厚生労働省労働局長登録教習機関
北海道・宮城県・岩⼿県・福島県・東京都・⼤阪府・福岡県
今回も労働新聞社の「安全スタッフ」(NO.2246(平成27年11月15日号))の特集からです。
先日取り上げた特集は、「無事故の秘訣は「安全八策」」というものでした。こちらは、この記事になります。
鉄建建設大阪支店の道場生野作業所で行われている「安全八策」は使えるアイデアが満載のようです。
もう1つの特集は、「高齢者が働きやすい職場づくり」です。
こちらもとても役立ちそうな内容でしたので、ちょっと書いてみたいと思います。
今や、60歳以上、65歳以上の高齢者も現役で働かれています。
5人に1人が60歳以上、10人に1人が65歳以上というのが現状です。
年齢を重ねるとどうしても身体的に衰えがでてきます。これは誰も回避することができません。
職場で高齢者の割合が増えてくると、それに合わせた環境作りが大切になってきます。
中でも、特に重要なテーマは、「汚いは危険」ということです。
これは高齢者が働きやすい仕事場を作るために重要なテーマですが、同時に全ての作業者にとっても意義のあることです。
汚いは危険。キレイ作りは安全環境作り |
特集記事の中で、最初にばばーんと掲げられているテーマが「汚いは危険」です。
職場が汚れたり、汚いままだと、それだけ危険がいっぱいなのです。
とても分かりやすい例を挙げると、部屋の中にゴミが散乱している汚宅、汚部屋といったところを想像してください。散らばらった服の下に、何があるか分かりませんよね。もしかすると、刃物が落ちているということもあります。
汚部屋などは極端な例ですが、汚ない環境には、危険が潜んでいるのはわかりますよね。
汚い場所は、あんまり見たくないです。目を逸らしたくなります。
床が汚いと、足元への注意がおろそかになり、つまづいたりしかねません。
床の上は、「ヌカヅケ」の精神が大事なのだそうです。
ヌカヅケとは、「濡れた床、階段に注意し、片付けよう」の頭文字をピックアップしたものです。
荷物が散在している床、階段、濡れている場所は、転倒しやすい場所です。
転倒を防ぎ、足元への注意を促すためには、まずはきれいにすることなのです。
具体的に、「ヌカヅケ」を実現するためには、次のことをやっていきます。
・通路に物は置かない。
・足元まで明るく見えるよう照明をつける。
・床の凸凹を無くす。わずかな段差や隙間をなくす。
・ドアの下もフラットにする。
・マットもつまづく原因になるので、段差をなくす。端を滑らかなスロープにする。
・床に這わせた電線は、可能なら天井にはわせる。
・道具や踏み台は使ったら、元の場所に戻す。
・床の濡れている箇所は直ちに拭いて、乾かす。
・ツルツルの床は滑りやすいので、防滑塗装といった滑りにくい床にする。
・階段や段差には手すりをつける。可能な限り両サイドにつける。
・階段の端部は、滑り止めをつける。
他にも工夫できることはあるでしょうが、こういった対策をやっていくのがいいですね。
その他にも、こんな工夫が |
高齢作業者で多い事故は、転倒です。
そのため、床をきれいにしておくのは、転倒を防ぐために行います。
高所で転倒すれば、墜落事故にもつながります。
転倒が他の事故につながることもあるのです。
高齢者の転倒を防ぐために、安全靴を見直すこともできます。
安全靴といえば、つま先に鉄板が入っているのが一般的です。鉄板が入っている分、靴は重くなります。しかも重心はつま先になります。
年齢を重ねると筋力が衰えます。その衰えが最も顕著に現れるのが、足腰で、転倒の原因になります。 歩くとき、若いうちならばつま先が上を向き、かかとから着地します。しかし筋力が衰えるに従い、足を上げてもつま先は下を向き、着地もつま先からとなります。
つま先から着地すると、つまづきの原因になります。
安全靴は、つま先に鉄板が入っています。筋力が衰えているところに、つま先に鉄板が入った靴を履くのですから、ますますつまづきやすくなります。
これを解消するために、最近では、鉄板の代わりに樹脂を使った安全靴というものがあります。これはつま先が重くありません。また全体的に軽くなります。900グラム以下のものもあるそうです。
安全靴以外の注意点としては、脚立の使い方も紹介されていました。
脚立作業から転落する事故も、少なくないようです。
脚立使用時の注意点としては、まず設置する場所は障害物や凸凹がないようにするのが原則です。
使用するときも、またがったり、天端作業は禁止です。
脚立は原則的に、作業する面に対し、直角に置きます。
作業をするのは、作業面と反対側の踏板に立ちます。
この時、両足を踏板に置き、さらに1段か2段上の踏板に膝を当て、よりグラつきがないように支える、三点支持も推奨されています。
より安全な脚立の使い方を紹介されていましたが、そもそも高齢者に高所や脚立作業をさせないというのも、現実的な選択肢です。
高齢者が安心して働ける環境つくりや作業方法は他にもあると思います。 作業場の中で、何が危険かということを、一緒に見つけて、対応することが、今後大切なことになるでしょう。
高齢者の方が働きやすい、安全に働ける作業場は、若い人にとっても働きやすい環境になります。 そういった優しい作業場作りは、今後全ての事業者にとって課題になるはずです。