厚生労働省労働局長登録教習機関
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こんなヒヤリハットがありましたので、対策とともにご紹介したいと思います。
第69話「猫井川、死角からの危機に焦る 」 |
猫井川は初めての現場を任されることになり、張り切っていました。 今までは、どんな現場でも、犬尾沢が仕切り、指示されたことを行うのが普通でした。 しかし今回の現場については、自分で計画を立て、スケジュールと人員を調整しなければなりません。お客さんとも今までであれば、現場で挨拶するくらいだったのが、ここでは猫井川がやり取りしなければなりません。 多少距離があるとはいえ、工事の内容はそう難しくないコンクリートで擁壁を作る工事です。仕事の内容はともかく、色々なことが初めて尽くしです。戸惑うことばかりで、頭の中はいつも工事のことでいっぱいでした。 「ああ、あれをやらなきゃ。」と、思い出すこともあれば、犬尾沢に「前に言っていたあれは確認した?」と指摘されて、焦ったりすることも、しばしばでした。 犬尾沢や鼠川が、相当フォローしていますが、猫井川の気の落ち着かない日々は続くのでした。 「・・・はい。はい。承知しました。 はい。よろしくお願いします。それでは失礼します。」 元請けとの電話を終えると、 「ふ~~~、こういうやり取り疲れる。」 大きく息を吐き出します。 その様子に、鼠川は、 「大変だろうけど、まだちゃんとやれていると思うぞ。」 と、ねぎらいを込めて言いました。 「そうですかね?自分の中ではいっぱいいっぱいですけど。」 「それは、そうだろうとも。 「そうなんですか。大変ですけど、そんなもんなんですか?」 「意外とそういうのも多いんだよ。 で、さっきの電話で元請さんは、何だって?」 「あ、そうでした。この前丁張をかけたんですけど、ちょっと変更したいそうです。」 「そうなのか。何か問題があるのか?」 「ちょっと、他の仕事に影響があるそうです。詳しくはわからないんですけど。」 「いや、きちんと聞けよ。まあ、変えてくれと言われたら仕方ないな。 「はい。日程は犬尾沢さんに確認してからなんですけど。」 「うむ。わしは行けるようにするから、日は決めてくれ。」 「はい。犬尾沢さんに聞いてみます。」 そうして、猫井川は犬尾沢に丁張の変更と、日程の確認を行ったのでした。 「鼠川さん、犬尾沢さんが来週は手が開かないから、鼠川さんと2人で行ってくれとのことです。 「ああ、わしは構わんよ。 「そうですね。電話しておきます。」 こうして、2人は再度現場に向かうことになったのでした。 現場に到着すると、 「ちょっと元請けに挨拶してきます。 と言い、猫井川は敷地内の現場ハウスに向かいました。 現場には、他の工事もしていて、バックホウが行き交っています。 「変更を確認してきました。 鼠川に図面を見せなから、説明します。 「そうか。今の丁張だと、他の作業の邪魔になるんだな。 「そうですね。面倒な変更だったらと心配でしたけど、大丈夫そうです。」 「こんなの全然だぞ。もっと無茶を言われることだってある。 鼠川が問いかけます。 「それじゃ、鼠川さんは尺を持って立ってもらっていいですか? 「おう、分かった。」 猫井川の指示の下、それぞれの位置につきました。 廻りでは、バックホウやダンプが動き回っていましたが、猫井川はメガネを覗くことと、メモに集中していたのでした。 猫井川がメガネを覗いていると、背後で妙な振動を感じました。 「危ない!猫井川!後ろ!」と、叫ぶ声。 その声に驚き振り返ると、ダンプがすぐ近くまで近づいていたのでした。 思いの他、近くにいたことに驚き、 「うわっ!」と、声を上げました。 「集中するのもいいけれども、周りの注意は怠るなよ。」 いつもと違い鼠川の妙に優しげな注意に、逆におののく猫井川。 何となくの居心地の悪さを感じながら、 「足を動かしてしまったので、三脚の位置を替えましょうか。 と、提案する猫井川。 「そうだな。」 と、鼠川も同意しました。 ダンプに迫られたことと、鼠川の様子に驚きつつも、その肩に三脚を担ぐ猫井川なのでした。 |
ヒヤリ・ハットの補足と解説 |
今回も丁張の時のヒヤリ・ハットです。
丁張を行うときは、細かに測量するので、集中する必要があります。
集中すると、どうしても視野が狭くなります。そのため時として、周りが見えにくくなるのです。
自分たちだけで作業している時ならば、どんなに集中していても問題ありません。
しかし今回のように、他にも作業していたりすると、目の前のことだけ見ているわけにもいかないでしょう。
特に重機が走っている作業場や道路上では、周りを見ていないと危険極まりありません。
道路での測量の場合、誘導員をつけて、安全を確保します。
猫井川たちも、もう1人連れて来て、誘導員にしておくと、より安全に作業を進められたかもしれません。
それでは、ヒヤリ・ハットをまとめます。
ヒヤリハット | 測量していたら、バックホウの接近を許した |
対策 | 1.誘導員をつける 2.あらかじめ、他の作業と調整し、影響のない場所にセッティングする。 |
同じ作業場で、他に作業する会社があれば、仕事の取り合い位置など、打合せて、調整するのが大事ですね。