危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

火気や爆発のおそれのある危険物の取り扱い。その2

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火災は点火源を抑えるだけでなく、可燃物を抑えることも大事です。

燃えるものが無ければ、もし引火しても燃え広がるのを抑えられます。
それに、危険物が漂っている環境での仕事は、健康に悪く、快適さもありません。

可燃性ガスや蒸気、粉じんなどの抑制についても、安衛則で規定されています。

【安衛則】

(油類等の存在する配管又は容器の溶接等)
第285条
事業者は、危険物以外の引火性の油類若しくは可燃性の粉じん又は危険物が
存在するおそれのある配管又はタンク、ドラムかん等の容器については、
あらかじめ、これらの危険物以外の引火性の油類若しくは可燃性の粉じん
又は危険物を除去する等爆発又は火災の防止のための措置を講じた後でなければ、
溶接、溶断その他火気を使用する作業又は火花を発するおそれのある作業をさせてはならない。

2 労働者は、前項の措置が講じられた後でなければ、同項の作業をしてはならない。

危険物や可燃物はタンクなどの容器に収められますが、この容器も時間が経つと劣化してきます。
劣化してくると補修しなければなりません。金属製の容器だと補修のために、溶接することもあります。

ご存知の通り、溶接は火と熱で金属を融着します。
辺りに可燃性のものや、爆発物があれば、非常に危険です。作業の前には取り除いてやる必要がありますね。

引火性の油類、可燃性ガスや粉じん、危険物があるタンクや配管の溶接作業の前には、あらかじめこれらを取り除かなければなりません

タンクの内部を抜くだけでなく、表面についた油を拭いたり、換気もしなければなりません。

(通風等の不十分な場所での溶接等)
第286条
事業者は、通風又は換気が不十分な場所において、溶接、溶断、金属の加熱その他
火気を使用する作業又は研削といしによる乾式研ま、たがねによるはつり
その他火花を発するおそれのある作業を行なうときは、酸素を通風
又は換気のために使用してはならない。

2 労働者は、前項の場合には、酸素を通風又は換気のために使用してはならない。

地下室やタンク内部など密閉された場所などは、空気の流れがなく、澱みます。
そうなると酸素濃度が低下し、下手に足を踏み入れると酸欠で倒れてしまいます。

酸欠を防止するために、換気し空気を入れ替えて、酸素濃度を高めてやります。
この時の注意です。

通気の悪い場所で、溶接や火花を出す作業を行うに辺り、喚起する時、酸素を使ってはいけません。

酸素濃度を上げてやるのですから、酸素そのものを送り込めば効率はよさそうです。しかし酸素は火が燃える3要素の1つです。濃度が高くなると、その分ちょっとした点火源で燃え広がってしまうのです。

換気で火災や爆発のリスクを上げてはいけません。もし火花を伴う作業場で喚起するならば、普通の空気を送り込むようにしましょう。

火災を防ぐためには、3要素のいずれかを抑えてやる必要があります。可燃物の濃度を薄めること、酸素の供給を過剰にしないこと。
これらも火災予防では欠かせないのです。

まとめ。
【安衛則】

第285条
油類若しくは可燃性の粉じんがある場所で、配管又はドラムかん等の容器を溶接する場合は、あらかじめ危険物を取り除かなければならない。
第286条
通風又は換気が不十分な場所において、溶接など火気を使用する作業などを行う場合は、酸素を通風又は換気のために使用してはならない。

コメント

  1. 佐々木 登 より:

    かつての炭鉱では坑内火災が多発してたそうです。
    その際には、中に坑夫がいるにもかかわらず、坑口を閉鎖したのです。
    なぜなら、中の高価な掘削機械が燃えるのを防ぐためでした。

    吉村 昭の「高熱隧道」という本を読まれましたか?
    これは黒部第三発電所のトンネル工事を題材にしたものです。
    人の命がいかに軽く扱われていたのか、よくわかります。

    1. itetama より:

      早速「高熱隧道」を購入しました。

      ご紹介いただいた本のように、事故の生々しい状況を想像すれば、命の持つ価値への認識を新たにさせられます。

      佐々木さん、ご紹介ありがとうございます。

      1. 佐々木 登 より:

        ありがとうございます。

        吉村 昭の本はなかなかおもしろいです。国産ジェットが飛びましたが、零戦のことを書いた本もあります。零戦も名古屋の三菱航空機ですからね。

        あと「総員起こし!」というのは、悲劇の潜水艦の話で、酸欠のことが出てきます。