建築物の組立

鋼橋架設等の作業を行う時の危険防止

entry-519

鉄骨を組み立てるのは、建物や塔だけではありません。
橋の中にも鉄骨で組まれているものも少なくありませんよね。
いわゆる鉄橋(鋼橋)と呼ばれるものです。

鋼橋は、橋脚と橋脚の間を、鉄骨を渡して作っていきます。
この時渡される鉄骨の橋は、かなり長く、重いものです。

そのため鉄橋架線の作業は、鉄骨の建物を組み立てるくらい、慎重さを要します。

安衛則では、鋼橋架線についての規定が定められています。

多くの内容は、鉄骨の組立と共通するのですが、まとめていきます。

【安衛則】

第8章の3 鋼橋架設等の作業における危険の防止

(作業計画)
第517条の6
事業者は、令第6条第15号の3 の作業を行うときは、あらかじめ、作業計画を定め、
かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

  1)作業の方法及び順序

  2)部材(部材により構成されているものを含む。)の落下又は
  倒壊を防止するための方法

  3)作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための設備の設置の方法

  4)使用する機械等の種類及び能力

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について
  関係労働者に周知させなければならない。

安衛令第6条第15号の3の作業とは、次のものです。

第6条
第15条の3 橋梁の上部構造であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが5メートル以上であるもの
又は当該上部構造のうち橋梁の支間が30メートル以上である部分に限る。)の架設、解体又は変更の作業

鋼鉄などの金属製の橋で、高さが5メートル以上のもの、または橋脚と橋脚の間が30メートル以上のものを造る時、この条文の規定が適用されます。

高さが5メートル以上または、橋梁支間が30メートル以上の鋼製の橋の作業を行う時は、作業計画を定めなければなりません。

どのような計画かというと、次のようなものです。

1.作業の方法及び順序
2.部材の落下や倒壊の防止方法
3.作業者の墜落危険の防止方法
4.使用する機械の種類と能力

橋梁の架設作業では、橋を吊る機械が必要です。
かなり重量のあるものを吊り上げるので、能力が不十分な機械を使うと、落下したり、機械が転倒したりするのです。

作業計画では、作業方法や材料などの落下、倒壊、墜落の防止に加え、能力を備えた機械の選定も重要になるのです。

(鋼橋架設等の作業)
第517条の7
事業者は、令第6条第15号の6 の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。

  1)作業を行う区域内には、関係労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。

  2)強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、
   当該作業を中止すること。

  3)材料、器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に
   使用させること。

  4)部材又は架設用設備の落下又は倒壊により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、
   控えの設置、部材又は架設用設備の座屈又は変形の防止のための補強材の取付け等の措置を講ずること。

鋼橋架設の作業は、橋の作業なので、高所作業です。
そのため、鉄骨組み立ての作業と同様に、作業中の危険防止についても注意が必要です。

5メートル以上または、橋脚支間が30メートル以上の鋼橋架設の作業を行うときは、作業計画を定めるだけでなく、作業中にも注意が必要です。

鋼橋架設の作業中は、関係以外の立入を禁止する、悪天候時の作業を禁止、材料工具の上げ下げで吊り綱などを使うほか、部材の変形による落下や倒壊を防ぐため、補強材を備えなければなりません。

高所作業ですので、落下や墜落の防止が必要になるのと同時に、橋梁の支えを強固にして、橋梁が落下したり、倒壊を防がなければならないのです。

(鋼橋架設等作業主任者の選任)
第517条の8
事業者は、令第6条第15号の3の作業については、鋼橋架設等作業主任者技能講習を
修了した者のうちから、鋼橋架設等作業主任者を選任しなければならない。

橋梁架設作業も、事故が多い危険作業です。
そのため、鉄骨組み立て作業と同様に、この作業を仕切る人を配置しなければなりません。

鋼橋架設作業では、作業主任者を配置します。

作業主任者は、鋼橋架設等作業主任者講習を修了し、資格を持っている人でなければなりません。

(鋼橋架設等作業主任者の職務)
第517条の9
事業者は、鋼橋架設等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

  1)作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。

  2)器具、工具、要求性墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

  3)要求性墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

鋼橋架設等作業主任者は、安全に作業を進めるために、必要な措置をとらなければなりません。

作業主任者が行うことは、次のとおりです。

1.作業者の配置を決めて、作業を直接指揮する。
2.器具や工具、保護具の点検。
3.保護具の使用状況を監視する。

橋の作業は高所作業になります。
そのため、作業状況をしっかり監視し、安全に作業が進んで行くようにしなければならないのです。

(保護帽の着用)
第517条の10
事業者は、令第6条第15号の3作業を行うときは、物体の飛来又は落下による労働者の危険を防止するため、
当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない。

2 前項の作業に従事する労働者は、同項の保護帽を着用しなければならない。

鋼橋架設作業は、高所での作業なので、それに伴う危険への対処が必要になります。
中でも、高いところから物が落下し、それが下にいる作業者に当たる危険には注意が必要になります。

鋼橋架設の作業では、物の飛来や落下の危険を防ぐため、保護帽を着用させなければなりません。

墜落防止ではないので、衝撃吸収のライナー入である必要はありません。

保護具の中では、保護帽が規定されていますが、その他にも高所では安全帯(要求性墜落制止用器具)も着用しなければなりません。

まとめ。
【安衛則】

第517条の6
鉄橋架線の作業を行うときは、あらかじめ作業計画を定めなければならない。
第517条の7
鉄橋架線作業を行う場合は、立入禁止等の措置をとらなければならない。
第517条の8
鉄橋架線の作業を行うときは、鋼橋架設等作業主任者を選任しなければならない。
第517条の9
鋼橋架設等作業主任者は、労働者の配置や器具などの点検等を行わせなければならない。
第517条の10
鉄鏡架線作業を行うときは、保護帽を着用させなければならない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA