厚生労働省労働局長登録教習機関
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危険物の乾燥設備について、まず爆発や火災が起こりにくいような構造にすることが大事です。しかし使い方も注意しなければいけません。
どんなに設備が立派でも、使い方が不適切だと、危険を生み出してしまうのです。
危険物乾燥設備の取り扱いでは、資格を持った作業主任者の選任を必要とするのです。
安衛則では、乾燥設備の取り扱いについても規定しています。
【安衛則】
衣類や食器などの乾燥であれば、多少の火傷に注意すればいいのですが、危険物となると、そうはいきません。
ただでさえ、爆発や火災のおそれがある危険物です。乾燥させることによって、一層危険な状態にしていくのです。
危険物の乾燥を行う時には、爆発や火災の防止措置をとらなければなりません。
防止措置として、次のことを行います。
1.使用するときは、あらかじめ、内部をそうじ、換気をする。
2.乾燥時に発生する蒸気や粉じんは安全に排出する。
3.加熱乾燥する乾燥物が簡単に脱落しないようにする。
4.液体燃料又は可燃性ガスを熱源の燃料として使用する乾燥設備(第294条の6)では、燃焼室などを換気した後、点火する。
5.高温で加熱乾燥したものは、発火の危険がない温度まで冷却して格納する。
6.乾燥設備の近くに燃えやすいものを置かない。
火事の原因となる蒸気や粉じんなどを取り除き、排出することが重要です。
また近くに燃えやすいものを置くのも避けます。
何より燃えやすいものを取り除く、清掃することが一番の火災防止になります。
(乾燥設備作業主任者の選任) 第297条 事業者は、令第6条第8号 の作業については、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから、 乾燥設備作業主任者を選任しなければならない。 |
安衛令第6条8号の作業とは、次の作業です。
【安衛令】
8 次に掲げる設備による物の加熱乾燥の作業
イ 乾燥設備(熱源を用いて火薬類取締法 第2条第1項 に規定する火薬類以外の物を ロ 乾燥設備のうち、イの危険物等以外の物に係る設備で、熱源として燃料を使用するもの |
一定量以上の危険物を乾燥させる設備ということです。
一定量とは、次のとおりです。
・危険物の内容積が1立方メートル以上
・危険物以外の乾燥で、固定燃料を毎時10キログラム以上、液体燃料を毎時10リットル、気体燃料を毎時1立方メートル以上、定格消費電力10キロワット以上を熱源とする
非常に大きな乾燥設備であるといえます。
一定以上の危険物乾燥設備では、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから、乾燥設備作業主任者を選任しなければなりません。
作業主任者の選任を必要としない設備であっても、設備の取り扱いは同じくらいの注意が必要なことは言うまでもありません。
一定以上の規模の危険物乾燥設備では、作業主任者を選任しなければなりません。
作業主任者は、現場で直接指揮をとるなどの措置を行わなければなりません。
作業主任者の仕事は、次のとおりです。
1.乾燥設備をはじめて使用するとき、又は乾燥方法若しくは乾燥物の種類を変えたときは、労働者に作業の方法を周知させ、作業を直接指揮すること。
2.乾燥設備等に不備な箇所を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
3.乾燥設備の内部における温度、換気の状態及び乾燥物の状態について随時点検し、異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
4.乾燥設備がある場所を常に整理整とんし、その場所にみだりに可燃性の物を置かないこと。
作業の方法の指揮と点検が主な仕事です。
取り扱い方を少しでも間違えると、爆発や火災を起こしてしまう設備ですので、作業主任者の責任は重大です。
しかし作業主任者を選任を必要としない乾燥設備でも、同じように点検や作業方法の確認は必要になります。
危険物を乾燥させるということは、さらに爆発、火災の起こしやすい状態にしていくのですから、取り扱いは慎重さを必要とします。
作業主任者は一定量以上の規模で必要になりますが、少量であろうが同じだけの措置が必要になります。
まとめ。
【安衛則】
第296条 乾燥設備を使用して作業を行なうときは、爆発又は火災を防止するための措置を取らなければならない。 |
第297条 乾燥作業は、乾燥設備作業主任者を選任しなければならない。 |
第298条 乾燥設備作業主任者は、作業の安全を確保するために指揮をとらなければならない。 |