○コラム

タオルを巻いてヘルメットをかぶるのはありか、なしか

entry-536

今担当している現場に、発注者が巡視に来た際、指摘されたことがあります。

時期は8月の後半。まだまだ暑い時期でした。
工事現場ではよく見かける光景について、是正してというのです。

それはどういうものかというと、こんなのです。

1.ヘルメットのあごひもをかけてない。
2.ヘルメットを後ろ前にかぶっている。
3.タオルを首に掛けている。
4.頭にタオルを巻いて、ヘルメットをかぶっている。

1は、確かにかぶり方としてよくないですね。ヘルメットのツバにちょっとした衝撃を受けるだけで外れ、頭の保護ができません。
普段から指摘してたのですが、どうも徹底されていなかったので、すぐにあごひもを付け続けるように指導しました。

2は、水平器を覗く時、ヘルメットのツバが当たるので、後ろ前にしてたのでした。これは仕方ないかなと思い、作業時にかぶり直してもらうことでよしとしました。

さて、3と4です。
夏場、場合によっては冬も、作業をしていると汗をかくので、タオルをつけたくなるのはわかるります。これを禁止にするのは酷ではないかと思ったのの、指摘事項だしなと、是正指示を行いました。

この時、「汗をかくのに、なぜダメなのか?」と、ブーブーと言われたものです。その時は渋々従ってくれたものの、翌日には頭にタオルは元通りになっていたのでした。
首にタオルは、一応配慮してくれて、作業服の下に入れてくれていましたが。

この時作業者からも、「意味が分からない」など文句を言われたのですが、その気持は私も同じでした。
いまいち、ダメな理由が分かりませんでした。そのため、翌日から頭タオルが復活しても、よしとしたのでした。

はっきりとした理由が分からないと、それにただ従うのは抵抗を感じます。
全く意味不明の校則は破りたくなるのに、似ています。今の学校でも、「靴下は白のみ」というような校則はあるのでしょうか?
そういえば、私の通っていた学校では、「コート、マフラー禁止」というのがありました。寒いのに、きついもんでした。

それはさておき、頭タオルはどうしてダメなのか。
この指摘のことを思い出しので、考えてみます。

index_arrow ヘルメットの目的は

そもそもヘルメットとは、頭を守る保護帽のことです。
何から頭を守るのかというと、上から落ちてくるものや頭の位置にある障害物、そして高所から落ちた時に地面で頭を打たないようになどです。

保護帽は主に飛来・落下用と墜落・転落用があります。どのように違うかというと、墜落・転落用には、衝撃吸収ライナーというものが入っています。その他、耐薬品用や熱に強いなどの種類はありますが、建設現場でよく使われているのは、飛来・落下用か墜落・転落用、またはその両方を合わせたものです。

法的には、いくつかの作業で保護帽の着用を義務付けているものがあります。解体作業など飛来・落下物が多い作業や高所から墜落・転落する危険のある作業がそれにあたります。

法的に義務があるなしの区別はあるものの、今は建設業であれば、ほぼ全ての現場で保護帽は着用します。保護帽を着用しなければ、作業場に入場できないところも多いです。

そして中には、頭にタオルを巻くのを禁止している作業場もあるようです。
ちなみに、安衛則等では、「保護帽の下にタオルを巻いてはならない」という条文はありません。
禁止には、法以外の理由があるようです。

色々調べてみたところ、頭にタオルを巻くのがダメなのは、保護帽本来の機能を損なうからいうのが理由のようです。

保護帽は、頭に衝撃が加わった時に、頭を守ります。ただし、これは正しく装着していた時です。正しく装着されていると、保護帽は頭に密着しています。
あごひもが付いていなかったり、サイズが合っていなかったり、調整していなかったりだと効果は薄くなります。

頭にタオルは、保護帽の密着を損なうので、効果を損なうからダメというのが理由と言えそうです。
この頭への密着の損ないは、墜落時には致命的になります。保護帽が頭からずれるおそれがあるからです。そのため高所作業では、頭タオルは、控えたほうがよいかもしれません。

飛来・落下物の多い作業場も、衝撃で保護帽がずれるおそれがある場合は、やめた方がいいかもしれません。

では、その他の作業時ではどうか。
私が指摘を受けた時に行っていた作業は、掘削作業です。しかも深さは、1メートル足らず。高所作業でも、飛来・落下物が多い作業でもありません。
作業中に汗がダラダラと顔に垂れるのと、危険性を考えると、その時の作業では汗の方が嫌かなと思われます。

これらのことを踏まえて、この現場では「足場作業以外は、頭タオルを許可」としました。安全教育の時に、理由も説明し、高所作業では遠慮してくれと、理解を求めました。
また「首にタオル」も、ダランと垂れ下がらせると機械などに巻き込まれる可能生があるので、端を結んだり、作業服の下に入れるならOKとしました。
これは私が担当している現場のローカルルールなので、どこでも通用するものではないので、ご注意ください。

作業場によっては、頭タオルなどはもっての他というところもあるでしょう。そういうのは校則と同じで従うしかないですが、対策として、薄いインナーキャップなどをかぶるのもいいかもしれません。
私は自転車に乗るとき、ヘルメットの下にインナーキャップをかぶりますが、なかなかいいものです。

なんでも禁止にしてしまうと、作業がやりづらくなります。禁止するなら、理由をはっきり示し、こうしたら大丈夫という線引が大事ではないでしょうか。

それにしても、ヘルメット一つのかぶり方にも、考えることがあるのだなと思いました。

ところで、この記事を書くにあたって、参考にしたサイトが良かったので、紹介します。

保護帽を主に取り扱っているサイトなのですが、コラムが参考になりますよ。

ヘルメット専門店のまもる君

保護具は取扱いや装着の仕方で効果が、大きく変わってしまうので、そういった情報はありがたいです。

コメント

  1. 田中 豊 より:

    タオルが、密着性を害するとは思えない。クッション性も増すし禁止の理由にするのは苦しいでしょう。(笑)インナーキャップ同様。

  2. 松浦 孝子 より:

    つい最近このヘルメット内タオルの件で、元請けより注意された。
    (現場でのタオル着用の不可の支持は、前日弊社が休工の日にされたようだ)
    で結果弊社は、現場から出入り禁止になり工事工事契約も解除になった。
    会社は大被害、従業員は暑い夏の日の下を向いての作業をするのに・・・
    現場監督は、そんなこと作業なんてことないのにどうなんですかね。。。。
    法的に問題ないのに、ヘルメット用の冷却ライナーも販売されているから
    タオルは見た目も割るかもしれないけれど、ちょっとやりすぎでしょう!!!

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