危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

火気や爆発のおそれのある危険物の取り扱い。

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火気を使う作業は少なくありません。
また製造するものによっては、引火性のもの可燃性のものを取り扱うこともあります。

そのような場所で注意しなければならないものは、火災や爆発です。
火災や爆発が起こってしまうと、工場や倉庫は大ダメージを受けます。仕事ができなくなるだけなく、再開するにも調査や補修などを含めると、何ヶ月もかかってしまいます。
さらに、当事者だけでなく、周囲にも多大な影響を与えてしまいます。

火災の危険がつきまとう場所で、防火に努めることは、社会的な責任もあるのです。

安衛則では、火災の予防についても規定されています。

【安衛則】

第4節 火気等の管理

(危険物等がある場所における火気等の使用禁止)
第279条
事業者は、危険物以外の可燃性の粉じん、火薬類、多量の易燃性の物又は危険物が存在して爆発
又は火災が生ずるおそれのある場所においては、火花若しくはアークを発し、
若しくは高温となって点火源となるおそれのある機械等又は火気を使用してはならない。

2 労働者は、前項の場所においては、同項の点火源となるおそれのある機械等
  又は火気を使用してはならない。

燃焼は酸素の供給、点火源、可燃物の3つが必要です。
密閉空間でない限り、酸素を絶つことは難しいので、点火源と可燃物をコントロールすることが火災の予防になります。

危険物や、可燃性の粉じんや火薬などがある場所では、点火源となる火花や火花を発する機械を使用してはいけません。

点火源には、機械の放電(アーク)、自然発火するような高音になる機械も含まれます。

セルフのガソリンスタンドで、タバコを吸いながらガソリンを入れることは、禁止ですよね。ガソリンは低い温度でも気化します。辺りにガソリンが漂っているなか、タバコを吸うのは、愚か以外に言葉はありません。

ガソリンでなくとも、可燃物が充満しているところでは、火の取り扱いは慎重にならなければなりません。

(爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具)
第280条
事業者は、第261条の場所のうち、同条の措置を講じても、なお、引火性の物の蒸気
又は可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において
電気機械器具(電動機、変圧器、コード接続器、開閉器、分電盤、配電盤等電気を
通ずる機械、器具その他の設備のうち配線及び移動電線以外のものをいう。以下同じ。)を
使用するときは、当該蒸気又はガスに対しその種類及び爆発の危険のある濃度に
達するおそれに応じた防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならない。

2 労働者は、前項の箇所においては、同項の防爆構造電気機械器具以外の
  電気機械器具を使用してはならない。

第261条は、可燃性ガスなどが充満している場所では、換気などして取り除かなければならないというものです。
換気しても、まだ引火性の蒸気や可燃性ガスの濃度が薄まらない場合は、点火源をなくさなければなりません。

引火性の蒸気や可燃性ガスなどが、火災や爆発の危険濃度になる場所で、電気機械器具を使用する場合は、防爆構造のものを使用しなければなりません。

防爆構造の器具とは、もし器具の内部で引火し爆発しても、それが内部だけで収まるようにしたものです。爆発の威力に耐えられる頑丈さとともに、外に火花1つも漏らさない構造になっています。

電気機器ですから、ホコリ等により火花が飛ぶこともあります。もしそんな時でも、爆発を最小限に留めるための対策です。

第281条
事業者は、第261条の場所のうち、同条の措置を講じても、なお、
可燃性の粉じん(マグネシウム粉、アルミニウム粉等爆燃性の粉じんを除く。)が
爆発の危険のある濃度に達するおそれのある箇所において電気機械器具を使用するときは、
当該粉じんに対し防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならない。

2 労働者は、前項の箇所においては、同項の防爆構造電気機械器具以外の
  電気機械器具を使用してはならない。

これも第280条と同様です。

可燃性のものは、蒸気だけに限りません。粉じんもよく燃えます。

マグネシウムやアルミニウムの粉など、可燃性の粉じんにより爆発、火災のおそれのある場所で、電気機械器具を使用する場合は、防爆構造のものを使用しなければなりません。

もともとは、マグネシウム粉なども次の第282条に含まれていましたが、よく燃える、爆発しやすい物質なので、別格扱いになったようです。

防爆構造が必要な理由も前条と同じですね。

第282条
事業者は、爆燃性の粉じんが存在して爆発の危険のある場所において電気機械器具を
使用するときは、当該粉じんに対して防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、
使用してはならない。

2 労働者は、前項の場所においては、同項の防爆構造電気機械器具以外の
  電気機械器具を使用してはならない。

これも第280条と同様です。

マグネシウムやアルミニウムの粉は火花1つで爆発しますが、それ以外にも繊維や石炭クズなども、一旦火がつくと燃え広がります。

爆燃性の粉じんにより爆発、火災のおそれのある場所で、電気機械器具を使用する場合は、防爆構造のものを使用しなければなりません。

昔、石炭の鉱山では粉じん爆発などの事故もあったようです。これは空中に舞う細かな石炭の粒子が燃え広がって起こるものです。このような場所では、火は厳禁なのです。

(修理作業等の適用除外)
第283条
前4条の規定は、修理、変更等臨時の作業を行なう場合において、爆発又は火災の危険が
生ずるおそれのない措置を講ずるときは適用しない。

据え置きの電気機械器具は、防爆構造にしなければなりませんが、臨時の場合では準備できないこともあります。

そのため、防爆構造の電気機械器具を必要とする箇所でも、修理や変更などの臨時作業の場合は、爆発や火災の危険がない措置をとれば、防爆以外の器具も使用できる。

必ず爆発や火災防止を行ってからです。どうしても、可燃性ガスの濃度が低下しないなどの場合は、臨時作業であっても、防爆構造の器具を使用します。

(点検) 第284条
事業者は、第280条から第282条までの規定により、当該各条の防爆構造電気機械器具
(移動式又は可搬式のものに限る。)を使用するときは、その日の使用を開始する前に、
当該防爆構造電気機械器具及びこれに接続する移動電線の外装並びに
当該防爆構造電気機械器具と当該移動電線との接続部の状態を点検し、
異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。

可燃物が漂う環境で、防爆構造の電気機械器具を使用していても、機能しなければ意味がありません。
器具本体が防爆でも、ケーブルの被覆に穴が開いていたら、そこで火花が飛ぶかもしれません。常に正常であることが火災を防ぐことになるのです。

その日の作業前には防爆構造の電気機械器具と接続するケーブルの点検を行い、異常があればすぐに補修しなければなりません。

火花1つが大事故になるのですから、点検で正常を確認することは、非常に大切なことです。

まとめ。

【安衛則】

第279条
危険物などがあり、爆発又は火災が生ずるおそれのある場所においては、火気を使用してはならない。
第280条
爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具は防爆構造のものを使用しなければならない。
第281条
爆発、火災のおそれにある粉じんがある場所では、使用する電気機械器具は防爆構造のものを使用しなければならない。
第282条
爆燃性の粉じんが存在して爆発の危険のある場所では、使用する電気機械器具は防爆構造のものを使用しなければならない。
第283条
修理、変更等臨時の作業を行なう場合において、爆発又は火災の危険が生じない措置をとる場合は、防爆構造の機械の使用は除外される。
第284条
防爆構造電気機械器具を使用するときは、その日の使用を開始する前に、点検しなければならない。