厚生労働省労働局長登録教習機関
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先日、担当している現場も終盤に近づき、だんだん整備もされてきたこともあり、周辺の確認がてら歩いていたところ、盛土した斜面で、足をぐねっとしてしまいました。
幸いちょっとぐねっとしただけで、痛みものなく、怪我もありませんでしたが、何をやってんだかという気になってしまいました。
ここしばらく、転倒についていくつも書いてたのに、小っ恥ずかしい限りです。
こんな風に、どんなに転倒について情報を集め書いたところで、実際に足元をしっかり確認できているかというと、そんなことはないみたいです。
というわけで、今回も同じテーマで書き、これを今月の安全大会のテーマにしてみたいと思います。
内容が少々かぶるかもしれませんが、気にせずいってみます。
転倒は、数ある事故の中でも、特に身近で頻繁に起こる事故といえます。ほとんどの場合、大きな怪我にはなりません。大きな怪我となるのは、骨折してしまったり、よほど打ちどころが悪かった場合です。
あまりにありふれている事故のため、比較的その危険を深刻に捉えられにくいのかのとも思います。
何度かは書いた記憶はあるのですが、「たかが転倒、されど転倒」といえます。
転倒をあなどるなかれ。転倒の危険を放置すると、大事故になるのです。
転倒の原因と対策は |
では、人が転倒する原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
転倒する原因は、大きく3つに分類されます。
・ すべる
・ 踏み外す
・ つまづく
いずれも足元で起こるものです。
そして転倒しやすい場所として、「ぬ・か・づ・け」という言葉があります。
転倒しやすい場所を大きく4つに分類し、その頭文字をとったものです。
「ぬ」 ぬれているところ
「か」 かいだん
「づけ」 片づけられていないところ
これらは、それぞれの転倒の原因に対応しているのが分かります。
「ぬれているところ」 → 「すべる」
「階段(段差)」 → 「踏み外す」
「片付けられていないところ」 → 「つまづく」
こうしてまとめてみると、誰でも知っているようなことなのに、何やら小難しいことを書いている風になりますね。
原因をまとめると、とてもシンプルです。しかしこれを家庭や職場、作業場に当てはまると、とたん複雑になります。「ぬかづけ」の場所は多く、様々な要素が絡み合っているように見えるからです。
例えば、先日私が足をぐねっとしたところですが、土を盛って、斜面に整形し、さらに芝を張ったところでした。斜面の高さは30センチ程度の場所です。
あえて「ぬかづけ」に当てはめるならば、「ぬか」の要素がありました。斜面のため段差があったのと、芝が少し濡れていたからです。とはいえ、普通に歩いているだけならば、転けることはない場所でしょう。実際、私以外は転びそうになる人はいません。
まあ私は事務所内の段差もないような床で、足をつんのめるようなことをやっているので。
それはさておき、人が活動する場所には、様々な「ぬかづけ」があります。
通路に荷物が置かれていないでしょうか。
水や油がこぼれている場所はないでしょうか。濡れている場所を放置していないでしょうか。
照明が暗く、足元が見えづらい場所はないでしょうか。
両手に抱えるような荷物を抱えて、階段を登り降りする作業はないでしょうか。
床に段差や隙間、カーペットが剥がれたりした場所はないでしょうか。
考えられる場所は、数限りありません。
一方で、比較的コストをかけずに対策できるものともいえます。
大掛かりな機械設備などを必要とせず、注意喚起するだけでも、ある程度の効果は期待できます。
対策としては、こんなことができます。
転倒しやすい場所では、「足元注意」などの掲示を貼る。
通路には荷物を置かないよう徹底する。
水や油がこぼれたら、すぐに拭き取る。
照明を明るくする。
大きな荷物はエレベーターで運ぶ。
床の段差はなくす。
対策する場所は数ありますが、中でも優先的に手を打たなければならない場所もあります。
それは、転倒が重大な事故になりうる場所です。
高所では、転倒が墜落・転落になります。
機械の側で転倒すると、機械にはさまれたり、巻き込まれたりします。
他の重大な事故を招く、転倒はなくすのは何より重要なのです。
そして何よりの対策は4S、5Sなどを徹底することです。
一時的なものではありません。常に4Sされている状態を維持することです。
また転倒対策としては、何度か紹介した、「STOP!転倒災害プロジェクト」のページも参考になります。
何やら全体的に大まかなまとめ方になったのですが、転倒の危険を放置していると、他の危険を招いてしまいます。
優先的に対応をするべきなのは、重大な事故への対応です。一方で、比較的すぐに対応できる転倒への対応も放置してはいけません。
小さな危険への対応は、トータルで職場の危険を低下させることができるのではないでしょうか。
冬は雪や凍結で転倒の危険が高まります。転倒への備えは、まだまだ気が抜くことはできません。