厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
ゲーテの最後の言葉は「もっと光を」だったそうです。
ここ最近は、秋も深まり日没が早くなりました。5時にもなるとかなり暗くなります。
建設業でも、遅くまで作業ができなくなってきました。
やはり暗い場所での作業は、捗りません。
建設業以外でも、最近いくつか工場に伺う機会があり、その時に気になったことがあります。
フォークリフトが頻繁に行き交っている工場とは別の工場での話です。
その工場は、電気機器の組立を行っています。組立はラインになっているわけではなく、1つの機器に対して、1人の作業者が作業を行っているものです。
この時も、安全診断が目的で伺ったのではないのですが、気になるのは工場の中の危険ポイントです。 それで気になったのが、どうも作業している手元が暗いのではないかということでした。
工場の天井には、水銀灯が点灯します。
しかし、手元は機器の影になっています。手元を照らす照明もありません。
作業している人たちは、別段不便を感じているようではありませんでしたが、見ているこちらが気になってしまったのでした。
暗い作業場で何が悪いかというと、手元足元が見えにくくなるから、怪我をしやすくなるのです。
手元が暗ければ、工具で手を怪我することがあります。また足元が暗ければ、段差や障害物につまづいたりします。
もし、暗がりに開口部があれば、気付かず足を踏み入れ、墜落することだってあります。
今回は仕事の時の「照明」の大切さについてです。
明るい職場は怪我も少ない |
照明の明るさなんて、細かいことをと思うかもしれませんが、実は安衛則で、規定があるのです。
【安衛則】
(採光及び照明) 第605条 事業者は、採光及び照明については、明暗の対照が著しくなく、 かつ、まぶしさを生じさせない方法によらなければならない。 2 事業者は、労働者を常時就業させる場所の照明設備について、 |
精密な作業とは、細かい手元の作業です。精密機器の組立や、目の細かい裁縫などです。
昔だったら、製図なども含まれたでしょうが、今はCADで描かれることが多く、少なくなっていますね。
粗な作業で、一例で聞いたのは倉庫や港湾での荷物の出し入れのような作業です。ある程度見分けがつけばいいという作業です。
工場内の精密機器以外の組立は、普通な作業に含まれます。
先日伺った工場は、光度計で測ったわけではないので、正確な数値はわかりませんが、150ルクス以上あったのか。
少なくとも影になっているところは、かなり暗かったと思われます。
照明が天井についています。天井の高さは、10メートルくらいあります。
水銀灯が明るくとも、床面を明るくするには、ちょっと遠いです。
照度を確保するためには、照明を替えたり、照明の位置をもっと低くする必要があります。いずれこういった対処が必要になるでしょう。
しかし、今すぐ改造ができるかというと、難しいかもしれません。
工場の改造のためには予算も時間も必要になります。
将来的にそのような対応を検討するとして、今すぐできる対応も考えておくとよいでしょう。
私が会話の中で軽く提案したのは、手元照明を置くことです。
机の上に置くような簡易スタンド照明でもいいので、設置すればよいのではと伝えました。
これで手元の照度はかなり明るくなります。影になって見えにくいということも解消されます。
とはいえ、手元照明を使うことで、別のリスクが高まります。
それは照明のケーブルを床に這わせるので、引っ掛けたり、つまづいたりすることです。
ケーブルがむき出しで這わせないように、ケーブルカバーを置くなども提案しました。
照明が暗い職場は、何となく陰気な感じがします。
汚れたり、雑然とした棚も隠してくれるので、整理整頓も疎かになりそうです。
照明を明るくするだけで、雰囲気も変わり、人の気持も明るくなることもあると聞きました。
たかが照明ごときでと思うかもしれませんが、されど照明で安全は変わるのです。
特に、高齢の作業者が増えてきた昨今では、明るい照明はかなり大事です。足元まではっきり見える職場は、事故防止になるのです。
暗い仕事場より、明るい仕事場。
そんな提案をして、自分の会社に戻ってきたところ、自社の工場の照明がかなり暗いことに気づいてしまったのでした。
別の会社のことをどうこう言うより、自分の会社のことをどうにかしないと。
とりあえず、手元照明の手配からかな。
工事現場の、現場事務所には屋外にセンサーライトを設置してみたんですけどね。