崩壊・倒壊○事故事例アーカイブ

鉄パイプ下敷き、45歳男性が死亡 鏡石の資材置き場で(福島県鏡石町)

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資材や荷物などを高く積み上げるほど、たかんるリスクがあります。
それは、積み上げた資材が落ちてきたり、崩れ落ちたりすることです。

もし落下した先に人がいれば、大けがは免れません。
100キロ以上の物であれば、命を失われることになります。

建設作業の現場でよく使う足場材ですが、現場で使用しないときは、資材置き場に保管します。
保管は、部材ごとにまとめることが多いです。多少は積み重ねることもありますが、それが高く積み上げたり、積み方が悪いと、崩れる危険があるのです。

福島県鏡石町では、積み重ねた鉄パイプ資材が崩れ落ち、作業者を下敷きにする事故がありました。

今回はこの事故の原因を推測し、対策を検討します。

index_arrow 事故の概要

事故の概要について、新聞記事を引用します。 なお、紹介したいのは事件そのものですので、被害者名などは割愛しておりますので、ご了承下さい。 引用の下に、元記事へのリンクを張っております。

鉄パイプ下敷き、45歳男性が死亡 鏡石の資材置き場で (平成27年11月12日)

12日午後5時ごろ、鏡石町の資材置き場で積み上げられた鉄パイプが崩れ、白河市、作業員が下敷きになった。被災者は全身を強く打ち約2時間10分後に死亡した。須賀川署は労災事故として調べている。

 同署によると、被災者は足場に使う鉄パイプを片付けるため、束ねて積み上げていたという。

福島民友ニュース

この事故の型は「崩壊・倒壊」で、起因物は「鉄パイプ」です。

事故は会社の資材置き場でしょうか、鉄パイプを保管する場所で起きました。
保管のために種類ごと、長さごとに仕分け、束ねて積み上げていました。そのとき、高く積み上げていたのか、もしくは積み方が悪く、一方のみに傾いてたのかもしれません。

鉄パイプは崩れ落ち、すぐ側にいた作業者を下敷きにしてしまいました。

束になった鉄パイプはの重量は、何百キロにも及びます。それが体の上に載るのです。とてもじゃないですが、体は耐えられません。 下敷きになった作業者は亡くなられたのでした。

それでは、原因を推測していきます。

index_arrow 事故原因の推測

直接的な原因は、鉄パイプが崩れてしまったことですので、積み方が悪かったということになります。 積み方が悪く、バランスを崩してしまったのです。

なぜ積み方が悪かったのでしょうか。
鉄パイプは、細長い筒状です。何本か横に広げ、ピラミッドのように重ねていく必要があります。
しかし積み重ねるのにも上限があります。また片側に荷重がかけると、バランスが崩れやすくなります。

何段まで積み重ねることになっていたのか、積み重ね方が決まっていたのか。これらが社内ルールがあったのかが問題です。

積み重ね方だけでなく、積み重ねるときに、崩壊防止の設備や対策がなかったのも原因ではないでしょうか。

それでは、原因を推測をまとめてみます。

鉄パイプを高く積み重ねた、またはバランスが悪かったこと。
鉄パイプの積み重ね方にルールがなかったこと。
崩壊防止措置がなかったこと。

それでは、対策を検討します。

index_arrow 対策の検討

鉄パイプの保管のためには、種類ごとにまとめておくと、使うときに便利です。
保管の仕方としては、積み重ねたり、立て掛けて保管ということもあるでしょうが、いずれの場合でも倒れてくる恐れがあります。

倒壊してこないような保管方法をとる必要があります。
積み重ねるのであれば、何段までにする、片側に荷重がかかり過ぎないという、作業手順やルールを設けておくことが必要です。
作業標準を作っておくということです。そのような標準があれば、作業はしやすくなります。
立て掛けて保管する場合も、何本ずつまとめるといった標準を作っておくといいでしょう。

またバラバラと崩れてこないように、ロープでくくることもよいですね。
さらに1本、2本と落ちてきても、作業者に当たらないように、枠や柵を設けておくことも、崩壊防止になりそうです。

保管物が倒壊する恐れがある場合は、保管方法を決めるとともに、設備面での工夫が必要になります。

対策をまとめてみます。

鉄パイプの保管方法の標準を決める。
枠や柵などの崩壊防止設備を設ける。

資材の保管では、鉄パイプ以外でも倒壊するものがあります。
高く積み重ねたものは、それだけ崩壊し、落ちてくる危険があります。

作業の仕方を決めること、防止設備を設けることをしっかり検討しておく必要があります。

index_arrow 違反している法律

この事故で、関係する法律は、おそらく次の条文です。

第432条
はいの崩壊又は荷の落下の危険のおそれがあるときは、ロープで縛るなどの措置をと慣れなければならない。

これらについて、解説している記事は、こちらですので、あわせて参考にしてください。

荷役作業での危険防止措置について

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