厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第57話「牛黒トラック、縁石に突きささる 」 |
連休明けのある日、今日も牛黒は猫井川の代わりに、犬尾沢の現場に行くことになっていました。 犬尾沢から、 「牛黒さんは、ダンプに乗って現場に行ってください。」 と指示を受けたとき、大きなあくびを1つかましました。 「いや~すまん。休み明けはどうも頭が働かん。ダンプだな。まかしとけ。」 あくびもさることながら、寝ぐせも付けたままの牛黒を見ながら、犬尾沢は「まあ、いつものこと」だと思うのでした。 「俺は準備してから行くので、先に行っておいてください。」 「おう。他に誰か乗せていくのか?」 「保楠田さんとお願いします。」 また大きなあくびをしながら、牛黒は保楠田と連れ立って、車庫に向かいました。 ダンプの運転席に着くと、牛黒はまたも大きなあくびをしまいた。 「連休はは旅行とか行ってたの?」 あまりに眠そうな様子に、保楠田が尋ねました。 「いえ、特にどこへ行ったとかはないんですけど。ずっとテレビ見てダラダラしてました。 「それだけダラダラしてたら、逆に疲れない?」 「そうっすね。おかげで今日はえらいです。」 「保楠田さんは、休みにどっか行ったんですか?」 「いや、俺もずっと家にいたな。掃除したりしてたよ。」 「俺も似たようなもんっすね。掃除はしてませんけど。 「頼むから、事故とか起こさないでくれよ。」 「大丈夫ですって。任せておいてくださいって。」 そんな話をしながら、牛黒と保楠田は現場に向かったのでした。 現場に到着すると、すでに誘導員が待機していました。 まだ作業場の扉は閉まっていたので、とりあえずダンプを道路上に停車させました。 「おはようさん。」 保楠田が車から降りると、誘導員も挨拶を返しました。 「もう少ししたら、親方が来るから、少し待機しておいて。」 保楠田が誘導員にそう指示し作業場の扉を開けようとすると、誘導員も手伝うために保楠田のもとに向かいました。 作業場が開いたら、とりあえずダンプを中に入れて置く必要があります。 牛黒は、少し前進し向きを変えると、ダンプをバックしました。 ガゴッと妙な音が響きました。 保楠田も誘導員も作業場内に入り、バリケードなどを整理している時でしたので、どうしたのかと見てみると、そこには歩道の縁石に乗り上げてたダンプがありました。 ピーッ、ピーッと音を鳴らしながらも、タイヤはシュルル、シュルルと空回り。 すぐに保楠田は、 「バックは無理ー!前進して、前進。」 と叫びます。 しかし当の牛黒は、いまいち状況が分かっていなさそう。 誘導員が運転席に近づき、状況を伝えると、ようやくバック音が鳴り止みました。 誘導員が車道に出て、通行車両に注意しながら、ダンプを前進させます。 「何やってんの!?」 少し呆れ気味の保楠田。 ダンプは再度体制を整え、今度は誘導員がに従い、場内へ入って行きました。 残ったのは、少し欠けた縁石だけです。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
実は今回のヒヤリ・ハットは、この前私の現場であったことです。
今回の話とほぼ状況は一緒のことがありました。
少し違う点は、縁石にはまってしまったダンプは、前進もできなくなったことです。結局ショベルカーで荷台を押し、脱出することができました。全く、何でこんなことがと思う出来事でした。
建設業では、ダンプなどの車両を欠かすことができません。これらの作業車は、車体が大きいので、後ろがよく見えなかったりします。
またかなり荒っぽい使われ方もします。
ダンプは多少の接触程度ではこたえませんが、当たられた方は叶いません。それに公共物に接触して、壊すのもダメですね。
牛黒も、後輪のタイヤ周りまでは目が届かず、縁石が見えていなかったようでした。
せっかく近くに誘導員がいるのですから、誘導してもらっていれば、こんなことは起こらなかったのにと思います。
ちょっとバックで、車を動かすだけといった簡単なことなので、誘導員など不要だと思ったのかもしれませんね。
でも、油断しているとこんなことも起こるんですよ。
それでは、今回のヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | ダンプでバックしていたら、歩道の縁石にはまった。 |
対策 | 1.誘導員の指示に従う。 2.あらかじめ進行方向の障害物を確認する。 |
建設業などで、交通事故が少なくありません。このような物損事故も実は多いようです。これくらいなら当たっても大丈夫という意識でいると、大きな事故につながります。
このヒヤリ・ハットを教訓に、運転するときの意識を引き締めたいものです。