○安衛法と仲良くなる車両系建設機械

くい打ち機、くい抜き機、ボーリング機械を使用する時の安全。その6

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くい打ち機などは、巨大な機械です。
街中で立っていると、ちょっとした塔のようなものです。

資格を得た人であれば、容易に作業することができますが、注意するべきところは、しっかり押えなければなりません。

運転方法や作業時の注意についても、安衛則で規定されているのです。

【安衛則】

(運転位置からの離脱の禁止)
第186条
事業者は、くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの運転者を
巻上げ装置に荷重をかけたまま運転位置から離れさせてはならない。

2 前項の運転者は、巻上げ装置に荷重をかけたままで
  運転位置を離れてはならない。

くい打ち機なども、クレーンと同じで重量物を引き上げ、吊り上げします。
機械の力で、宙に浮いたままに維持していますが、落下の危険は常にあるのです。

くい打ち機などの運転者は、くい等を吊上げ、巻上装置に荷重をかけたまま、席を離れてはいけません。

クレーンも同様ですね。危険状態にあるのですから、きちんとコントロールできるようにしておきます。

(立入禁止)
第187条
事業者は、くい打機、くい抜機若しくはボーリングマシンの
みぞ車若しくは滑車装置又はこれらの取付部の破損によった、
ワイヤロープがはね、又はみぞ車、滑車装置等が飛来する
危険を防止するため、運転中のくい打機、くい抜機
又はボーリングマシンの巻上げ用ワイヤロープの屈曲部の
内側に労働者を立ち入らせてはならない。

くい打ち機などの作業中は、周囲への気配りが欠かせません。 いかに安全に作られていようとも、機械に絶対はありません。壊れることもあります。何より宙にあるくいが落下することもあります。

機械の周りは危険がいっぱいです。

くい打ち機で作業する場合、危険箇所は立入禁止としなければなりません。

立入禁止になるのは、滑車などの部品が壊れて飛んで来る範囲、くいなどの周辺、ワイヤー屈曲部の内側などです。

とにかく作業半径内は入ってはいけません。コーンやバリケードなどで立入禁止を明確にしておくのがよいでしょう。

(矢板、ロッド等のつり上げ時の措置)
第188条
事業者は、くい打機又はボーリングマシンで、くい、矢板、
ロッド等をつり上げるときは、その玉掛部が巻上げ用みぞ車
又は滑車装置の直下になるようにつり上げさせなければならない。
くい打機にジンポール等の物上げ装置を取り付けて、
くい、矢板等をつり上げる場合においても、同様とする。

くい打ち機などは、くいやボーリング、矢板などを吊上げて、地中に打ち込む機械です。

地中に打ち込む時、最も効率よく力を発揮するためには、垂直に荷重をかけなければなりません。
斜めだと力が分散するだけでなく、傾いているのでくいなどが倒れる危険性も増します。

くい打ち機などで、くいや矢板などを吊り上げる時は、巻き上げ用みぞ車や滑車の真下になるようにしなければなりません。

原則として、垂直に物を上げ下げをさせなければならないのです。

(合図)
第189条
事業者は、くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの
運転について、一定の合図及び合図を行う者を定め、
運転に当たったは、当該合図を使用させなければならない。

2 くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの運転者は、
  前項の合図に従わなければならない。

くい打ち機の操作は、運転者が行ないますが、作業そのものは、運転者以外の作業者も一緒に行います。

周りの作業者と運転者の連携が取れていないと、くいの近くで作業しているのに、機械が動くということもあります。 そんな状態では、危険極まりなく、作業になりません。

運転者と作業者の意思を統一する必要があります。

くい打ち作業では、合図者を定め、合図者が運転者に指示を出します。

合図者は、作業者や周りの状況を確認して、合図を出します。運転者は、合図者の指示に従って作業します。

ショベルカーなどの車両系建設機械の作業では、合図者を配置しなければならないことが多いのですが、くい打ち機などでも同様ということです。

(作業指揮)
第190条
事業者は、くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの組立て、
解体、変更又は移動を行うときは、作業の方法、手順等を定め、
これらを労働者に周知させ、かつ、作業を指揮する者を指名して、
その直接の指揮の下に作業を行わせなければならない。

くい打ち機は非常に巨大です。トレーラーなどに乗せても、完成品で現場に運ぶことは、まず無理です。 そのため、部品ごとに運搬し、現場で組み立てます。

巨大な機械の組み立てです。1つ1つのパーツが大きく、ボルトも拳ほどのものが幾つもあります。 くい打ちの部分ともなると、高さが数十メートルにもにもなりかねかせん。

各々の作業者が好き勝手に組み立てていくと、思わぬ危険が発生するかもしれません。
そのため、全体を見渡せる人が必要になります。

くい打ち機などの組立や解体の際には、作業指揮者を定め、指揮者の下、作業を進めていかなければなりません。

きちんと段取りして、順序良くやっていくのが、最も危険を少なくする組立解体の進め方になるのです。

巨大な機械とともに作業するのは、注意が必要です。
きちんと周りを見渡すだけでなく、役割も明確でなければなりません。
運転者だけでは作業はできません。合図者などの役割が、全体の作業を効率的に、安全に進められることになるのです。

まとめ。

【安衛則】

第186条
巻上げ装置に荷重をかけたまま運転位置から離れさせてはならない。
第187条
運転中のくい打機、くい抜機又はボーリングマシンの巻上げ用ワイヤロープの屈曲部の内側に労働者を立ち入らせてはならない。
第188条
くい打機又はボーリングマシンで、くい等をつり上げるときは、その玉掛部が巻上げ用みぞ車や滑車装置の直下になるようにつり上げさせなければならない。
第189条
くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの運転について、一定の合図及び合図を行う者を定めなければならない。
第190条
くい打機、くい抜機又はボーリングマシンの組立て、解体、変更又は移動を行うときは、作業指揮者を定めなければならない。