○コラム

自分の中に安全のスタンダードを持とう

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先日、労働安全・衛生コンサルタント登録時研修に参加しました。
この研修は、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント試験合格後、安全診断などの業務を進め方などを紹介するものです。講師は全て経験豊富で、実績豊かなコンサルタントなので、現場の実情を聞くことができる機会でした。

今は、弁護士であっても、食べていくのは大変な時代です。ましてや、労働安全コンサルタントは、世間的にはマイナーですから、資格をとったからといって仕事があるわけではありません。
コンサルタントとして食べていけていけてるのは、全体の20%程度だそうで、残りは産業医などとの兼業の方や、会社勤めの人がほとんどです。年間コンサルタントとしての収入は、100万以下の人が多いのです。

そのため、まず考えなければならないことは、いかにクライアントを得るかということになるのです。つまりセールス力が非常に重要になるわけです。
もはや資格だけで食っていくことは無理なわけで、仕事は自分で取りに行くしかありません。

労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントは全ての会社が対象になるわけですが、必ずしも必要とされません。一般的なコンサルタントと同じです。
認知度の低いマイナーな仕事なだけに、チャンスもありますが、それ以上の努力なのか。

index_arrow コンサルタントの基準とは

研修をされたのは実績のある3人のコンサルタントでした。御三方とも話はためになるだけでなく、非常に面白かったです。
そう、この研修の感想は、予想以上に面白かったんですよ。

ただ面白いだけでなく、ちゃんと考えることもありました。
例えば、コンサルタントとして自分を売り込むためには、自分を知ること、自分の強みは何かを分析することなどです。
会社を経営するときは、普通に考えることなので、当たり前といえば、当たり前のことですけどね。

長年安全衛生に関わってきているわけではないので、知識も経験も浅い私の強みは何か?
ものすごく考えてしまいます。
コンサルタントとして仕事することは、起業するのと同じ。当たり前の問いにぶつかるわけですね。

さて、そのように頭をひねらせる内容でしたが、特に印象に残る話があったので、今回はそのことを書いてみようと思います。

それは労働衛生コンサルタントで、ユーキサイア(株)代表取締役上田伸治先生がお話されていたことでした。

上田先生は、コンサルタントだけでなく産業医としても活躍されています。お話されている姿は、知的な方という感じです。お医者さんというより、IT系の経営者のような印象でした。

そんな印象の上田先生は、ある企業でメンタルヘルスの管理体制を築き上げた実績などを交え、お話されました。

話を聞いていて、感じたことなのですが、コンサルタントは事業場の安全診断、衛生診断を行うにあたり、決まった手法はありません。
法律の知識と経験からくるカンを判断基準にして、危険を見出すしかありません。

この判断基準は、人それぞれです。
ザルのような緩々の基準だと、危険を見逃したりします。
またクライアントが診断内容に満足せず、次の仕事につながりません。

労働安全衛生コンサルタント会にも、診断してもらった内容が不満でクレームがあったというケースもあったようです。

労働安全・衛生コンサルタントを名乗るためには、試験に合格しなければなりません。
しかし試験に合格したとしても、ただ名刺に掛ける名称を得ただけに過ぎないのが実情です。

どのような結果、成果を創り出すかは、個人の能力に依存します。
能力のないコンサルタントは、食っていくことはできません。

危険を見逃さない、クライアントに満足してもらえる能力を磨くことが、コンサルタントの義務といえます。

事業場の危険を見逃さないためには、どのような基準で危険を判断するか大切です。
この基準がゆるゆるだと、見逃す危険も、逃すクライアントも増える一方です。

自分の中の基準、ここまで安全対策をやるのが当たり前ですぞ、と言えるスタンダードを身に付けるか。

上田先生がキャリアをスタートしたとき、別のコンサルタントについて診断方法を学んだことはないそうです。 先生が今まで培われてきた経験をもとに、診断を行い、結果としてクライアントを増やされたそうです。

上田先生の事業所診断には、が外資系の大手IT会社で産業医をされていたときに身につけた基準が活きたのだそうです。
外資系の企業は、徹底的に結果が求められます。一切の妥協はありません。
なあなあにして、危険を見逃し、事故になろうものなら責任は追及は免れません。

この厳しい環境での仕事経験が、コンサルタントしての仕事に役立っているのだそうです。

コンサルタントは結果で評価されます。
その結果は、コンサルタントがどの基準で仕事するかによります。

コンサルタントは、自分の基準となるスタンダードも持つことが大事なんだなと、再認識しました。
そのスタンダードは、危険を見逃さない目になります。

労働安全・衛生コンサルタントは、労働者の安全と健康を守ります。

例えば、通路に物がるのを見付けた時、これに対して2つの見方ができます。
1つは「今日たまたまのことだし、そのうち誰かが気づいて片付くでしょう。こんな細かいことを言っても仕方がない。」
もう1つは「このような状態を少しの時間でも許すと、癖になって、整理整頓が損なわれる。小さなことこそ、きちんとやるのが大事だ。」
目の前の状態の対応は、結果として、大きな違いにもなります。

コンサルタントでなくとも、安全と衛生のスタンダードを持つのは大切なんです。
とても、今さらな話ですけど。
私はどうかな?結構前半の考え方のような気もします。

この研修はとても楽しく、勉強になりました。
同時に私も基準は、まだまだ緩いなと反省し、帰路につくことになったのでした。

コメント

  1. 佐々木 登 より:

    いろいろと読ませていただきました。

    素晴らしいセンスをお持ちですね。

    一緒に仕事ができたらと思います。

    ご連絡をいただけませんか?

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