建築物の組立

建築物等で鉄骨を組み立てる時の危険防止

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建築物で木造以外であれば、鉄筋コンクリート製または鉄骨です。
鉄筋コンクリート製であれば、壁自体が強固な柱の役割も果たします。一方鉄骨は、柱の役割を果たします。壁はALCという石膏ボードのようなもので、後付けで行います。

鉄骨構造には梁の距離を長くすることや、短期間で作ることが出来るなどのメリットがあります。

しかし、建物を支える鉄骨なので、大きく重量があります。
人力だけで作業するのは不可能です。移動式クレーンなどを使用します。

また組立作業中に、鉄骨が落下したり、倒れてきたりすると大事故になります。
平屋も鉄骨が倒れる危険がありますが、これが3階や10階ともなると、落下の危険は増していきます。

鉄骨組立作業中の危険を防止するための規定が、安衛則では定められているのです。

【安衛則】

第8章の2 建築物等の鉄骨の組立て等の作業における危険の防止

(作業計画)
第517条の2
事業者は、令第6条第15号の2の作業を行うときは、あらかじめ、
作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

  1) 作業の方法及び順序

  2)部材の落下又は部材により構成されているものの倒壊を防止するための方法

  3)作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための設備の設置の方法

3 事業者は、第1項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について
  関係労働者に周知させなければならない。

安衛令第6条第15号の2の作業とは、次のものです。

第6条
第15条の2 建築物の骨組み又は塔であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが5メートル以上であるものに限る。)の組立て、解体又は変更の作業

高さが5メートル以上の鉄骨造の建物です。建物のといっても、ビル等だけではありません。鉄塔なども含まれます。

高さが5メートルというと、2階から3階以上の建物場合となります。つまり平屋以外の鉄骨を組み立てたり、解体する場合は、これ以降の条文が適用されるのです。

高さが5メートル以上の鉄骨の組立作業を行う場合は、作業計画を定めなければなりません。

どのような計画かというと、次のようなものです。

1.作業の方法及び順序
2.部材の落下や倒壊の防止方法
3.作業者の墜落危険の防止方法

これらの計画は、ただ作っただけ、書類にまとめただけというではダメです。
きちんと、作業者に伝えて、守らせなければなりません。

作っただけの計画で、実行されなければ、全く意味がありません。

(建築物等の鉄骨の組立て等の作業)
第517条の3
事業者は、令第6条第15号の2 の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。

  1)作業を行う区域内には、関係労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。

  2)強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、
   当該作業を中止すること。

  3)材料、器具、工具等を上げ、又は下すときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させること。

5メートル以上の鉄骨の組立や解体を行うときは、作業計画を定めるだけでなく、作業中にも注意が必要です。

鉄骨組立や解体の作業中は、関係以外の立入を禁止する、悪天候時の作業を禁止、材料工具の吊り上げ等では、つり綱などのつかわせなければなりません。

鉄骨本体だけでなく、ボルトナットが落下したりするおそれがあるので、関係者以外が作業範囲に居ると危険です。また高所での作業になるので、強風や大雨で作業するも危険です。
そして、高所での材料や工具の上下の移動を手を行うと、滑ったりします。そのため、上下の移動は、網や綱などを使うのです。

高所作業ですので、落下や墜落の防止が必要になるのです。

(建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の選任)
第517条の4
事業者は、令第6条第15号の2の作業については、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を
修了した者のうちから、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者を選任しなければならない。

5メートル以上の鉄骨の組立や解体などは、安衛則で個別の条文が設けられるほど、事故が多い危険作業です。
そのため、この作業を仕切る人を配置しなければなりません。

鉄骨組立作業では、作業主任者を配置します。

作業主任者は、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者講習を修了し、資格を持っている人でなければなりません。

(建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の職務)
第517条の5
事業者は、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

  1)作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。

  2)器具、工具、要求性墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

  3)要求性墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

鉄骨組立で、作業主任者を配置した時は、必要な措置をとらせなければなりません。

作業主任者が行うことは、次のとおりです。

1.作業者の配置を決めて、作業を直接指揮する。
2.器具や工具、保護具の点検。
3.保護具の使用状況を監視する。

作業主任者は、鉄骨作業中に現場を離れてはいけません。
ずっと作業を監視し、指揮しなければなりません。

鉄骨造の建物を組み立てたり、解体作業は、墜落したり倒したりする危険があります。
そのため、作業主任者の配置など、注意が必要なのです。

まとめ。

【安衛則】

第517条の2
事建築物等の鉄骨の組立て等の作業を行うときは、あらかじめ、作業計画を定め、それに従って作業を行わなければならない。
第517条の3
事建築物等の鉄骨の組立て等の作業を行うときは、立入禁止、悪天候時の作業中止等の措置を行わなければならない。
第517条の4
建築物等の鉄骨の組立て等の作業については、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者を専任しなければならない。
第517条の5
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者は、作業方法の決定や指揮、器具等の点検、保護具の使用状況の確認を行わなければならない。

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