厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第60話「猫井川、過去に袖をひかれる 」 |
長い間、牛黒と作業場を交換し、羊井の現場で作業していた猫井川ですが、今日は現場作業がなしになりました。 羊井の現場が、他の工種の関係上、中断することになったのです。 羊井からは、 と言われたので、そのことを犬尾沢に伝えたところ、 「こっちも今はそれほど忙しくないから、来てもらっても、やることないよ。」 「あ、でも手が開いてるなら、倉庫の備品を揃えておいてくれ。 そんな指示を受けたのでした。 備品を揃えるにしても、まずは何が足りないのかを調べなければなりません。 中に入ってみると、そこには割りと残念な様子が広がっていたのでした。 コンパネを保管している場所では、新しいものと使い古したものが混ざっているし、立て掛けられているものもあれば、床に置かれているものもあります。 いざ整理しようとなると、ため息しか出ません。 「仕方ない。とりあえず古いのと新しいのを分けていくか。」 1つずつコンパネを取り出しては、仕分けしていったのでした。 作業を始めると、思ったほど複雑に混ざっていたわけではなかったので、案外早く新旧の仕分けができました。 「割りと古いのも多いな。汚いのは捨てるか。」 そうして、古いコンパネはトラックに積み集積場まで持ち出しました。 「よし、いい感じになった。さすがオレ。 でも、その前にあっちの棚も整理して、まとめて買い出しに行くか。」 次は、工具置き場の整理に向かったのでした。 「ダメだな~こんなんじゃ。必要なときに見つけられなくなるのに。」 そんなぼやきをしながら、猫井川は道具を整理してきました。 「なんで、これがこんなところに。」 そう言って持ち上げたのは、クレーンのフックです。 「誰だよ、こんなとこに置いたのは。 関係ないのは置くなよな。」 と思い、運び出そうとした時でした。 急に猫井川の袖がぐいと引っ張られました。 猫井川の手を離れたフックは、まっすぐに地面に向かい、ガッシャーンと音を立て、猫井川のつま先に直撃しました。 「あっぶねー。何?ひっかかったの?」 振り返って、袖を引いたものを見てみると、それは棚から突き出た鉄筋でした。 「こんなところに、なんで鉄筋が??? そう思い、まじまじと見ると、1つ思い当たることがありました。 「そういえば、1ヶ月位前に、ここに材料を取りに来た時、オレが置いたかも。 そう、袖を引っ張ったのは、過去の猫井川自身なのでした。 「よく今までここにあったな。今日はちゃんと捨てておこう。」 |
今回は、工事現場ではなく、倉庫でのヒヤリ・ハットですね。
倉庫では材料や工具が収納されていますが、整理整頓されていないと、ものすごく困ります。
必要なときに必要な物が見つからないだけでなく、はみ出したりしたものが歩行者に当たります。
繁忙期になると、急いで荷物を引っ張りだしたり、元に戻したりします。
その際、本来の位置に、正しく戻せばいいのですが、焦っているととりあえず仮置きして、落ち着いてからきちんと直そうと思ってしまいます。そのように後回しにされたものは、多くの場合、そのまま放置されます。つまり煩雑な状態は、いつまでも煩雑なままになります。
一旦、整理整頓の状態が崩れると、あとはなし崩し的に乱れていきます。
猫井川が倉庫に入った時は、まさにそんな状態だったのかもしれません。
整理を始めた猫井川は、何かに袖を引っ張られ、重いフックを落としてしまいます。幸い安全靴のおかげで怪我はありませんでしたが、もし普通のスニーカー等であれば、足の指を骨折していたかもです。 まさにヒヤリ・ハットですね。
猫井川がフックを落下させる原因となったのは、1本の突き出た鉄筋でした。この鉄筋は、本来この場所にあるべきものではありません。過去に猫井川が、置き忘れたものだったのです。
猫井川の今回の事故は、猫井川自身が原因でした。
事故の芽は何気ないことから。
猫井川の置き忘れた鉄筋は、過去からのメッセージだったのかもしれません。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
ヒヤリハット | 鉄筋に袖をひかれ、フックを落とした。 |
対策 | 1.棚の整理整頓は日常的に行う。 2.不要なものを、置き去りにしない。 |
忙しい時ほど、整理整頓が大事です。
なぜなら、何かを探す時間が一番無駄だからです。整理整頓しておけば、探す時間が短縮できます。さらに不要なものに袖をひかれ、けがをすることもありません。
忙しい時は整理整頓なのですよ。