危険物・有害物○安衛法と仲良くなる

火気や爆発のおそれのある危険物の取り扱い。その3

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物が燃焼する際には、点火源が必要になります。
点火源としては、いわゆる火などが分かりやすいですが、もっと身近で注意しなければならないものもあるのです。

それが、冬の時期になると気になる静電気です。
静電気は、体に蓄積した電気が、金属に触れる時にパチっときますね。軽い痛みとともに火花も飛びます。

引火性の蒸気や粉じんが充満している場所では、この火花が点火源になるのです。

そのため、安衛則では、点火源としての火花の取り扱いについて、規制しています。
【安衛則】

(静電気帯電防止作業服等)
第286条の2
事業者は、第280条及び第281条の箇所並びに第282条の場所において作業を行うときは、
当該作業に従事する労働者に静電気帯電防止作業服及び静電気帯電防止用作業靴を
着用させる等労働者の身体、作業服等に帯電する静電気を除去するための措置を
講じなければならない。

2 労働者は、前項の作業に従事するときは、同項に定めるところによらなければ、
  当該作業を行ってはならない。

3 前2項の規定は、修理、変更等臨時の作業を行う場合において、爆発
  又は火災の危険が生ずるおそれのない措置を講ずるときは適用しない。

第280条等の場所とは、引火性の蒸気や可燃性ガスが満ちている場所、アルミニウムなどの引火性の粉じんが満ちている場所です。

このような場所では、ちょっとした火花を皮切りに、火が広がり、火災や爆発になることがあります。
粉じん爆発などは、よく小説やマンガなどで使われますが、そのような状態になるのです。

引火性の蒸気等が満ちている場所では、作業者の静電気を除去する服装などを身につけさせなければなりません。
静電気除去の服装、靴、手袋などの装備がありますので、それらを着用します。

決して絶縁性のものは使ってはいけません。これは逆に電気を溜めてしまいます。

修理や変更作業など臨時の時、急に静電気除去の装備を揃えるのは難しいですよね。そのような場合は、換気などの措置をとり、火災や爆発の危険がなくしたならば、静電気対策は必要ありません。

(静電気の除去)
第287条
事業者は、次の設備を使用する場合において、静電気による爆発又は火災が
生ずるおそれのあるときは、接地、除電剤の使用、湿気の付与、
点火源となるおそれのない除電装置の使用その他静電気を除去するための
措置を講じなければならない。

  1)危険物をタンク自動車、タンク車、ドラムかん等に注入する設備

  2)危険物を収納するタンク自動車、タンク車、ドラムかん等の設備

  3)引火性の物を含有する塗料、接着剤等を塗布する設備

  4)乾燥設備(熱源を用いて火薬類取締法第2条第1項に規定する
   火薬類以外の物を加熱乾燥する乾燥室及び乾燥器をいう。以下同じ。)で、
   危険物又は危険物が発生する乾燥物を加熱乾燥するもの(以下「危険物乾燥設備」という。)
   又はその附属設備

  5)可燃性の粉状の物のスパウト移送、ふるい分け等を行なう設備

  6)前各号に掲げる設備のほか、化学設備(配管を除く。)又はその附属設備

引火性の蒸気や可燃性のガスが満ちていて、換気も難しい特殊な場所での作業時も静電気の対策が必要です。

タンクに引火物を注入する設備、タンク内部、引火性の接着剤などがある場所、乾燥設備、可燃性の粉じんがある場所などでは、静電気を除去する対策をとらなければなりません。

静電気を除去するためには、接地で電気が溜まらないようにすること、除電剤で電気を逃がすこと、適度な湿度をもたせることなどがあります。体以外にも静電気は蓄積するので、そもそも電気がたまらないようにします。

静電気は、軽く見ていると、とてつもない被害を生み出してしまいます。
過去では、ほんの小さな火花が、大爆発を引き起こすこともありました。それらの経験をもとに、わざわざ条文にまでして、静電気対策を促しているのです。

小さな火花への注意が、火災予防になるのです。

まとめ。

【安衛則】

第286条の2
可燃性の危険物ある場所では、労働者に静電気帯電防止作業服などを着用させなければならない。
第287条
静電気による爆発又は火災が生ずるおそれのあるときは、接地、除電剤の使用など、静電気を除去するための措置を講じなければならない。