建築物の組立○安衛法と仲良くなる

コンクリート構造物の解体作業を行う時の危険防止

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高所など危険を伴う作業は、家や橋などを建てるものばかりではありません。背の高い建物や構造物を建てるのです。これらが役目を終えて、解体する場合も同様に高所作業を伴います。
むしろ解体する時は、瓦礫が飛び交うので、危険性が多くなります。
コンクリート構造物は10階を超える高層の建物になることも、少なくありません。そのため、これらの構造物を解体する時、高所作業による墜落への危険を注意するだけでなく、頭上からの落下物への注意もしなければなりません。

安衛則では、コンクリート構造物の解体について、規定が定められています。

【安衛則】

第8章の5 コンクリート造の工作物の解体等の作業における危険の防止

(調査及び作業計画)
第517条の14
事業者は、令第6条第15号の5の作業を行うときは、工作物の倒壊、物体の飛来又は落下等による
労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該工作物の形状、き裂の有無、周囲の状況等を調査し、
当該調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を
行わなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

  1)作業の方法及び順序

  2)使用する機械等の種類及び能力
 
  3)控えの設置、立入禁止区域の設定その他の外壁、柱、はり等の倒壊又は落下による
   労働者の危険を防止するための方法

3 事業者は、第1項の作業計画を定めたときは、前項第1号及び第3号の事項について
  関係労働者に周知させなければならない。

令第6条第15号の5の作業とは、次の作業のことです。

【安衛令】

第6条
15の5 コンクリート造の工作物(その高さが5メートル以上であるものに限る。)の解体又は破壊の作業

コンクリートで、高さが5メートル以上の構造物の解体作業のことです。高さが5メートル以上のものなので、高所作業になります。つまり墜落・転落と飛来・落下の危険がある作業での、規定になるのです。

コンクリート造で高さが5メートル以上の構造物を解体する時は、あらかじめ調査し、作業計画を立てなければなりません。

事前調査では、建物の状態や周囲の状況を調べます。建物の状態では、き裂の有無や破損状態も調べます。これらは解体作業を進めるために知っておく必要があります。

調査結果を踏まえて、作業計画を立てますが、その計画には、次のことを含みます。

1. 作業方法や解体の順序
2. 使用する機械の種類や能力
3. 控えの設置、立入禁止区域、倒壊防止対策

解体作業では、大きな重機を使います。そのためどういった機械を使うかの選択は重要です。ちなみに解体用機械の運転は、車両系建設機械(解体用)が必要になります。

(コンクリート造の工作物の解体等の作業)
第517条の15
事業者は、令第6条第15号の5の作業を行うときは、次の措置を講じなければならない。

  1)作業を行う区域内には、関係労働者以外の労働者の立入りを禁止すること。

  2)強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業の実施について危険が予想されるときは、
   当該作業を中止すること。

  3)器具、工具等を上げ、又は下ろすときは、つり綱、つり袋等を労働者に使用させること。

他の高層建造物を作るのと同様に、コンクリート構造物の解体も作業中の安全対策が必要になります。 その安全対策の方法も同じです。

コンクリート解体の作業の際は、関係以外の立入禁止、悪天候時の作業を禁止、材料工具の吊り上げ等では、つり綱などの使わせなければなりません。

解体に伴いコンクリートの破片が頭上を襲う可能生がある作業場です。作業に関係のない人が、入り込んで、怪我をするのは避けなければなりません。また大雨や強風の時は、作業どころではありませんので、中止しなければなりません。

また材料や工具の上下作業は、手渡しではなく、吊り綱や吊り袋を使用します。特に高所になればなるほど、吊り道具で確実な上下作業が必要になるのです。

(引倒し等の作業の合図)
第517条の16
事業者は、令第6条第15号の5の作業を行う場合において、外壁、柱等の引倒し等の作業を行うときは、
引倒し等について一定の合図を定め、関係労働者に周知させなければならない。

2 事業者は、前項の引倒し等の作業を行う場合において、当該引倒し等の作業に従事する
  労働者以外の労働者(以下この条において「他の労働者」という。)に引倒し等により
  危険を生ずるおそれのあるときは、当該引倒し等の作業に従事する労働者に、
  あらかじめ、同項の合図を行わせ、他の労働者が避難したことを確認させた後でなければ、
  当該引倒し等の作業を行わせてはならない。

3 第1項の引倒し等の作業に従事する労働者は、前項の危険を生ずるおそれのあるときは、
  あらかじめ、合図を行い、他の労働者が避難したことを確認した後でなければ、
  当該引倒し等の作業を行つてはならない。

コンクリートの構造物では、壁や天井、柱を倒す必要が出てきます。大きく重量のあるものが倒れるのですから、好き勝手に作業していたら危険です。危険作業なので、作業者の意思疎通が必要になります。

壁や柱などの引き倒し等の作業を行うときは、一定の合図を定め、関係者に周知しなければなりません。

引き倒しの合図をしたからといって、すぐに作業に取り掛かってよいものではありません。危険の及ぶ範囲から作業者が非難したことを確認してからです。合図し、周囲に危険がないことを確認してから、引き倒しの作業を行わなければなりません。

(コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の選任)
第517条の17
事業者は、令第6条第15号の5の作業については、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習を
修了した者のうちから、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任しなければならない。

コンクリート構造物の解体も危険を伴う作業なので、作業主任者が現場の作業を指揮させる必要があります。

コンクリート構造物の解体では、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者しなければなりません

作業主任者は、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習を修了した人でなければなりません。

(コンクリート造の工作物の解体等作業主任者の職務)
第517条の18
事業者は、コンクリート造の工作物の解体等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。

  1)作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。

  2)器具、工具、要求性墜落制止用器具等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

  3)要求性墜落制止用器具等及び保護帽の使用状況を監視すること。

コンクリート構造物の解体作業で、作業主任者を選任した場合は、作業者の安全確保のために、必要な措置をとらせなければなりません。

作業主任者が行うことは、次のとおりです。

1. 作業者の配置を決めて、作業を直接指揮する。
2. 器具や工具、保護具の点検。
3. 保護具の使用状況を監視する。

作業主任者は、現場に常駐し、監視と指揮を行います。
現場での安全を確保が重要な責務になるのです。

(保護帽の着用)
第517条の19
事業者は、令第6条第15号の5の作業を行うときは、物体の飛来又は落下による労働者の
危険を防止するため、当該作業に従事する労働者に保護帽を着用させなければならない。

2 前項の作業に従事する労働者は、同項の保護帽を着用しなければならない。

コンクリートの解体作業では、取り壊した破片が降ってくる恐れがあります。これらが頭に当たると、大怪我しますし、当りどころが悪いと、命に関わります。破片に対しての対策が必要になります。

コンクリート解体作業では、物体の飛来・落下の危険を防止するため、保護帽を着用させなければなりません。

この保護帽は、墜落防止のためのライナー入でなくとも構いませんが、おそらく高所作業も行うので、飛来落下と墜落防止の保護帽を着用するのがよいでしょう。

解体作業は、足元も悪く危険が増える現場です。そのため十分な安全対策が必要になるのです。

まとめ。

【安衛則】

第517条の14
コンクリート構造物の解体作業では、周囲の状況等を調査し、作業計画を定めなければならない。
第517条の15
コンクリート構造物の解体作業では、関係者以外の立入禁止などの措置をとらなければならない。
第517条の16
コンクリート構造物の解体作業で、外壁、柱等の引倒し等の作業を行うときは、合図を定めて、周囲の作業者に知らさなければならない。
第517条の17
コンクリート構造物の解体作業では、 コンクリート造の工作物の解体等作業主任者を選任しなければならない。
第517条の18
コンクリート造の工作物の解体等作業主任者に、作業手順を定める、器具等の点検などを行わなければならない。
第517条の19
コンクリート構造物の解体作業では、保護帽を着用しなければならない。

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