厚生労働省労働局長登録教習機関
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危険を伴う作業の1つに、乾燥作業というものがあります。
乾燥というと、ぱっと浮かぶのは、服の乾燥機ではないでしょうか。
もしくは、食器乾燥機などでしょうか。
もちろん、服や食器などの乾燥は、稼働中に手を入れると、火傷をする可能性があります。まあ、稼働中に手を入れることは、構造上無理ですけどね。
安衛則で、取り扱いを規定している乾燥設備とは、服や食器などではありません。危険物の乾燥です。
爆発したり、火災になりやすい危険物は、乾燥させるとその危険度は増します。
乾燥作業中に爆発や火災ということもあるのです。
そのため、安衛則では危険物の乾燥設備について、設備の構造などに規定を設けているのです。
【安衛則】
第5節 乾燥設備
(危険物乾燥設備を有する建築物) |
この条文で書かれている危険物とは、安衛令別表1にあるものを指します。
具体的な物質は、別表を参照してもらえたらと思うので、一々あげませんが、分類ではこんなのがあります。
「爆発物」、「発火性のもの」、「酸化物」、「引火性のもの」です。
爆発性のものというと、火薬などですね。火薬は湿気ていては使えません。乾燥させてやる必要があります。つまり火薬の乾燥設備などでは、これから挙げられる条文が適用されるのです。
さて、危険物乾燥設備を設ける時には、決まりがあるというのが、この条文です。
危険物乾燥設備は、平屋に設けなければなりません。
2階以上の場所には設けてはいけません。
ただし、2階以上に設けられる例外もあります。
それは、乾燥設備より上が吹き抜けになっているなど、上の階がない場合、または耐火建築物、もしくは準耐火建築物の内部に設けられる場合です。
原則1階の平屋に置きましょう。
これは、火災が起こった時に、火は上に上に燃えていきます。燃え広がりを防ぐ目的と言えるでしょう。
乾燥設備は、爆発や火災の危険が付きまとうのですから、これらを防ぐことを念頭に置き作ります。
危険物乾燥設備は、一定の構造のものでなければなりません。
ただし、爆発や火災が起こらないものを乾燥させる場合は、必要ありません。
さて、守らなければならない構造は、次のとおりです。
1.外面は、不燃性の材料で造る。
2.内面、内部の棚、わくなどは不燃性の材料で造る。
3.側部と底部を堅固にする。
4.周囲の状況に応じ、上部を軽量の材料で造る。または爆発戸や爆発孔を設ける。
5.ガスや蒸気など爆発や火災の危険があるものを、安全に排出できるようにする。
6.液体燃料や可燃性ガスを使用する場合は、燃焼室や点火箇所を換気できるようにする。
7.内部は掃除しやすいようにする。
8.のぞき窓や出入り口などの開口部は、発火時に燃え広がる恐れのない場所に設ける。また直ちに密閉できるようにする。
9.内部の温度が測れるようにする。また内部の温度を自動制御できるようにする。
10.乾燥の熱源として、直火を使用しない。
11.危険乾燥物以外の乾燥で、直火を用いいる場合は、覆いや隔壁を設ける。
燃え広がらないようにすること。もし爆発や火災があった場合でも、なるべく被害を最小に留める構造にすることが求められるのです。
(乾燥設備の附属電気設備) 第295条 事業者は、乾燥設備に附属する電熱器、電動機、電灯等に接続する配線 及び開閉器については、当該乾燥設備に専用のものを使用しなければならない。 2 事業者は、危険物乾燥設備の内部には、電気火花を発することにより危険物の |
乾燥設備の多くは、電気で制御されます。
これは家庭用の乾燥機や食器乾燥機を考えればわかりますよね。
前条にありましたが、危険物の乾燥で直火、つまり火を使うことは禁止されています。
電気も点火源になり、火災の原因になりますから、乾燥設備に接続する電気設備には、火災防止の構造になっていないとだめなのです。
乾燥設備に接続する電気設備は、その機械専用のものを使用しなければなりません。
電源が、他の機械にもつながっているといった、いわばタコ足配線のようなことはしてはならないということです。
また、乾燥設備の内部は、引火性のものに満ちているのですから、火花を飛ばすような配線や機器を置いてはいけません。
乾燥設備は、危険物がより爆発、燃えやすい状態にするための設備です。
そのため、火災に注意した構造にすることが求められるのです。
まとめ。
【安衛則】
第293条 危険物乾燥設備を設ける建築物については、平家としなければならない。 |
第294条 乾燥設備は、不燃材で造るなど、一定の構造を備えなけばならない。 |
第295条 乾燥設備に付属する電気設備は、専用のものを使用しなければならない。 |