溶融高熱物を取り扱う設備を 内部に有する建築物については、次の措置を講じなければならない。 1)床面は、水が滞留しない構造とすること。 2)屋根、壁、窓等は、雨水が浸入することを防止できる構造とすること。 |
この条文も、前条と同様です。
建物内部に、溶融高熱物を取り扱う場所では、水が接触しないような構造にしなければなりません。
床面に水が溜まらないようにし、雨が決して入ってこないようにします。
水との接触には、気をつけます。その理由は、水蒸気爆発を防ぐためです。
高熱物を取り扱う場合、火災の危険があるのは想像できると思います。その一方で、水と接触してはいけないとうのは、知らないと対処できないことですね。溶けた金属を取り扱う場合、水で急速に冷やしてやろうというのは、決してやってはいけないことだといえます。
まとめ
【安衛則】
第248条 高熱物を取り扱う設備については、火災を防止するため必要な構造としなければならない。 |
(溶融高熱物を取り扱うピット) 第249条 溶融した高熱の鉱物を取り扱うピット必要な措置を講じなければならない。 |
第250条 溶融高熱物を取り扱う設備を内部に有する建築物は、必要な構造を整えなければならない。 |