厚生労働省労働局長登録教習機関
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横浜のマンションが基礎くいの不良により、傾いているというニュースは、耐震偽装の時のように、問題が大きくなってきました。
傾くという現象を起こしてしまっただけでなく、データを改ざんしていたことも発覚し、くい打ち工の信頼を残ってしまいました。
この問題は、横浜のマンションを施工した業者だけなく、その他のくい打ち業者にも波及し、収拾するにはまだしばらくかかりそうです。
くい打ち、くい抜き、ボーリングは建物の基礎工事で行われます。
岩盤まできちんとくいを打込み、支持力を確保する品質管理は大切ですが、これらの作業は大掛かりで、危険もあります。
そのため、安衛則では、くい打ち作業についての危険防止、安全についても詳しく規定されています。
今回より、くい打ち等の作業の安全についてまとめていきます。
【安衛則】
第2節 くい打機、くい抜機及びボーリングマシン
(強度等) 1)使用の目的に適応した必要な強度を有すること。 2)著しい損傷、摩耗、変形又は腐食のないものであること。 |
くい打ち機とは、長いくいを地中深く打ち込む機械です。それとは逆に、くい抜き機は、打ち込まれたくいを引き抜く機械です。
ボーリング機械は、長いドリルを使って、地中深くまで穴を掘る機械です。
どのようなものかは、この記事上部の写真でイメージがつくのではないでしょうか。中にはくい打ちの部分を見たこともあったりするかもしれませんね。
これらの機械はとても大きなものです。特にくいを打ったり、引き抜いたり、ボーリング用のドリルを取り付けている部分は、非常に背の高いものです。遠くからでも、設置されているのが分かります。<b
r> これらの機械が巨大なのは、それだけ強い力を必要とするからです。その力を支えるためには、頑丈さも必要とします。
くい打ち機、くい抜き機、ボーリングマシンの機体や付属品は、十分な強度を持ち、損傷や腐食、摩耗、変形がないものを使用しなければなりません。
機体が頑丈でなければ、深く地中にくいを打ち込むことはできないのです。
くい打ち機、くい抜き機、ボーリングマシンは、地中深くまで掘ったり、くいを打ちこんだりするため、とても背の高いくい打ち部を持ちます。写真で言うと、本体に付属してい長い長い手の部分です。
背が高い部分は、長いくいを支える部分なのですが、高さは数十メートルになります。そこまで背が高いと注意しなければならないのは、バランスを崩して倒してしまうことです。
くい打ち機やくい抜き機、ボーリングマシンを使用するときには、倒壊を防止しなければなりません。
倒壊防止の方法としては次の方法をとっていきます。
1.くい打ち機などを軟弱な地盤に設置するときは、脚部、架台が沈み込まないように、敷板や敷角を使います。
2・施設、仮設物等に据え付けるときは、強度を確認します。強度が不足していれば、補強します。
3.くい打ち機の脚部や架台が滑って動くおそれがある場合は、車止めのようにクサビや歯止めを使って固定します。
4.軌道(線路)、コロで移動するくい打ち機などは、勝手に動かないように歯止めなどで固定します。
5.電柱の支線のように、控えで頂部を安定させるときは、控えを3つ以上つけます。そして控えの末端は、強固な控えぐいや鉄骨で固定します。
6.控線だけで頂部を安定させるときは、数を増やし、等間隔で360°配置するなどして、全方位で安定させます。
7.バランスウェイトを使用する場合は、ウェイトの移動を防止するため、架台に取り付けること。
くい打ち機の姿やある程度の構造を理解していないと、イメージがつきにくいかもしれません。
特に控えや控え線というものは、わかりにくいかもしれません。
くい打ち機などは、動力となる本体がくいを掴んでいます。
ショベルカーで例えると、運転席などが本体で、くいの部分がアームやバケットの部分です。
このアームを安定させることが、倒壊防止では重要です。
控えはこのアームをがっちりつかみ、傾いたり、振れたりしないように安定させるものです。
本当は写真などを使用して説明できればいいのですが、なかなか使ってもよい素材がないため、わかりづらい説明になってしまっています。
できれば、構造を説明したものをご覧になりながら、これらの条文を読んでいただければと思います。
まとめ。
【安衛則】
第172条 動力を用いるくい打機及びくい抜機、ボーリングマシンの機体、附属装置及び附属品は十分な強度と損傷や摩耗がないものを使用する。 |
第173条 動力を用いるくい打機、くい抜機、ボーリングマシンについては、倒壊を防止する措置をとらなければならない。 |