厚生労働省労働局長登録教習機関
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くい打ち機やくい抜き機は、何十メートルものくいを垂直に立たせ、これを支える構造です。ボーリング機械も、これと同じで、長い掘削ドリルを立たせて支えています。
支持されたくいは、地中深く打ち込むために、上下させます。そのためにワイヤーを使用します。機械の形は違いますが、クレーン車がワイヤーで荷物を吊り上げるのと同じといえます。
長く重いくいを支えるワイヤーです。簡単に切れてしまったのは困ります。
相当の強度を必要とします。
本体と同様に、ワイヤーの強度についても、安衛則で規定されています。
【安衛則】
くい打ちなどに使用するワイヤーロープは、貧弱ではいけません。 また長年使っていると、どうしてもワイヤーロープは劣化していきます。劣化したロープは切れるおそれがあるので、これも使う時には注意が必要です。
くい打ちなどで使用するワイヤーロープは、破損や摩耗、直径が減少しているようなものを使用してはいけません。
中でも、次のようなワイヤーは使ってはいけません。
1.継目のあるもの
2.ワイヤロープ一よりの間において素線の数の10パーセント以上の素線が切断しているもの
3.直径の減少が公称径の7パーセントをこえるもの
4.キンクしたもの
5.著しい形くずれ又は腐食があるもの
1と5は分かりやすいのですが、2~4はわかりづらいかもしれません。
ワイヤーロープというのは、1本の鉄棒ではありません。ロープというくらいですから、最小単位になる1本1本の鋼線を素線といいます。そして素線を何本かより合わせた、少し太いロープのことをストランドといいます。つまりワイヤーロープは、ストランドをより合わせたものになるのです。
ワイアーロープが細くなると、本来の強度が発揮されません。
ワイヤーロープのベースになる素線自体は細い鋼線なので、衝撃や劣化で切断することがあります。
素線の切断が増えてくると、ロープの直径が減少し、強度が減るのです。細い細い糸のような鋼線ですが、切断数が増えくると、ワイヤーロープに影響するのです。
一よりというのは、ストランドがロープをぐるっと1周する間のことです。この一より間で素線の数が10%以上が切断されていると、本来の力が発揮されませんのえ、使用してはいけません。
仮にストランドが70本の素線で出来ている場合、7本以上切断されていたら、使用してはいけないということです。一よりの素線の数は、ロープの仕様を見ると確認できます。
同じようにロープ全体の直径が7%以上減少してるものも、使用してはいけません。これは素線の切断だけではありません。切れていなくとも、凹んで直径が減少している場合も同じです。
4のキンクというのは、折れ曲がった状態のことです。ワイヤーロープは非常に硬いので、Uのように、形がつくほど曲がってしまうと、元通り真っ直ぐになりません。こうなると曲がったところが、弱点になります。
ワイヤーロープを使用する前には、切断されたり形が崩れているものは使用してはいけません。使用前にはワイヤーロープの点検は重要になります。
(巻上げ用ワイヤロープの安全係数) 第175条 事業者は、くい打機又はくい抜機の巻上げ用ワイヤロープの 安全係数については、6以上としなければならない。 2 前項の安全係数は、ワイヤロープの切断荷重の値を |
ワイヤーロープは、くいの上げ下げにも使用します。破損していたり、摩耗しているようなものでは強度は十分ではありませんが、新品であってもあまりに細いものであっては、くいの重さに耐えられず切れてしまいます。
ワイヤーロープは十分な強度を持ったものを使用しなければなりません。 切れない安全な強度を持っていることを確認するのは、安全係数で確認します。
安全係数は、
(ワイヤーロープ切断荷重) / (ワイヤーロープにかかる最大荷重)
で計算します。
くい打ちなどで使用するワイヤーロープの安全係数は、6以上としなければなりません。 くいの重量やワイヤーロープの仕様などを確認して、十分な強度をもったものを使用します。
くい打ち等でワイヤーロープは十分な強度がなければなりませんが、取付けにも十分な注意が必要です。
くいの巻き上げなどに使用するワイヤーロープは、確実に固定するなどの措置をとらなければなりません。
取り付け方には、決まりがあります。
ワイヤーロープは、普段は巻胴に巻かれていて、必要に応じて引き出されます。
掃除機の電源コードのようなものをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
ワイヤーロープはどんなに最大限引き出されても、多少の余裕が必要です。少なくとも2巻は巻胴に残っていなければなりません。 この2巻が、最後の引張力を作るのです。
またワイヤーロープは、本体に接続するのと、くいやハンマー、ドリルというものに接続しています。
どちらにも確実に強固に取り付けていなければなりません。取付金具としては、クランプやクリップといったものがありますが、これらで、しっかり固定します。
ワイヤーロープ自体の強度が十分でも、接続部が軟弱では、やはり切れてしまいます。
ワイヤーロープは、くい打ち機などでも重要な部品です。これが切断してしまうとどうしようもありません。
強度と確実な接続が、非常に重要なのです。
まとめ。
【安衛則】
第174条 くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの巻上げ用ワイヤロープについては、適切なものを使用しなければならない。 |
第175条 くい打機又はくい抜機の巻上げ用ワイヤロープの安全係数については、6以上としなければならない。 |
第176条 くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの巻上げ用ワイヤロープについては、長さや取付などについて適切な措置をとらなければならない。 |